2009-01-01から1年間の記事一覧

存在と文字――白川静における「ロゴス」

*拙稿の誤植について、末尾に追記しました(2009年12月29日) 久しぶりに『ユリイカ』誌に寄稿しました。今回の特集は、「白川静――一〇〇歳から始める漢字」です。 当初の編集部からのご依頼は、漢字以外の古代文字について、白川流の方法や見方を施すとし…

私のほうでは、なんとか百学連環図をこしらえるべく、一橋大学大学院の講義「新たなる百学連環」にて、学術史を辿っています。 とはいえ、前回のエントリーでご紹介した講義は、全13回の予定のうち、実はまだ第2回目に該当する辺りをさまよっています。予定…

新しいウェブサイト「Litterae Universales」を公開しましたので、お知らせします。 「リテラエ・ウニヴェルサレス」と読みます(ラテン語ですが、vは、古典風の「ウ」ではなく「ヴ」という音を選びました)。中国語で「文字無窮」と表記します。 このサイト…

たしなむ程度にtwitterを。

別件ですが、酒井さん(id:contractio)からフォローをいただいたのをきかっけに、登録したきりほとんど使っていなかった twitter をしばらくマジメに(?)使ってみようと思い立ちました。わざわざご覧いただくようなものではありませんが、お知らせまで。 …

西周を読みます

台風が吹き荒れた先週の木曜日から、一橋大学大学院言語社会研究科にて、非常勤講師として講義を始めました。 先週は、30分遅れての開始となったこともあり、「学術とはなんだろうか」という問いかけを少しずつ角度を変えながらしつこく繰り返したところで終…

読書論/デカルトの場合

古今東西の読書論や読書術について、目に入ったものを「読書論」というタグでメモしていこうと思います。 まずはデカルト先生の場合。『哲学原理(Principia Philosophiae)』(1644)で、自著をこんなふうに読んでもらえたら、という形で述べています。 な…

予告を三つまとめて。 以前、ここでもご紹介した『考える人』2009年夏号「特集=日本の科学者100人100冊」(新潮社)で、富士川游を取り上げました。 これを読んでくださった丸谷才一さんのご推挽で、毎日新聞の書評欄「この人この3冊」のコーナーに、富士川…

メールマガジン「αシノドス」vol.34+5(2009/8/25)に、連載エッセイ「思想誌空間」の第11回「思想画をめぐって」を寄稿しました。 絵画を分類するジャン名の一つに「思想画」という言葉があります。明治23年(1890年)4月27日に外山正一が行った「日本絵画…

人文とは何か

明石陽介さんが主宰する雑誌「Divagation」の第5号に、「人文とは何か 01 問い」を寄稿しました。 「人文」という馴染みのある、しかしながら、自分にとってはよく分からない言葉について、古今東西の先達に導かれながら、整理してみようという試みです。今…

中谷礼仁さんが主宰する編集出版組織体・アセテートで、近刊の予告が出ている。 『アドルフ・ロース著作集1――虚空に吼える(INS LEERE GESPROCHEN)』が、2009年年末を予定とのこと。これは楽しみ。 ⇒acetato > アドルフ・ロース著作集 http://www.acetate-e…

本読む姿

『本の読み方』といっても、内容をより効率的に吸収するテクニックやら、本の選び方を書いた本ではない。 喩えて言うなれば、人が、日常のなかで、どんなふうに本を読んでいるかということについて、スナップ写真を撮って、それを見ながら、きっとこういうこ…

誰がゲームで遊ぶのか

ゲーム会社で、商業用ゲームの企画を立てる際、もっとも悩ましいことの一つは、そのゲームが誰に売れるかという問題だ。 私が所属していたコーエーでは、ゲームの企画書に「ターゲットユーザー(想定消費者)」の項目を設けて、年齢層やどんなゲームを好む人…

歴史の授業

高校生の頃、歴史の教科書を読むつど、どうにも躓いてしまうことがあった。 例えば、或る戦争が勃発したきっかけや原因がさらりと数文字、数行で説明されているのは、紙幅の都合もあろうからよいとして、いったいその歴史の記述は、どのようにして選び出され…

Oxford English Dictionary Ver.4.0

すっかり見逃していましたが、PC版のOxford English DictionaryのVer.4.0がリリースされています。 今回のヴァージョンアップでは、ソフトの性能向上の他、初めてマックにも対応し、Additionsの全3巻と、第3版(現在編集中)から新語7000語を収録したようで…

新たなる百学連環

7月22日(水)に、一橋大学大学院言語社会研究科にて、ゲストレクチャーを行いました。 今回は、「新たなる百学連環」と題して、学術や学術分類の系譜(今回はヨーロッパについて)を少し垣間見るという内容です。 アリストテレス、ストア派、アウグスティヌ…

時と雑誌と私

コマプレスから新創刊の雑誌「Fold」のアンケートに答えました。 見本誌を見ると、フォルダーにとりどりの紙片が挟み込まれたもので、綴り合わされる前の書物、あるいは、解体された後の書物といった風情です。 アンケートは「時と雑誌と私」というタイトル…

季刊誌『考える人』2009年夏号(新潮社、ISBN:B002DMI7WQ)が刊行されました。特集は「日本の科学者100人100冊」です。 今回は、企画のかなり早い段階からお声かけいただいて、100人100冊選定のお手伝いなどをしています。 探究すればいくら誌面があっても足…

非モテと哲学者

週刊ビジスタニュースに「非モテと哲学者」というエッセイを寄稿しました。 前回は「貧困と哲学者」(http://www.sbcr.jp/bisista/mail/art.asp?newsid=3336)というお題をいただき、今回は「非モテと哲学者」というお題だったということは、次回は…… 下記バ…

シリアスとエンターテインメントの境界

東京工芸大学で「シリアスゲーム論」の講義をされている藤本徹さんのお招きで、ゲスト講演に参加する予定です。藤本さんは、『シリアスゲーム――教育・社会に役立つデジタルゲーム』(東京電機大学出版局、2007/02、ISBN:4501542705)の著者でもあります。 「…

思想の条件――福澤諭吉の場合

しばらくお休みをいただいていましたが、芹沢一也さんが編集するメールマガジン「αシノドス」に連載中の「思想誌空間」の第10回目を寄稿しました。 「思想」という言葉は、人間の精神の働きを示す重要な概念であるように見えながら、現在では意味がよくわか…

書物をめぐるアンケート二つ

今年のはじめに友人の明石さんが編集されている同人誌『Divagation』第4号の「蔵書に関するアンケート」に答えました。 設問はこうでした。 1.お持ちの本のなかで最もページ数の多いものは何でしょうか。(辞書、事典類を除く) 2.お持ちの本のなかで最も価…

野菜のひみつ

いまよりも、さらにものを知らなかった学生の時分、福岡正信の『無』三部作(春秋社、ISBN:4393741447)を読み、自然農法という農法があることを知った。 といっても農業に関心があったのではなくて、「無の哲学」と題された第2巻で展開される西欧哲学批判を…

お久しぶりです

気づけばすでに4月も半ば過ぎ。いかがお過ごしでしょうか。 ブログ再開にあたって、近況をご報告します。 2008年は、 ★『デバッグではじめるCプログラミング』(翔泳社、ISBN:4798114197) ★『ゲームの教科書』(馬場保仁との共著、ちくまプリマー新書、ISBN…