2008
いまよりも、さらにものを知らなかった学生の時分、福岡正信の『無』三部作(春秋社、ISBN:4393741447)を読み、自然農法という農法があることを知った。 といっても農業に関心があったのではなくて、「無の哲学」と題された第2巻で展開される西欧哲学批判を…
★岡本さえ『イエズス会と中国知識人』(世界史リブレット109、山川出版社、2008/10、ISBN:4634349477) 文化と文化が遭遇するところで、人と書物と理解と誤解が入り混じる。 「思想」の世界史をたどってゆくと、さまざまな時代、さまざまな場所で、そうした…
上記の仕事との関連で、刊行を心待ちにしているのがこの本です。 ★小田切文洋編著『江戸明治 唐話用例辞典』(笠間書院) はじめて明らかになる、江戸時代の日本人の、 唐話(近世中国語)受容の全体像。江戸中期から明治まで、 近世中国語(唐話)から借用…
同書について、刊行後に発見された間違いや問題点についてこの場で補足してゆきます。今回は、まずとても大きな問題から。 同書では、開発環境としてBoland C++ Compilerという無償で使えるコンパイラーと、きときと氏が開発した開発環境CPad(送金義務のな…
★大竹昭子編著『この写真がすごい2008』(朝日出版社、2008/07/10、ISBN:4255004390) 或るとき、或る場所で、或る角度と距離から、被写体の一瞬を固定すること。写真を眺めるつど、この一枚は(理念的には)ほとんど無限に可能であるはずの写真のなかの、よ…
この本を企画して、編集担当の瀧澤さんと私とでミーティングを重ねてゆくうちに、瀧澤さんから『こんにちはマイコン』(小学館、1982、ISBN:B000J7IP74)の思い出話が出た。 この本は、漫画家のすがやみつる先生(現在は小説家でもある)によるもので、人気…
近畿大学国際人文科学研究所紀要『述』第2号(明石書店、2008、ISBN:4750327495)に翻訳を寄稿した。 本来であれば、同訳稿に解説をつけるはずのところ、このたびは私の怠惰によって掲載訳文にはつけられなかったので、この場で若干フォローしたいと思う。 …
本書をつくるにあたって、できたらいいなと思っていたことの一つは、装幀の工夫だった。 日頃、私もさまざまなコンピュータ書やプログラミング書のお世話になっているけれど、なぜかこう、この分野の本にはときめかない装幀のものが多いように思うのだ(これ…
「山本さん、キツネは足跡をシッポで消して歩くのですぞ」とは、科学技術史家で(も)ある我が師、赤木昭夫が議論のなかでしばしば注意を促すことの一つだ。 この場合、「キツネ」とは科学者を指している。科学者たちは、研究に研究を重ね、実験に実験を重ね…
このたび『デバッグではじめるCプログラミング』(翔泳社、2008/05/28、ISBN:4798114197)というプログラム入門書を上梓した。 相棒・吉川浩満(id:clinamen)との共著『心脳問題』(朝日出版社、2004、ISBN:4255002770)や『問題がモンダイなのだ』(ちくま…
全集や大全ということばが好きだ。 なにやらそこには、作家なら作家の全業がひとつのミクロコスモスとして封じ込められているかのような響きがある、ように思う。 しかし、かつていくつかの全集を読み始めたころにようやく気づいたのは、それが厳密な意味で…
書物史の一角に、人がどのように書物を使ったかを研究する領域がある。2007年の暮に刊行された ウィリアム・シャーマン(William H. Sherman)の新著Used Books: Marking Readers in Renaissance England(University of Pennsylvania Press, 2008, ISBN:081…