2011-01-01から1年間の記事一覧

連載第7回「総論の構成 その5「真理」(後半)」

さて、今回でようやく「百学連環」の「総論」について、目次を見終わります。 項目を一つずつ見ながら、思い浮かぶ疑問などを書き留めてきたので、意外と時間がかかりました。 しかし、繰り返しになりますが、これから込み入った書物を読み始めようという場…

フロッタージュとコラージュを実践する

自主ゼミは、前回からシュルレアリスムについて考えているのでした。 今回は、参加者の1人、長名大地さんのご提案で、マックス・エルンストなどが実践していたコラージュやフロッタージュを、われわれも実際にやってみることにしました。 アンドレ・ブルトン…

第5回 モンタージュ――異なるものをつなぐ技

第5回目となる今回は、前回の補足として、「潜在性」に関するアリストテレスの『形而上学』における考察を紹介してから、次のテーマである「モンタージュ」に進みました。 モンタージュ(monatage)とは、フランス語で言う、機械などの組み立てのこと。映画…

その3:バタイユのinforme(承前)

「形」について理解を深めたく思いたち、二冊の書物を手がかりにしようとしているのでした。 ★Henri Focillon, Vie des formes, suivi de Eloge de la main, 1934 アンリ・フォシヨン『形の生命』(杉本秀太郎訳、岩波書店、1969; 改訳版、平凡社ライブラリ…

ブログの左側

当ブログの左側を、少し整備しました。新しく追加した要素は次の通りです。用のある方は、ほとんどいらっしゃらないと思いますが、念のためお知らせいたします。 連載中 雑誌やウェブでの連載原稿のお知らせです。目下は三つの連載があります。 準備中 制作…

連載第6回「総論の構成 その4――「真理」(前半)」

引き続き「百学連環」講義の目次を見ています。「いつまで目次ばかり眺めているのか? はやく本文に取りかかりたまえ」と感じている方もいるかもしれません。しかし、或る書物をじっくり読もうと思う場合、目次と索引は、事前にしっかり眺めておくのが得策で…

手段を複数化すること

最近、当はてなダイアリーへのアクセスにしばしば失敗するということが続いています。私が使っているブラウザ(Google Chrome)との相性などの問題かもしれませんが、以前には見なかったほど、よくアクセスに失敗するのです。自分のブログながら、自分で自由…

シュルレアリスムについて

今週から、一橋大学の大学院生有志との自主ゼミが、本格的に始まりました。 初回のテーマは「シュルレアリスム」とのことで、私から前座として教科書的な整理を申し上げ、ああでもないこうでもないと議論を進めたのでありました。 話し合っているうちに焦点…

第4回 潜在するもの/顕在するもの(続)

第4回は、前回に引き続き、「潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス」というテーマでの検討をしました。 コンピュータを用いた映像で特に興味深いのは、リアルタイムで生成される映像です。コンピュータ・ゲームは、その分かりやすい例で…

その1 ゲームはモンダイの塊

ゲーム開発の現場から、ゲーム開発の教育の場へ移ってみて5年ほど経ったでしょうか。この間、ゲームづくりの仕事に就きたいと思う学生の皆さんとともに、ゲームをつくるために必要な技術や考え方について考えてきました。 それは、開発現場でつくることに集…

連載第5回「総論の構成 その3――「新致知学」」

三省堂の荻野真友子さんから、三省堂ワードワイズ・ウェブでの「「百学連環」を読む」連載のお話をいただいたとき、当初は隔週くらいでどうかという案があったように覚えています。よせばいいのに、私は毎週でどうでしょうと申し出て、ご覧のように週に一度…

【新連載】ブックガイド、はじめます。

赤井茂樹さん率いる朝日出版社第二編集部が、本日、新しくブログを開設しました。 読み物や新刊・イベント情報を中心に、不定期に掲載・更新していきます。『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』『単純な脳、複雑な「私」』『死刑』『がんのひみつ』『心脳…

第3回 潜在するもの/顕在するもの

「映像文化論」第3回は、「潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス」というテーマで、映像について考察しました。 今回と次回の2回を使って、映像の「潜在性」について考えてみようという趣向です。 今回は、「潜在性」という言葉そのもの…

ゲームづくりの発想術――ジャマしジャマされ遊ぶのさ

ツブヤ大学(横浜)で、「ゲームづくりの発想術――ジャマしジャマされ遊ぶのさ」と題した講座を担当させていただきました。 「ゲームとはモンダイである」と見立てて、では、どうしたらモンダイをつくれるかということを検討してみるという内容です。 ゲーム…

連載第4回「総論の構成 その2――「学術の方略」」

4月8日からスタートした連載「「百学連環」を読む」の第4回を寄稿しました。前回に続いて、目次を眺めています。もう少しで、ようやく(!)本文に入って参ります。 私たちは「百学連環」の「総論」の詳しい目次を眺めているところでした。前回は「学術技芸…

その2:バタイユのinforme

「形」というものがよく分からないので、この際、先達の考えたことを手がかりにしながら、この言葉が何を指しているのか、何を指そうとしているのか、あるいは、どんな働きを持っているのか、ということについて考えてみるべく、「無/形をめぐって」という…

ゲームの中核となる仕組みを見抜くために

本日の「ゲーム企画」の講義では、ゲーム開発の流れについて、実際に開発を進める際の手順などについて述べました。いまやいくつもの細分化された担当者たちの分業によって作られることの多いゲーム開発では、誰と何を、どんな順序で作業するのか、という作…

自主ゼミ、始めました。

その一橋大学大学院に在席する院生の皆さんからお声かけいただいて、自主ゼミを始めることにしました。 参加者の皆さんの関心事をテーマとして、視野を広めにとりながら、いろいろな問いを立てつつ、既知と未知の境界に迫って参る所存です。 最初のメイン・…

第2回 問題設定

本日は、「映像文化論」第2回目の講義でした。まだ履修登録が確定していないこともあってか、席が埋まって若干立ち見が出ている状況でしたが、去年よりは立っている人の数が少なくて済んでいるようです(昨年の成績評価の実績をご案内した影響かもしれません…

参考文献リスト

*2011/05/16 第5回「モンタージュ――映像にしかなしえないこと」に関する参考文献を追加しました。 *2011/05/02 第3回「潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス」に関する参考文献を追加しました。 ■この文献リストについて 以下に掲げる…

連載第3回「総論の構成 その1「学術技芸」」

連載「「百学連環」を読む」の第3回を寄稿しました。 読解の手始めに、目次を眺めています。「なんでそんなところで足踏みを?」と思うかもしれませんが、本文に入る前に、目次をそれなりに眺めておくのは、読書の進め方としてなかなかいいことが多いのです…

ゲームづくりの発想術――ジャマしジャマされ遊ぶのさ

来る2011年04月30日(土)、ツブヤ大学(横浜)にて、ゲーム関連の講座を担当させていただきます。 題して「ゲームづくりの発想術――ジャマしジャマされ遊ぶのさ」。ゲームの中核となる仕組みをどうやって発想するか、というテーマです。 時間は90分と限られ…

その3:皮肉か賞賛か両方か

書物をゆっくり読むのは、存外難しいものです。小説であれば話の筋や展開が気になって、先を読みたい一心で、ついつい目が先へゆこうとするし、、そうでなくても書物の場合、最後のページと現在位置が目に見えて分かることもあり、ゴールを目指したい気持ち…

ゲームの概要を言語化する

今年は、専門学校や大学での講義について、折々どんなことをしているのか、拙ブログでも述べてみようと思います。 火曜日は、「ゲーム企画」と「ゲーム史」という講義を担当しています。ゲーム企画は1年生向けの講義で、ゲーム開発全般について、その流れや…

映像文化論開講

前年度に続いて、一橋大学にて、もう一度「映像文化論――異なるものをつなぐ術」を担当させていただくことになりました。 一橋大学の武村知子先生からお声かけいただいて、2009年から非常勤講師を務めさせていただいています。 2009年冬学期「新たなる百学連…

ゲームデザイン講義

今年も、専門学校東京ネットウエイブにて、ゲームデザインに関するいくつかの講義を担当させていただきます(週2日、計8コマ)。主にゲーム企画やそれに関連する内容の講義です。 新入生の1年生には、これから前期の講義で、どのようなことを学ぶのかという…

連載第2回「どんな文書か」

*04/18 URLを修正しました(間違えて、「グレートありがとうさぎ」にリンクしていました……)。 *04/16 URLを短縮化しました。 先週の金曜日からの新連載「「百学連環」を読む」の第2回を寄稿しました。 連載は、三省堂の出版部門が運営する「ワードワイズ…

その2:比喩を使って二重に物事を語る

先日、思いつきで「冒頭拝見」という試みを始めてみました。或る書物を手にとって、その1ページ目をともかくじっくり読んでみようという次第です。 フランスの文学者エミール・ファゲは、その『読書術』(石川湧訳、中公文庫、2004、ISBN:4122043700)のなか…

科学のアンソロジーを考えてみる(1)

ときどきアンソロジーを編んでみたいものだなあという空想をします。古典ギリシア語に、アンソロギア(ανθολογια)という言葉がありますが、これは「花を集める」という意味です。あちこちから花を摘んで花束にするように、言葉を集めるということでしょうか…

そんなこともあろうかと……

コンピュータのプログラム(program)とは、文字通り「事前に書いたもの」という古典ギリシア語に由来する言葉。 その仕組みを、いま必要な範囲で簡単に言えば、コンピュータに対する命令を、予め仕組んでおいたもの。例えば、Wordなどの文書作成プログラム…