参考文献リスト


*2011/05/16 第5回「モンタージュ――映像にしかなしえないこと」に関する参考文献を追加しました。
*2011/05/02 第3回「潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス」に関する参考文献を追加しました。



■この文献リストについて


 以下に掲げるのは、「映像文化論」(2011年夏学期開講)の講義を、より広く、より深く学ぶための文献案内です。


 講義中で言及・紹介する文献の他に、関連する良書などもご紹介したいと思っています。


 最終的には100冊前後の文献が並ぶと予想されます。全てを網羅的に読めればステキなことですが、なかなかそうもゆかないかもしれません。そこで、仮に優先度をつけてみます。書名の最後に「*」を付した文献は、比較的優先度が高いものです。原書の書誌や、簡単なコメントも付してゆこうと思います。


 一度に全部挙げたいところですが、そうも参りませんゆえ、そのつど増補してゆきます。原則として、このエントリーに加筆してゆきますので、そのつど確認したい方は、当ブログ左上に設置されている検索フォームから検索をかけるか、このエントリーのURLをブックマークしてください(上記見出し〔日付から始まる行〕をクリックしていただくと、URLが現れます)。


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■02. 問題設定――「映像」とはなにか?


a. 「映像」という言葉の来歴


★坂本浩「「映像」という言葉の成立」(『映像学』第62号、1999)
★リッテル『物理日記』(1874)
 同書は、国立国会図書館近代デジタルライブラリーで読めます。「物理日記」で検索してください。特に第4分冊巻2から後が、光学や視覚論に充てられています(巻1は音響を扱っています)。下記は、第4分冊へのリンクです。
 http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/830446/1


b. カメラ・オブスキュラ



★中川邦明『カメラ・オブスキュラの時代――映像の起源』ちくま学芸文庫、2001)
★フィリップ・ステッドマンフェルメールのカメラ――光と空間の謎を解く』(鈴木光太訳、新曜社、2010)
★デイビッド・ホックニー『秘密の知識――巨匠も用いた知られざる技術の解明』(木下哲夫訳、青幻舎、2010)


c. マジックランタン



★ジャン・ピエロ・ブルネッタ『ヨーロッパ視覚文化史』(川本英明訳、東洋書林、2010)*
★岩本憲児『幻燈の世紀――映画前夜の視覚文化史』森話社、2002)


d. 望遠鏡と顕微鏡



★ポール・ド・クライフ『微生物の狩人』(上下、秋元寿恵夫訳、岩波文庫
 上巻冒頭のレーウェンフックの章。
★D.O.ウッドベリーパロマーの巨人望遠鏡』(上下、関正雄+湯澤博+成相恭二訳、岩波文庫


e. 写真の始まりとその歴史



★三井圭司+東京都写真美術館『写真の歴史入門 第1部「誕生」――新たな視覚のはじまり』(新潮社、2005)*
★藤村里美+東京都写真美術館『写真の歴史入門 第2部「創造」――モダンエイジの開幕』(新潮社、2005)
★鈴木佳子+東京都写真美術館『写真の歴史入門 第3部「再生」――戦争と12人の写真家』(新潮社、2005)
★中村浩美+東京都写真美術館『写真の歴史入門 第3部「混沌」――現代、そして未来へ』(新潮社、2005)




■03. 潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス


a. サイバースペースの描写



ウィリアム・ギブスンニューロマンサー黒丸尚訳、ハヤカワ文庫SF672、1987、ISBN:415010672X
 William Gibson, Neuromancer(1984)

グレッグ・イーガン万物理論山岸真訳、創元SF文庫、2004、ISBN:4488711022
 Greg Egan, Distress(1995)*
士郎正宗攻殻機動隊講談社、1991- 、ISBN:406313248X
東浩紀サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+』河出文庫、2010、ISBN:4309410693


b. コンピュータ・グラフィクスの基礎



★梅津信幸『なぜコンピュータの画像はリアルに見えるのか――視覚とCGをめぐる冒険』NTT出版、2009、ISBN:4757102690)*
★大口孝之『コンピュータ・グラフィックスの歴史――3DCGというイマジネーション』(フィルムアート社、2009、ISBN:4845909308)*
★Fletcher Dunn, Ian Parberry『実例で学ぶゲーム3D数学』(松田晃一訳、オライリージャパン、2008、ISBN:4873113776


c. コンピュータとはなにか



西垣通編著訳『思想としてのパソコン』NTT出版、1997、ISBN:487188497X
山本貴光『コンピュータのひみつ』朝日出版社、2010、ISBN:4255005443


d. 潜在性について



アリストテレス形而上学(出隆訳、岩波文庫、1959、ISBN:4003360435; 岩崎勉訳、講談社学術文庫1116、1994、ISBN:4061591169
 特に第9巻(Θ)の可能態と現実態の議論。
★フィリップ・ケオー『ヴァーチャルという思想――力と惑わし』西垣通監修、嶋崎正樹訳、NTT出版、1997、ISBN:4871885275
ジョルジョ・アガンベンバートルビー [附]ハーマン・メルヴィルバートルビー』』(高桑和巳訳、月曜社、2005、ISBN:4901477188
 Giorgio Agamben, Bartleby (1993)
★J. L. ボルヘス「バベルの図書館」(『伝奇集』、鼓直訳、岩波文庫、1993、ISBN:4003279212、所収)
 Jorge Luis Borges, La biblioteca de Babel (1944)


■04. モンタージュ――映像にしかなしえないこと


a. モンタージュを読み解く



平倉圭ゴダール的方法』(インスクリプト、2010、ISBN:4900997315)*
 ゴダールを対象として、文字通り、映像をとことんよく観抜くことを実践してみせた考察の記録。「遠く隔たった二つの現実を正しく結合する〔接近させる〕ことから、力ある映像が生まれる」というゴダールその人は、映像と音の組み合わせから、いったいなにを創造したのか。まさに「ハイ・レゾリューション・ゴダール」。
デヴィッド・ボードウェル+クリスティン・トンプソン『フィルム・アート――映画芸術入門』(藤木秀朗監訳、笹川慶子+飯岡詩朗+板倉史明+北野圭介+北村洋訳、名古屋大学出版会、2007、ISBN:4815805679
 David Bordwell + Kristin Thompson, Film Art: An Introduction (2004)
★ベラ・バラージュ『映画の理論』佐々木基一訳、学藝書林、1992、ISBN:4905640857
 Béla Balázs, Der Film, Wesen und Werden einer neuen Kunst (1949)
エイゼンシュテイン『映画の弁証法(佐々木能理男訳、角川文庫、1953、ISBN:4043109016
 「モンタージュ」を概念にまで高めたエイゼンシュテインの緒論考を集めた一冊。
★ジェレミー・ヴィンヤード『傑作から学ぶ映画技法完全レファレンス』(ホセ・クルース画、吉田俊太郎訳、フィルムアート社、2002、ISBN:4845902303
 Jeremy Vineyard, Setting up Your Shots: Great Camera Moves Every Filmmaker Should Know (1999)
 映画撮影のさまざまな技法を、カタログ風に解説した書物。