ゲームデザイン講義



 今年も、専門学校東京ネットウエイブにて、ゲームデザインに関するいくつかの講義を担当させていただきます(週2日、計8コマ)。主にゲーム企画やそれに関連する内容の講義です。


 新入生の1年生には、これから前期の講義で、どのようなことを学ぶのかという話を中心にしました。要するに、ゲームを開発するために必要な技能を身につけるためには、何をする必要があるかということです。


 また、学期の最初は、学び方についても話すことにしています。とりわけ、ノートを取るということ(未来の自分へ記憶の手がかりを残すこと)、自分でテーマを設定して、むしろ放課後や学外でトレーニングを毎日積むこと(運動選手が毎日練習を重ね、ミュージシャンが毎日ギターを触るように)、ツールを積極的に使ってみること、などなど。


 企画者向けの講義では、(他の先生の講義と連動して)ゲームのアイディアを、文書で表現するにはどうしたらよいか、ということを話しました。つまり、企画書の書き方です。ゲームの企画書では、ついついゲームの仕組みの説明に集中してしまいがちなのですが、これでは足りません。


 どちらかというと、その文書を読んだ人に、未だつくられてもいないし、それ故この世に存在しないゲームについて、その面白さを紙の上と想像の中で疑似体験してもらうことが目的です。それだけに、ゲームの仕組み(システム)をいくら解説しても、それだけでは楽しさは分かりづらいわけです(読み手がよほどゲーム開発の経験を積んでいるならまだしも)。


 そこで私がいつも勧めるのは、そのゲームを実際にプレイした場合、プレイヤーはどんな問題を投げかけられるかという具体的な状況を提示することです。そして、提示した状況に対して、そのゲームではどんな解決手段を用意してあるのか。その解決手段を使った場合、どんなふうに「失敗」する可能性があるか、「成功」する可能性があるか。こうしたことを、四コマ漫画ではありませんが、疑似ゲーム体験できるように表現するわけです。


 私の見立てでは、ゲームとは、「解決できることを約束された問題」のようなものです。人生で実際に遭遇する問題の場合、すっきり解決がつくこともあれば、そういうわけにいかないこともあります。ゲームは、解決できることがあらかじめ約束されている問題なので、プレイヤーは安心して取り組むことができるし、その場限りではありますが、一種の生き甲斐を感じることもできるわけです。ちょっとオオゲサに言えば、「インスタントな人生の目的あります」という感じです。遊んでる間は夢中になれるけれど、終わるとちょっぴり虚しい気分になるのも、こうした次第だからではないかと睨んでもいます。



 それはさておき、今年は講義を進めるなかで考えたことなども、ときどきこの場に綴ってみたいと思っています。具体的なゲームの考察や分析、あるいは、翻訳中のルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎(上)』ソフトバンク クリエイティブ、2011、ISBN:4797334053)なども活用しつつ、同書を書き換えたり、拡張するようなことも考えてみます。


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