自然科学における文章の文体(スタイル)は、どのようにして現在のようになったのか。このことを考えるために、目下、王立協会に注目しています。17世紀半ばのイギリスでつくられた学術集団です。
ロンドン王立協会(Royal Society of London)について知るうえで、いくつか重要な文献があります。一つは、同協会が発行している雑誌『Philosophical Transactions』です。誌名に「哲学」という語が入っていることに注目しておきたいと思います。ここで「哲学」とは、元来の広い意味で使われています。つまり、この宇宙や世界について知識を求める学問を指しているわけです。『Philosophical Transactions』とは、会員たちが新たな学問(science)的な発見の情報を交換(transaction)しあう場という次第。そういえば、寺田寅彦も愛読していた雑誌です。
ありがたいことに、近頃、ロンドン王立協会では、同誌の1665年から2005年までのバックナンバーを無料で公開し始めました。これを端から読んでいけば、同協会の活動の様子を垣間見ることができます。
⇒Royal Society journal archive made permanently free to access
http://royalsocietypublishing.org/site/authors/free-archive.xhtml
⇒Philosophical Transactions 1665-1887
http://rstl.royalsocietypublishing.org/content/by/year
また、同協会の歴史を綴った書物があります。古いものは、Google Booksなどで閲覧できます。以下にいくつかリンクを張っておきましょう。
★Thomas Sprat, The History of the Royal Society of London, the improving of natural knowledge (1667)
http://books.google.co.jp/books?id=g30OAAAAQAAJ&hl=ja
★ Thomas Birch, The history of the Royal Society of London for improving of natural knowledge from its first rise, in which the most considerable of those papers communicated to the Society, which have hitherto not been published, are inserted as a supplement to the Philosophical Transactions (2vols., 1756)
http://books.google.co.jp/books?id=e2EVAAAAQAAJ&hl=ja
★Thomas Thomson, History of the Royal Society: from its institution to the end of the eighteenth (1812)
http://books.google.co.jp/books?id=nqjjR4Qt9IgC&hl=ja
★Charles Richard Weld, Charles Richard Weld, A history of the Royal Society: with memoirs of the presidents (2vols., 1848)
http://books.google.co.jp/books?id=mQIBAAAAYAAJ&dq
まだ全部は読んでいませんが、上から三つ目に掲げたトーマス・トムソンの本は、同協会の沿革から始まって、学問の分野別にまとめてあるため、とても読みやすいです。