寄藤文平さんがつくったスケジュールノート「yPad half X」(朝日新聞出版)に、あれやこれやの予定を書き並べて整理してみたら、目の前のもやがぱーっと晴れるように見通しがえらいクリアになった。
……のはよかったのだが、半ば無意識のうちに見ないようにしていたかもしれない仕事予定の全貌がたちあらわれて打ち震えている。
すごいよ、yPad!
■ついでながらノートについて少々
この30年ほど電子機器も含めていろいろ使ってみた結果、わたくしの場合、全部1冊に書くのがよいという暫定的な結論に達していまにいたる。
一時期、用途別にノートをつくったり、ルーズリーフを使ってファイリングシステムを組んでみたりしたのだけれど、結局どこに何を書いたのかが分からなくなって最後まで使われないノートの山だけが残った。
新しいノートを買うのが好きということもあって、文具店でよさそうなノートを見かけると「これは何々に使うノートにしよう」とかいって理由をつけて入手するわけである。
他方で各種の電子装置も使ってきたが、これもちょっと油断しているとどのファイルがなんなのかが分からなくなる。ファイル名やフォルダ名などにもかなり気を遣っているのだけれど、それ以上にファイル数がアホウのように増えててゆく。
また、なにかを書こうと思い立ってから装置のスイッチを入れて書ける状態になるまでの間が、年々短くなっているとはいえ紙のノートには及ばないと感じる。見方を変えると、なにかを思いついたら、ページを開いてさっと書くという最小の手間に近づいてくれたらもう少し違うのかもしれない。
――というので、ある時期から、ともかく「このノートに書く」というスタイルで、1冊に書くことにしてみた。
この10年くらい、これで困ったことはない。ものぐさなわたくしには、「とにかくこのノートに書く」という単純さが合っているのかもしれない。
使うノートは、電車で立ったままでも書けるように表紙がかたいものを選んでいる。いまのところモレスキン(クラシックハード横罫MM710黒)に落ち着いており、これまで20冊ほど使ってきたところ。
ただし、スケジュール管理は難があった。
そこでGoogleカレンダーなどを併用しているのだけれど、これもデジタルの弱点といおうか、自分で意識してアクセスした時しか目に入らないのが難点である。登録した予定の事前にGoogleカレンダーからプッシュ通知が届く機能もあるのだが、結局アクセスする手間自体が減るわけではない。
といっても、そもそもたいして仕事があるわけじゃなし騒ぐほどのこともなし。『文体の科学』を出した後、2014年の暮れあたりから少しご依頼が増えつつあったものの、一時的なことさねとたかをくくっていたところ、その一時がどうしたものか長引いて、2016年は自分でも全体像を把握しかねる状態になったのだった。
というのでどうすべきか考えていたところ、「そうだ!」と気になっていたyPadを手にしてみたという次第。そして話は冒頭に戻る。