このところ、リンゴを食べるときには果物ナイフで切りわけて、皮をむいて食べていた。
思い立って、ひさしぶりに丸のままかじってみた。先日、桃を丸のまま皮ごと食べた記憶があったからかもしれない。
映画でときどき、人物が手に持っていたリンゴを服のはしでちょっと磨くような感じでこすってから食べるシーンがある。(と言いながら、具体例を思い出せない)
ちょうどあんな感じで置いてあったリンゴを手にする。
かじりとるとき、ぱきっと塊が外れる感触がある。これは他の果物では、なかなか味わえない。
それを口にほおばってしゃくしゃく咀嚼する。
口のなかに酸味が広がって、ああ、リンゴだと思う。
皮もついているので、少しよく噛む。
しばらくリンゴを咀嚼していると、昔飼っていた犬を思いだす。
彼は、エサを入れたボウルに鼻先を入れて、少し口に入れると、首をあげて、どこを見ているのか分からないような顔をして、カリッカリッといわせながら一心に咀嚼する。普段は遊びたがる犬だったけれど、食事中はきわめて真剣である。飲み込み終わると、またボウルに鼻先を入れて食べる。あのカリッカリッという咀嚼音は耳に心地よかった。
リンゴをかじりながら、自分が犬になったような気がしてくる。一口かじりとっては、どこを見るでもなく顔をあげてしばらくしゃくしゃくやる。飲み込んだら、また一口かじってしゃくしゃく。
リンゴが少しずつ小さくなってゆき、あらかた食べるところがなくなったところでおしまい。
手を洗い、口元をぬぐって仕事に戻る。
その前にコーヒーをつくったりして。
PInterestにEating Apples!!なるページがあった。