杉亨二『[寸多][知寸][知久](スタチツチク)歴史及理論之部』

(すぎ・こうじ、1828-1917)がいる。

緒方洪庵、坪井信良、杉田成卿らにオランダ語、フランス語を学び、後に開成所教授職に就いて西洋に統計学があることを知ったとか。

明治16年に共立統計学校で、マックス・ハウスホーフェルの西欧統計学を講述したものを、聴講生だった横山雅男が筆記したノートがあって、そのノートを1980年に日本統計協会が本として刊行したようです。

このときの杉によるstatisticの訳語は、スタチスチクという音を漢字に移すだけでなく、「スタ」=「寸+多」、「チス」=「知+寸」、「チク」=「知+久」という漢字を組み合わせが造字をしたそうで……と書いてもなかなかイメージをお伝えしづらいので画像でお示しすると、こんなふうです。

無茶しやがって……という気持ちと、そんなことしていいんだ(いいわけではない)という気持ちとが綯い交ぜになった奇妙な心持ちになる、そんな造字です。

この案がそのまま普及していたら、今頃私たちも「統計」という代わりに「

上記したノートの復刻版は、国立国会図書館のデジタルコレクションで閲覧できます(要ログイン)。以下はそのリンクです。

思わず日本の古本屋で復刻版を注文してしまいました。

 

★『[寸多][知寸][知久] 歴史及理論之部 1』(日本統計協会、1980)
 https://dl.ndl.go.jp/pid/12011861

★『[寸多][知寸][知久] 歴史及理論之部 2』(日本統計協会、1980)
 https://dl.ndl.go.jp/pid/12011764

★『[寸多][知寸][知久] 歴史及理論之部 別冊』(日本統計協会、1980)
 https://dl.ndl.go.jp/pid/12011762