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お待たせしました(『ルールズ・オブ・プレイ』上巻刊行予定)

work ルールズ・オブ・プレイ ソフトバンククリエイティブ


さて、2011年最初にお披露目するのは、足かけ3年(!)取り組んできた翻訳書(の前半部分)です。


ご自身たちが、ゲーム・デザイナーや創作の実践者であり、同時にデザインの教育や研究者でもあるケイティ・サレンとエリック・ジマーマンによるゲーム・デザインの教科書ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎(上)』ソフトバンククリエイティブ、2011/01/27刊行予定、ISBN:4797334053)という書物です。


同書は、コンピュータ・ゲーム(ヴィデオ・ゲーム、家庭用ゲーム、アーケード・ゲーム)に限らず、ゲーム全般を対象にして、より面白く遊べるゲームをつくるためには、どんなことを考えたらよいかという大きな問題を多角的に扱った書物です。ゲームやゲームをつくること(デザインすること)、あるいはゲームを分析したり評論すること、デザインという営為そのものに関心を持つ読者に資するところ大であると思います。


私がこの書物に出会ったのは2005年のことでした。Amazonのデータベースで、ゲーム関連書を探しているなかで見つけて取り寄せました。2段組で700ページある大著ということもあって、すぐに全巻通読というわけにもいきませんでしたが、これはしかるべき人が訳して、日本でもゲームに関わる人々に読んでもらったほうがよい、いえ、もっと言えば、ぜひとも読ませたいものだと感じたことを今でも覚えています。


このような書物がゲーム開発の盛んな日本から出てこなかったことに忸怩たるものを感じつつも、アメリカの研究者・実作者の機動力に舌を巻き、脱帽したのも確かです。他の類書ではお目にかかったことのないほど、この書物はゲーム全般に広い目配りをし、個々の問題を掘り下げていたのです。


2003年暮れに刊行されてから、すでに1年以上が経っていましたが、翻訳の予定があるのかどうかも知らないまま、私はこの書物の翻訳刊行の企画書を作成しました。そして、現ソフトバンククリエイティブにいた友人を通じての同社書籍編集部の星野さんに話をしてみたのです。


すると、頼もしいことに、ある大学のグループが、既に翻訳に向けて作業に着手しているとのお話でした。ちゃんとこの書物に注目して翻訳しようという人たちがいたことに安堵して、あとは翻訳書が完成するのをお待ちしながら、この書物の存在を、しかるべき人々に知らせることにしようと思ったのでした。


それが巡り巡って私が訳すことになった顛末は、また機会があったら述べようと思いますが、ともあれ話が私のところに回ってきたのです。我が師からは、「この翻訳に時間と労力を使うよりも、自分でものを考えて書きなさい」とご忠告をいただいたのですが、最前にも述べたように、これを読むと読まぬとでは、ゲームを見る目の水準がちょっと変わるというくらいよい書物です。誰かが訳しておいたほうがよいという思いは強く、当時は今より自由になる時間が多かったこともあり、私は楽観的な見通しで作業にとりかかりました。


途中は端折りますが、この訳稿をようやくまとめることができたのが、2010年のもうすぐ暮れになろうかという時期のこと。そこから編集担当の星野さんともども怒濤の編集・改稿を加えて2011年1月末刊行の目処が立ちました。目次、本文、訳者あとがき、索引を入れて全648ページ。これは原著の前半に相当するものですが、ページ数では原著に近いヴォリュームです。


以下、ご参考までに上巻の目次を掲げてみたいと思います。

・目次
・序――フランク・ランツ
・はじめに――ケイティ・サレン+エリック・ジマーマン
・第01章 この本について
・第02章 デザインの進め方
・依頼エッセイ――ライナー・クニツィア
・第03章 意味ある遊び
・第04章 デザイン
・第05章 システム
・第06章 インタラクティヴィティ
・第07章 ゲームを定義する
・第08章 ディジタルゲームを定義する
・第09章 魔法円
・第10章 主要図式
・招待ゲーム1――リチャード・ガーフィールド
・第11章 ルールを定義する
・第12章 三つの水準のルール
・第13章 ディジタルゲームのルール
・第14章 創発システムとしてのゲーム
・第15章 不確かさのシステムとしてのゲーム
・第16章 情報理論システムとしてのゲーム
・第17章 情報システムとしてのゲーム
・第18章 サイバネティックシステムとしてのゲーム
・第19章 ゲーム理論システムとしてのゲーム
・第20章 対立のシステムとしてのゲーム
・第21章 ルールを破るということ
・招待ゲーム2――フランク・ランツ
・訳者あとがき
・索引


内容については、この邦訳書が刊行された後に、この場でも読解のヒントを述べていこうと思っています。


目下は、残る下巻をなるべく早くお届けできるように翻訳の作業を続けています。


なお、少し早めに書誌が出たデータベースでは、書名や価格が古いままかもしれません。正式名称は『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎』で、4620円(税込み)、2011年1月28日発売予定です。書店に並ぶまで、いま少しお待ちください。


Amazon.co.jp
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797334053/


bk1
 http://www.bk1.jp/product/03315086