ケイティ・サレンとエリック・ジマーマンの2人による『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎』(拙訳、ソフトバンククリエイティブ)という本がある。
原著は2003年にMIT Pressから刊行されたもので、これを上下巻に分けて、2011年と2013年に出した。なかなか仕事をしない訳者のおしりを叩き続け、ただでさえ大冊で大変な同書の編集を担当してくださった星野浩章さんには大変お世話になった。
もともと発行部数が多くなかったこともあり、上巻はほどなく品切れとなった。定価は上下巻とも4400円(+税)なのだが、Amazonでは一時期1万円以上の値がついたりもして、目下も定価以上で売りに出ている。
この本は、ゲームをつくろうと思う人にとって大変参考になる教科書だけに、常に新刊で手に入る状態が望ましいのだけれど、諸事情あってそうもいかないまま今日に至る。
なんとかして手に入るようにできないものかと思っていたところ、ニューゲームズオーダーの沢田大樹さんからお声かけいただいて、このたび新版刊行にこぎつけることができた。
この機会にと訳文を見直して、当時は邦訳がなかった文献でその後翻訳された本の書誌を追記したり、旧版で見つかった誤植なども直すことができたのは訳者としてもありがたい。
今回は4分冊で刊行される。本書全体は4つのユニットから成っており、ユニットごとに分冊にするという次第。しかも以前からご要望の多かった電子書籍版を中心として、冊子版も出すという形。
私の作業が遅れ気味のため、当初の予定より刊行が遅れているが、ようやく第1分冊の電子書籍版が3月17日に発売される。価格も第1分冊(ユニット1)は1000円とお求めやすくなっている。
ゲーム制作を学ぶ学生のみなさんはもちろんのこと、ゲーム開発・運営の現場でご活躍中のみなさんにも目を座右に備えてもらえたら嬉しい。原著が2003年刊行ということは、すでに15年以上前の本というので、随分古いんじゃないかと思われる方もいるかもしれない。ご心配なく。本書は、どうしたらプレイヤーが楽しめるゲームをデザインできるか、よりよいユーザー体験を提供できるか、という基本について考える本であり、それ自体が古びることはない。
また、ちょっと余計なことを言えば、こうした本がそれなりの読者に読まれることが分かれば、日本語以外の言語で書かれたゲームデザインの良書を翻訳する企画も動かしやすくなると思う。
目下は、下巻(ユニット3、4)の訳文を確認中。下記のニューゲームズオーダーのページに記されているように、順次刊行する予定なのでどうぞお楽しみに。
(写真は、原書と入手困難となっている旧版上下巻)
「ルールズ・オブ・プレイ ――ゲームデザインの基礎 《ユニット1/4 核となる概念》」電書版発売日が3/17に決まりました。Amazon(Kindle mobi), BOOTH(PDF+epub), Gumroad(PDF+epub+mobi)で販売します。後ほど序文・はじめに・1章を下記ページにPDFで掲載する予定です。 https://t.co/CKMX1jwNsZ
— きろま (@PseudoMatagi) February 24, 2019