寄稿「マルジナリアでつかまえて」第18回

『本の雑誌』2019年3月号(本の雑誌社)は、「出版業界消えたもの列伝」特集。

「出版業界におけるFAXの運命は!?」という記事がある。そうかFAXってまだ使われているんだ。

私がコーエーにいた頃(1994-2004)、ゲーム会社でもFAXは現役だった。PlayStation用のゲームをつくってソニー・コンピューター・エンターテインメントに提出すると、向こうでテストプレイをして、毎日夕方にその日判明した問題点を書いたFAXが届くのだった。その時刻になるとチーム一同、「今日はソニーからどんな指摘が届くかな……」とドキドキしながら待ったものである。

その後、物書きになってからしばらくの間、雑誌に原稿を書くとゲラがFAXで届き、朱筆を入れたゲラをやはりFAXで送り返していた。なんでFAXなんだろう、PDFか画像ファイルでメールに添付してくださったらいいのにと思ったものの、当時のコンピュータ環境だといまより手間がかかったかもしれない。

いつしか出版方面ではFAXを使わなくなり、ゲラのやりとりもPDFがほとんどだ(本のようにページ数が多い場合はプリントアウトも併用)。

FAXの利点があるとすればなんだろう。受信したという意識の強さはメールに比べてはるかに大きいかもしれない。なにしろ装置からカタカタカタと音を立てながら紙がはき出されるので、FAXがある場所にいればイヤでも気づく。モノの威力と言いましょうか。

それはそうと『本の雑誌』です。

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連載中の「マルジナリアでつかまえて」は第18回となりました。

今回は「言葉の壁を乗り越える」と題して、漢文の訓読について書いております。f:id:yakumoizuru:20190224015409j:plain

第18回ということは、連載開始から1年半ということですか。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。