八月二十二日
水曜不出社。朝から曇。お天気が変わるかと思っていると午後突然豪雨降りその後大あらしとなる。夕方を過ぎ夜に及びて未だやまず、今八時半也、時時大変な風玉が来る。電気が消えた。暫く振りに蝋燭の明かりにて日記を書き続ける。こわいけれど空襲よりはいいだろう、今二十二日午後零時、防空終止命令出たそうである。音響管制も廃せられてこれからはお午の午報のサイレンを鳴らしてもいい事になったそうだが何時から鳴らすか知ら。気象管制も解かれて天気予報が始まると云う話も聞いた。ラヂオでそう云ったのかも知れない。
というのは、『内田百輭集成23――百鬼園戦後日記』(ちくま文庫、2004/08、amazon.co.jp)の最初のページ。