1887年に創刊した『中央公論』は2017年で130周年とのこと。
最新号の2017年1月号では「論壇の岐路」という関連特集が組まれております。
とりあえず――
・山崎正和「「論壇」の危機と回復への曙光」
・松岡正剛+佐藤優「思想が持つアナーキーな魅力の復権を」
・宇野重規+湯浅誠+渡辺靖「検証・21世紀の言説」
・ゲンロン人からの15の提言
・竹内洋+片山杜秀+大澤聡「教養主義の"没落"と出版の未来」
を読んでみた。
「論壇」とは、文字通りには議論を戦わせる場、論者がのぼる壇のこと。
大方のところ、それが目下は機能しなくなっているという見立てのようだ。
ただでさえややこしくて見通しがたい世界の情勢を見渡したうえで、大きな方向性や指針を描き討議を通じて読者に考えるヒントを示唆するのが論壇の仕事だとしたら(とは私の論壇観だが)、これは生半なことでは務まらないのだろう。
あらゆる細部を見知ることができないとしたら、それでも(単にいい加減な駄法螺とは違うかたちで)大きなヴィジョンを描くにはどういうやり方がありうだろうか、などと考えるでもなく考える。
■関連文献
ついでのことながら、論壇に関する本を何冊か。
★中嶋嶺雄『知識人と論壇――今日的変貌の断面』(東経選書、東洋経済新報社、1984/01)
★奥武則『論壇の戦後史――1945-1970』(平凡社新書、2007/05)
★竹内洋+佐藤卓己+稲垣恭子編『日本の論壇雑誌――教養メディアの盛衰』(創元社、2014/04)
★鶴見太郎『座談の思想』(新潮選書、新潮社、2014/05)
★大澤聡『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』(岩波書店、2015/01)