★辻山良雄『365日のほん』(河出書房新社、2017/11)
東京は荻窪の本屋さん「Title」の店主、辻山良雄さんによる楽しい本の本。
(写真1.表紙。イラストは中山信一さん、デザインは漆原悠一さん(tento))
辻山さんは、Titleの開店(2016年1月)以来、ウェブサイトの「毎日のほん」というコーナーで1冊の本を紹介しておられます。twitterでもこんなふうに。
【毎日のほん/11月22日】あるジャズのトランペット吹きが死んだ。その常識外れだった人生を、死後に彼の秘密を知り、彼自身を再発見した人びとが、彼をどう理解し、そしてどう自分のことを見つめ直していくのか。https://t.co/j0BHJe2erc
— Title(タイトル) (@Title_books) 2017年11月21日
ご覧ように、紹介文は一目で読めるくらいの長さでありながら、その本の勘所をとらえて読みたい気持ちをそそります。
ウェブの軽やかなデザインもあいまって、とても気軽に何気なくやっているように見えるかもしれません。でも、自分でやるとなったらとっても大変なことだと想像しています。
長年リブロにお勤めになって、それはたくさんの本を手と目にし、お客さんに手渡していた目利きの辻山さんだからこそできることです。
このたび刊行された『365日のほん』は、そんな「毎日のほん」を集めて1冊にしたものなのかな、と思っていたらそうではなくて、書き下ろしとのこと!
(写真2.10個の分類)
とりあげられる本は、それぞれが「考える本」「社会の本」「くらし・生活」「子どものための本」「ことば、本の本」「文学・随筆」「旅する本」「自然の本」「アート」「漫画」という10種類のアイコンで表現されています。ものによっては、1冊の本に二つのアイコンがついている場合も。
(写真3.『文体の科学』のようなややこしい本も辻山さんにかかればこの通り)
上でもちょっぴり述べましたが、本を手短に紹介するのは、実はそんなに簡単なことではありませぬ。しかも、内容を的確にとらえるのはもちろんのこと、自分の等身大の言葉で、実感を交えて語るとあってはなおのこと。
穏やかに本について語る辻山さんの文章に触れていると、お茶をいれてほっと一息つくような気分にもなります。
本は、春から始まって冬へと並べられていますが、もちろんどこから読んでも楽しめます。
(写真3.巻末についている本の索引)
そうそう、11月25日から12月24日まで、「365日のほん展」と題して、同書で紹介した本がTitleに揃うようですよ。