蒐書録

蒐書録#032:辻山良雄『365日のほん』

★辻山良雄『365日のほん』(河出書房新社、2017/11) 東京は荻窪の本屋さん「Title」の店主、辻山良雄さんによる楽しい本の本。 (写真1.表紙。イラストは中山信一さん、デザインは漆原悠一さん(tento)) 辻山さんは、Titleの開店(2016年1月)以来、ウ…

蒐書録#031:正木香子『文字と楽園――精興社書体であじわう現代文学』ほか

★ジョン・リード『世界を揺るがした10日間』(伊藤真訳、光文社古典真訳文庫KCシ1-1、光文社、2017/11) John Reed, Ten Days That Shook The World (1919) 序文はレーニン。 ★吉田忠編『ニュートン自然哲学の系譜――プリンキピアとオプティックスまで』(平…

蒐書録#030:新居洋子『イエズス会士と普遍の帝国――在華宣教師による文明の翻訳』ほか

★小倉紀蔵『朝鮮思想全史』(ちくま新書1292、2017/11) ★田中純『歴史の地震計――アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』(東京大学出版会、2017/07) ★イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』(金子洋之+大西琢朗訳、森北出版…

蒐書録#029:東浩紀監修+市川真人+大澤聡+福嶋亮大『現代日本の批評1975-2001』ほか

★東浩紀監修+市川真人+大澤聡+福嶋亮大『現代日本の批評1975-2001』(講談社、2017/11) 『ゲンロン1』『ゲンロン2』に掲載された「現代日本の批評」前半を書籍化したもの。後半も同様に刊行予定とのこと。 ★ながべ『とつくにの少女』第4巻(マッグガーデ…

蒐書録#028:ダン・アッカーマン『テトリス・エフェクト――世界を惑わせたゲーム』ほか

★植村和秀『折口信夫――日本の保守主義者』(中公新書2458、中央公論新社、2017/10) ★出村和彦『アウグスティヌス――「心」の哲学者』(岩波新書1682、岩波書店、2017/10) ★ジル=ガストン・グランジェ『科学の本質と多様性』(松田克進+三宅岳史+中村大介…

蒐書録#027:ハン・ガン『ギリシャ語の時間』ほか

★ハン・ガン『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳、韓国文学のオクリモノ、晶文社、2017/10) 韓江『희랍어 시간』(2011) 晶文社の新シリーズ「韓国文学のオクリモノ」の第1回配本。すべて受け取りたい所存。 ★ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『カ…

蒐書録#026:グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜――マイリンク幻想小説集』ほか

国書刊行会の新刊を3冊。 ★グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜――マイリンク幻想小説集』(垂野創一郎訳、国書刊行会、2017/10) 「I 初期短篇」(5作品)、「II ワルプルギスの夜」、「III 白いドミニコ僧――見えないものの日記から」、「IV 後期短篇」…

蒐書録#025:クリントン・ロメシャ『レッド・プラトーン――14時間の死闘』ほか

★クリントン・ロメシャ『レッド・プラトーン――14時間の死闘』(伏見威蕃訳、早川書房、2017/10) Clinton Romesha, Red Platoon: A True Story of American Valor (2016) アフガニスタン戦争史上、最も苛酷な戦闘のひとつと言われる「カームデーシュの戦い」…

蒐書録#024:『岩波講座 日本経済の歴史』

目の前の仕事にかまけていると、すぐ記録しそびれてしまいますが、久しぶりに蒐書録の投稿です。 ★『定本 漱石全集 第十一巻 明暗』(岩波書店、2017/10) 第11回配本は『明暗』。月報は高橋源一郎さん。次回はいよいよ第14巻『文学論』(11月刊行予定)。 ★…

蒐書録#023:マイケル・ベンソン『世界《宇宙誌》大図鑑』

『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の校了が迫っている。もう少しだ。 となってくると、意識は勝手に次の仕事のほうへも向いてゆく。 文学論の直後は天文学論を少々(執筆・翻訳中の本のあいまに)。 文学の頭に「天」がつけば天文学である。 文学の頭に「人…

蒐書録#022:キース・E・スタノヴィッチ『現代世界における意思決定と合理性』

上院外交委員会委員長ボブ・コーカー議員が、インタヴューで、大統領は「真実がとても苦手」だと述べたというニュースを目にする。 「真実がとても苦手」とはまた面白い表現。私はこの言葉の組み合わせをはじめて目にしたような気がした。 原語ではなんと言…

蒐書録#021:マイケル・W・クルーン『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』ほか

★Rebecca L. Walkowitz, Born Translated: The Contemporary Novel in an Age of World Literature (Columbia University Press, 2017) かつてに比べて、ある言語で刊行された小説が、他の言語に翻訳されるまでの時間がぐっと短くなっている現在、文学(本書…

蒐書録#020:『BRUTUS』「特集=国宝。」(あるいは橋本麻里無双)

★『〆切本2』(左右社、2017/10) 恐ろしい本の続編。怖い物見たさでつい読んでしまう。締切は迫る。書けぬものは書けぬ、と苦しむ作家たちの姿。でもなぜだか、つらい話のはずなのに笑ってしまうことが多い。例えば、源氏鶏太が、あまりに原稿が書けないの…

蒐書録#019:ヘイドン・ホワイト『メタヒストリー』ほか

★ジェームズ・C・スコット『実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方』(清水展+日下渉+中溝和弥訳、岩波書店、2017/09) James C. Scott, Two Cheers for Anarchism: Six Easy Pieces on Autonomy, Dignity, and Meaningful Work and Play …

蒐書録#018:『J・G・バラード短編全集4』ほか

『夏目漱石『文学論』論(仮題)』(幻戯書房、近刊)の作業に追われ、来る日も来る日も漱石関連文献の確認をつづけていると、終わりのない作業のように思われてきて、くらくらして参ります。 こういう日々を送っていると、漱石に関係のない本がすべて新鮮に…

蒐書録#017:大森貴秀+原田隆史+坂上貴之『ゲームの面白さとは何だろうか』

★亀井俊介編『現代の比較文学』(講談社学術文庫1114、講談社、1994/02) 『現代比較文学の展望』(研究社、1972)として刊行された論集の文庫版。目次は以下の通り。 ・はしがき(原本) ・学術文庫版はしがき ・亀井俊介「比較文学の視野――ホイットマン的…

蒐書録#016:ウラジーミル・ナボコフ『アーダ』

★ウラジーミル・ナボコフ『アーダ』(上下巻、若島正訳、早川書房、2017/09) Vladimir Nabokov, Ada or Ardor: A Family Chronicle (1969) 旧訳を手に入れられず図書館で借りて読んでおりましたが、ついに新訳登場。訳者は『ディフェンス』『ロリータ』『記…

蒐書録#015:川上未映子責任編集『早稲田文学増刊 女性号』

★芥川龍之介+谷崎潤一郎『文芸的、余りに文芸的な|饒舌録ほか』(千葉俊二編、講談社文芸文庫、講談社、2017/09) 芥川と谷崎の論争にかんする文章を集めた本。こういう企画もありがたい。複数の人があちこちの雑誌などで意見を戦わせるような場合、これを…

蒐書録#014:安田登『能――650年続いた仕掛けとは』

★安田登『能――650年続いた仕掛けとは』(新潮新書732、新潮社、2017/09) 冒頭に能の効能が五つ書かれているのだけれど、長続きする組織作りのヒントになる、健康長寿の秘訣、心を穏やかにする、政治統治のマネジメントに有効というあたりまでは「ふむふむ」…

蒐書録#013:『ゲンロン6 ロシア現代思想I』ほか

★アントワーヌ・メイエ『ヨーロッパの言語』(西山教行訳、岩波文庫青699-1、岩波書店、2017/09) Antoine Meillet, Les langues dans l'Europe nouvelle (1928) ★江戸川乱歩『怪人二十面相・青銅の魔人』(岩波文庫緑181-2、岩波書店、2017/09) ★大岡信『…

蒐書録#012:アンガス・フレッチャー『アレゴリー――ある象徴的モードの理論』ほか

先日、散歩がてら丸善ジュンク堂書店渋谷店を訪れた。 足を踏み入れるまでは、特に目当てのものがあったわけではない。ただ、ぶらぶらと見て歩こうと思っていたのだった。 同書店は、階が分かれているスタイルではなく、ひとつのフロアに全ての棚があるので…

蒐書録#011:ステファン・グラビンスキ『火の書』ほか

世界にはすでに山ほどの本があり、こうしているうちにも新たな本が続々と世界中で生まれております。 そうしたなかから、何の因果かたまさかわたくしの手元に到来したもの(の一部)を写真つきでご紹介するのが、この「蒐書録」のコーナーです。 ★ステファン…

蒐書録#10:飯田泰之『経済学講義』ほか

★飯田泰之『経済学講義』(ちくま新書1276、筑摩書房、2017) ★クリスチャン・モンティロン『ローダンNEO2 テラニア』(長谷川圭訳、ハヤカワ文庫SF2139、ロ10-2、早川書房、2017) Christian Montillon, Perry Rhodan Neo: Utopie Terrania (Pabel-Moewig V…

蒐書録#009:ティム・インゴルド『メイキング――人類学・考古学・芸術・建築』ほか

★ティム・インゴルド『メイキング――人類学・考古学・芸術・建築』(金子遊+水野友美子+小林耕二訳、左右社、2017) Tim Ingold, Making: Anthropology, archaeology, art and architecture (2013)の邦訳。『ラインズ――線の文化史』(左右社、2014)もよい…

蒐書録#008:漱石研究文献

目下仕上げに向けて作業中の『夏目漱石『文学論』論(仮)』(幻戯書房)のため、現物を確認しなおしたい文献を買い集める。 何年か前に図書館の助けを借りて読んだものがほとんどだけれど、いまは他館から取り寄せる時間を惜しんで、とにかく手に入るものは…

蒐書録#007:スティーヴン・キング『死の舞踏――恐怖についての10章』ほか

仕事のあいまの息抜きにと、以前は写真だけ撮ってfacebookに投稿していた蒐書録を、この場でつけてみているところ。自分に関するお知らせだらけになってしまうより、精神衛生的にもいいですね。 ★スティーヴン・キング『死の舞踏――恐怖についての10章』(安…

蒐書録#006:山田慶兒『日本の科学――近代への道しるべ』(藤原書店、2017)

私がはじめて三浦梅園(1723-1789)を知ったのは、たぶん「日本の名著」(中央公論社)を集め読んでいる最中だったと思う。 いずれも抄録ながら『玄語』『贅語』を収めた『中公バックス日本の名著20 三浦梅園』(1984; 私が手にしたのは1996年の再版)を手に…

蒐書録#005:千葉雅也『動きすぎてはいけない』ほか

外に出ると書店に寄る。 書店に寄ると本を買う。 書店に寄ったのに手ぶらで店を出る日は、よほどくたびれているということが自覚される。そんなふうに感じるようになって早幾歳。 目下プロ契約を結んで通っているゲーム会社モブキャストは東京都は六本木にあ…

蒐書録#004:『文化進化の考古学』

★中尾央+松木武彦+三中信宏編著『文化進化の考古学』(勁草書房、2017) 目次は以下の通り。 はじめに 中尾央・松木武彦 第1章 現代的な文化進化の理論 井原泰雄 1.1 文化進化 1.2 中立的な文化進化 1.3 適応的な文化進化 1.4 結論 第2章 遠賀川式土器の…

蒐書録#003:エンリーケ・ビラ=マタス『パリに終わりはこない』他

気散じの散歩がてら神保町に出かけて東京堂書店で入手。『夏目漱石『文学論』論(仮)』の初校ゲラも鞄に入れていたのだけれど、肝心のペンを忘れる。ペンを忘れるということは本も読めない。それでも小説なら比較的読めるというので、憎からず思っているエ…