蒐書録#025:クリントン・ロメシャ『レッド・プラトーン――14時間の死闘』ほか

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★クリントン・ロメシャ『レッド・プラトーン――14時間の死闘』(伏見威蕃訳、早川書房、2017/10)

 Clinton Romesha, Red Platoon: A True Story of American Valor (2016)

 アフガニスタン戦争史上、最も苛酷な戦闘のひとつと言われる「カームデーシュの戦い」(2009年10月)を生き延びた著者によるノンフィクション。重武装タリバン兵300名に包囲された米軍50余名の攻防の記録。

 少し前にミームデザイン学校卒業生&在校生有志による読書会で戦場カメラマンのルポルタージュを読んだところだった。戦闘に従事した人物から見た出来事の推移に注意しながら読んでみたい。

 

★平井靖史+藤田尚志+安孫子信編『ベルクソン『物質と記憶』を診断する――時間経験の哲学・意識の科学・美学・倫理学への展開』(書肆心水、2017/10)

 2016年11月に刊行された『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する ―― 現代知覚理論・時間論・心の哲学との接続』の続編。目次は以下の通り。

・平井靖史「序」

・第1部 読解の諸問題

 ・1-1:村山達也「潜在性とその虚像――ベルクソン『物質と記憶』における潜在性概念」

 ・1-2:カミーユ・リキエ「『物質と記憶』と形而上学の直観的再興――純粋理性の第四誤謬推論と第一・第二アンチノミー」(天野恵美理訳)

 ・《コラム》藤田尚志「「永いあいだ客として遇されてきた異邦人」――リキエによるベルクソン的カント主義解釈をめぐって」

 ・1-3:藤田尚志「記憶の場所の論理――『物質と記憶』における超図式論と憑在論」

 ・1-4:檜垣立哉「過去は何故そのまま保存されるのか――『物質と記憶』の記述の多層性について」

 ・《コラム》村山達也「記憶力の二形態」

 

・第2部 心と時間

 ・2-1:バリー・デイントン「ベルクソンにおける在ること・夢見ること・見ること」(木山裕登訳)

 ・《コラム》清水将吾「いかにして記憶は感覚を生み出すのか――形相からの質料の「発出」」

 ・2-2:平井靖史「〈時間的に拡張された心〉における完了相の働き――ベルクソンの汎質論と現象的イメージ」

 ・《コラム》永野拓也「心の出現――散逸構造と持続」

 

・第3部 科学との接続

 ・3-1:デイヴィッド・クレプス「『物質と記憶』と深層学習」(齋藤俊太郎訳)

 ・3-2:太田宏之「空間的神経表象から時間的圧縮過程へ」

 ・《コラム》マイケル・R・ケリー「直接実在と神経上の時間圧縮についてのベルクソンの議論――デイントン教授と太田教授へのコメント」(山根秀介訳)

 ・3-3:ジャン=リュック・プチ「記憶力と脳――ベルクソンの誤り」(原健一+田村康貴訳)

 ・3-4:兼本浩祐「ベルクソンの第一の記憶を理解する試み――フロイトの記憶論と知覚失認(精神盲)の自験例を導きの糸として」

 ・《コラム》三宅岳史「エーデルマンとフロイト、そしてベルクソン」

 

・第4部 芸術・道徳への展開

 ・4-1:ユリア・ポドロガ「現在の脆さ――ベルクソンと河原温」(持地秀紀訳)

 ・《コラム》増田靖彦「芸術の現在と時間の隘路」

 ・4-2:マイケル・R・ケリー「生への注意――『物質と記憶』における道徳性の進化」

 

・後書きおよび謝辞

・人名索引

・事項索引

 

★『芸術新潮』第68巻第11号2017年11月号「特集=画狂モンスター北斎――漫画と肉筆画」(新潮社)

 付録に『北斎漫画初編』も。北斎漫画、見飽きないのは人物のポージングにも一因がありそうね。

 

★山口直孝+橋本あゆみ+石橋正孝編『歴史の総合者として――大西巨人未刊行批評集成』(幻戯書房、2017/11)

 「九州在住時代(1946-1951)」「関東移住以降(1952-1979)」「『神聖喜劇』完成以降(1980-2016)」と、作家としての初期から晩年までをカヴァーする集成。大西巨人の書くものは、小説と批評を集め読んできたけれど、そういえばまだその仕事の全貌をきちんと確認したことがなかったと気づかされた。

 

★『後藤明生コレクション5 評論・エッセイ』(国書刊行会、2017/10)

後藤明生コレクション全5巻祝完結。