ベッカー版アリストテレス全集

先日、謎の勢いで古書店に注文したベッカー版アリストテレス全集(全5巻)が届いた。AbeBooks経由でドイツの古書店から購入したもの。

もとは図書館の蔵書だったようで、"Hausbibliothek St. Gabriel Mödling bei Wien"というラベルが見える。聖ガブリエル伝道所の図書室ということでしょうか。


これを編集したのは、ドイツの古典文献学者イマヌエル・ベッカー(1785-1871)で、彼の名前を冠して「ベッカー版」と呼ばれている。刊行は1831-1870年で、第4巻までは1837年に出ていた様子。第5巻だけ、その33年後の1870年に出版されたみたい。今回入手したのは、この1831年から1870年にかけて刊行された版。

上の各巻の背を見ると、第1巻と第2巻がギリシア語テキスト、第3巻がラテン語テキスト、第4巻がスコリア(注釈)、第5巻が断片、スコリア、索引と記されている。

 

第1巻の最初の収録作品は「カテゴリアイ(範疇論)」で、ご覧のように2コラムで組まれている。活字はかなり小さい。これを活版印刷で刷っていたというのだから、気が遠くなりそう。

いままでアリストテレスの原文は、個別の本でしか持っておらず、ベッカー版は用事ができるとネットで公開されているデジタル版で済ませていたけれど、これからは本で見ることができるようになった。

これは第1巻の巻頭に置かれた目次のページ。一見すると、ページ番号がバラバラで、「?」となるものの、収録している作品のアルファベット順に並べて、それに対応するページ番号を添えていることが分かると、「便利!」となる仕掛け。例えば「プシュケース(魂について)」を読みたいと思ったら、ギリシア語のアルファベット順を思い浮かべつつ、目次に並ぶタイトルの頭文字からΨを探せばよいわけですね。