なぜだか分かりませんが、こういう階段の踊り場、なんとはなしに好きな感じがします。
下記は私のBlueskyのアカウントです。Twitterが荒れ果てていることもあり、この頃はこちらが心のオアシスのように感じています。
なにより広告を目にしなくてよいこと、運営側のアルゴリズムによってタイムラインに手を加えられていないことが、居心地のよさの一因であるようにも思います。ということは、これらの条件が変わった場合はこの限りではないとも言えるわけですけれど。
『文藝』2024年春季号(河出書房新社、2024/01/06)に連載「文芸的事象クロニクル 2023.09-2023.11」を書きました。
この連載は、季節に一度、過去3カ月について世界で起きた文芸に関わりのある出来事から、いくつかを選んで記録し、場合によってコメントをつけたものです。
毎回、誌面に掲載される何倍かの出来事を選び、そのなかからこれは掲載しようと考えたものについて文章を書き、ゲラの段階で削るというプロセスを経て作っています。
今回は、米国作家らによるOpenAI提訴、ハマスとイスラエルの武力衝突、イスラエルの空爆で亡くなったパレスチナの詩人たち、阿波しらさぎ文学賞の不可解な選考委員(小山田浩子氏)解任、中国での世界SF大会開催、ブンゲイファイトクラブその他について記録しています。
気を抜くと物事の前後関係や時間の遠近がすぐ分からなくなってしまうのですが、こうして季節に一度自分でまとめておいたクロニクルを眺めると、頭の整理にもなってありがたいなあと思ったりしております(自画自賛)。年表大事。
同誌の特集は「バルクアップ! プロテイン文学」です。初めて目にするかもしれない日本語の組み合わせです。
ここでは、岩波文庫に入っているマイケル・ファラデーの著作についてまとめます。
同文庫でのファラデーに割り当てられた著者別分類番号は青909。900番台は自然科学です。著作は以下の3点5冊。
・青909-1:『ロウソクの科学』(矢島祐利訳、1933/12/15; 第24刷改版、1956/09/05)
・青909-1:『ロウソクの科学』(竹内敬人訳、2010/09/16)
・青909-2:『力と物質』(稲沼瑞穂訳、1949/01/15)
・青:『電氣實驗研究(一)』(矢島祐利、稲沼瑞穂訳、1941/12/15)
・青:『電氣實驗研究(二)』(矢島祐利、稲沼瑞穂訳、1945/07/10)
『電氣實驗研究』は著者別分類番号が付されておらず、『岩波文庫総解説目録1927~2016』でも番号は与えられていません(p. 302)。原書全3巻を岩波文庫では全5冊が予告されていたところ、第1・2冊(原書第1巻に該当)のみ刊行されました。この2冊は後に内田老鶴圃から形を変えて再刊されています。
それぞれの本については別のエントリーで記します。
このなかで最も新しい『ロウソクの科学』新訳の巻末に「ファラデー 人と生涯」「文献・資料」が付いており、参考になります。
ここ何年か金沢工業大学の卓上カレンダーの図像選定と解説執筆を担当しています(ディレクションは橋本麻里さん)。
今回は「世界を変えた書物2024」と題して、シモン・ステヴィン『計量法原論』(1586)を表紙に選んでみました。
同大学ライブラリーセンター所蔵の稀覯書コレクション「工学の曙文庫」の蔵書をモチーフに、1月から12月まで12の書物のページを配してあります。
また、ポスター型のカレンダーも制作しました。
ルーサー・バーバンク『植物の育成』(全8冊、中村為治訳、岩波文庫青937-1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8、岩波書店、1955/02/05-1962/06/16; 第5刷、1993/02/10)
1873年、いわゆる「バーバンクの馬鈴薯」を世に送り出した著者(1849-1926)は、獲得形質の遺伝を信じ、多くの果樹、花、野菜、穀物の品種改良にその一生を捧げた。彼の手にかかれば、ブラックベリイは白色に変じ、サボテンのとげはなくなってしまう。その過程で彼のなした淘汰・交雑の執拗な繰り返しは、強く読者の胸を打つであろう。
(『岩波文庫解説総目録1927~2016』(岩波書店、2017)より)
アメリカの植物学者で園芸品種改良家のルーサー・バーバンク(Luther Burbank, 1849-1926)による植物栽培の実験と観察の記録。
Luther Burbank, How Plants are Trained to Work for Man (1921)の邦訳。
原書の書名を直訳した「如何にして植物は人のために働くように訓練されるか」は、邦訳書の扉、書名の脇に添えられている。
各巻は以下の通り。
第1巻:植物の育成
第2巻:接木と芽接
第3巻:果物の改良
第4巻:小果物
第5巻:畑作り
第6巻:有用な植物
第7巻:花たち
第8巻:樹たち、伝記
邦訳第8冊の巻末に詳細な目次と図版のリストが添えられている。
植物育成ということはまだほんの始まったばかりの赤ん坊時代である。その可能性を、そしてその基礎的原理をさえも、知っている人は殆どいない。過去においてはそれは大抵は、ほんの部分的にしか真価を認められなかった物凄い力との面白半分の遊び事であった。そしてそれはまた私たちが蒸気や電気の取扱いに期待するような正確さには近づいていない。
(第1冊、p. 26)
岩波文庫青帯の900番台は自然科学書で、900番台に分類された植物に関する本としては、他に以下の3点がある。
・ドゥ・カンドル『栽培植物の起原』(全3冊、加茂儀一訳、岩波文庫青914-1, 2, 3、1953/10/05-1958/09/05)
・ダーヰン『育成動植物の趨異』(全2冊、阿部余四男訳、岩波文庫青、1937/07/01-1937/10/05)
・メンデル『雑種植物の研究』(岩槻邦男、須原準平訳、岩波文庫青932-1、1999/01/18)
昨年注文した洋書がドイツ方面から届きました。
インゼル社が刊行した文芸叢書の1冊で、ヘルダーリンの詩集です。
1913年刊行で、前の持ち主が署名とともに"24. V. 13"と書き入れているので、おそらく同年に入手したものと思われます。
裏表紙の裏に封筒が貼り付けてポケットにしてありました。中には当時のものと思われる同書の書評の切り抜きが入っていました。
1月14日に本屋B&Bで開催予定の宮崎智之さんとの対談「これから吉田健一の話をしよう」で持参して、ご来場のみなさんに回覧しようと思います。
なぜ吉田健一でインゼル版ヘルダーリン詩集なのかについては、また今度。
このエントリーでは、ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno, 1548-1600)関連の書誌をまとめます。随時追記する予定です。
■A. 著作
★Adelphi Opere (Classici) [版元]
イタリアのアデルフィ社(Adelphi)の叢書「Classici」にブルーノ著作集が4巻と図像集が1巻収録されている。
・Opere magiche (Classici 67, 2000) [版元]*
・Opere mnemotecniche I (Classici 71, 2004) [版元]*
・Opere mnemotecniche II (Classici 73, 2009) [版元]
・Opere lulliane (Classici 76, 2012)[版元]
・Corpus iconographicum (2001) [版元]*
★Giordano Bruno Œuvres complètes (Les Belles Lettres) [版元]
フランスのベル・レットル社(Les Belles Letteres)から「ジョルダーノ・ブルーノ全集」と「同文献・試論篇」が刊行されている。
・Tome I: Chandelier (1993/01/01) [版元]
・Tome II: Souper des Cendres (1994/01/01)
・Tome III: De la cause, du principe et de l'un (2016/10/13) [版元]
・Tome IV: De l'infini, de l'univers et des mondes (2006/11/24) [版元]
・Tome V/1 et V/2: Expulsion de la bête triomphante (1999/01/01) [版元]
・Tome VI: Cabale du cheval pégaséen (1994/01/01) [版元]
・Tome VII: Des Fureurs héroïques [版元]
★Giordano Bruno Œuvres complètes Documents et essais (Les Belles Lettres)
・Tome I: Giordano Bruno, Le Procès de Giordano Bruno (1993/01/01) [版元]
・Tome II: Maria Cristina Figorilli, Per una Bibliografia di Giordano Bruno (1800-1999) (2003/01/01) [版元]
・Tome III: Giovanni Aquilecchia, Giordano Bruno (2007/01/01) [版元]
・Tome IV: Trois couronnes pour un roi (2011/03/25) [版元]
・Tome V: Le edizioni antiche di Bernardino Telesio: Censimento e storia [版元]
*表紙には"Collection Giordano Bruno"という表記も見える。
★「ジョルダーノ・ブルーノ著作集」(全7巻、加藤守通訳、東信堂、1998- )
日本の東信堂から加藤守通訳で全7巻の「ジョルダーノ・ブルーノ著作集」が刊行中。
・第1巻 『カンデライオ』(2003/07)*
・第2巻 『聖灰日の晩餐』(2022/11)*
・第3巻 『原因・原理・一者について』(1998/04)*
・第4巻
・第5巻 『傲れる野獣の追放』(2013/09)*
・第6巻 『天馬のカバラ』(2023/08)*
・第7巻 『英雄的狂気』(2006/06)
★その他
・『無限、宇宙と諸世界について』(清水純一訳、古典文庫、現代思潮社、1967)
・『無限、宇宙および諸世界について』(清水純一訳、岩波文庫青660-1、岩波書店、1982/04/16)
岩波文庫版は、現代思潮社版を元にした文庫版。
・『しるしのしるし』第1部第1節-第23節(岡本源太訳、「あいだ/生成」第6号、pp. 163-171、2016/30/20)[PDF]
・「キュレネの驢馬」(岡本源太訳、「あいだ/生成」第1号、pp. 56-63、2011/03/25)[PDF]
・Giordano Bruno, Opera Omnia (CD-ROM) [版元]
■B. 関連文献
・シェリング『ブルーノ』(服部英次郎+井上庄七訳、岩波文庫青631-3、岩波書店、1955/05/25)*
・岡本春彦『哲人ブルノー』(弘文堂書房、1918/10)
・清水純一『ルネサンスの偉大と頽廃 ブルーノの生涯と思想』(岩波新書青825、岩波書店、1972)
・清水純一『ジョルダーノ・ブルーノの研究』(創文社、1986)
・John Bossy, Giordano Bruno and the Embassy Affair (Yale University Press, 1991)
・フランセス・イエイツ『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』(前野佳彦訳、工作舎、2010/05/18)*
・ヌッチョ・オルディネ『ロバのカバラ ジョルダーノ・ブルーノにおける文学と哲学』(加藤守通訳、東信堂、2002/06/01)
・岡本源太『ジョルダーノ・ブルーノ 生の多様性へ』(シリーズ・古典転生、月曜社、2012/03/01)*
・Michele Ciliberto, Il sapiente furore. Vita di Giordano Bruno (Adelphi, 2023/05/28)
■C. WEB
・「国立国会図書館デジタルコレクション」"ジョルダーノ・ブルーノ"検索結果 [NDL]