ルーサー・バーバンク『植物の育成』(全8冊、中村為治訳、岩波文庫青937-1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8、岩波書店、1955/02/05-1962/06/16; 第5刷、1993/02/10)
1873年、いわゆる「バーバンクの馬鈴薯」を世に送り出した著者(1849-1926)は、獲得形質の遺伝を信じ、多くの果樹、花、野菜、穀物の品種改良にその一生を捧げた。彼の手にかかれば、ブラックベリイは白色に変じ、サボテンのとげはなくなってしまう。その過程で彼のなした淘汰・交雑の執拗な繰り返しは、強く読者の胸を打つであろう。
(『岩波文庫解説総目録1927~2016』(岩波書店、2017)より)
アメリカの植物学者で園芸品種改良家のルーサー・バーバンク(Luther Burbank, 1849-1926)による植物栽培の実験と観察の記録。
Luther Burbank, How Plants are Trained to Work for Man (1921)の邦訳。
原書の書名を直訳した「如何にして植物は人のために働くように訓練されるか」は、邦訳書の扉、書名の脇に添えられている。
各巻は以下の通り。
第1巻:植物の育成
第2巻:接木と芽接
第3巻:果物の改良
第4巻:小果物
第5巻:畑作り
第6巻:有用な植物
第7巻:花たち
第8巻:樹たち、伝記
邦訳第8冊の巻末に詳細な目次と図版のリストが添えられている。
植物育成ということはまだほんの始まったばかりの赤ん坊時代である。その可能性を、そしてその基礎的原理をさえも、知っている人は殆どいない。過去においてはそれは大抵は、ほんの部分的にしか真価を認められなかった物凄い力との面白半分の遊び事であった。そしてそれはまた私たちが蒸気や電気の取扱いに期待するような正確さには近づいていない。
(第1冊、p. 26)
岩波文庫青帯の900番台は自然科学書で、900番台に分類された植物に関する本としては、他に以下の3点がある。
・ドゥ・カンドル『栽培植物の起原』(全3冊、加茂儀一訳、岩波文庫青914-1, 2, 3、1953/10/05-1958/09/05)
・ダーヰン『育成動植物の趨異』(全2冊、阿部余四男訳、岩波文庫青、1937/07/01-1937/10/05)
・メンデル『雑種植物の研究』(岩槻邦男、須原準平訳、岩波文庫青932-1、1999/01/18)