森の図書館司書便り:2023年11月の岩波文庫

ここしばらく、手元に届いた本については、Instagramに写真つきで投稿してきましたが、過去の投稿を参照するのが難しいのと、この頃、広告やらThreads(Meta社によるSNS)との連携やらで、なにかとガチャガチャして居心地がよろしくなくなってきたのとで、本に関する投稿はブログにまとめようかしら、という気になりました。

SNSへの投稿は、より多くの人の目に入る可能性があるので、「こういう本がありますよー」というお知らせにはよいのですが、もとはといえばどんどん流れていくことを前提とした場でもあり、情報を蓄積してときに見直すという用途には向いていないのだなあと、当たり前といえば当たり前のことを思ったりしています。

なにより最近はBluesky(SNS)の居心地のよさに慣れてきたことも大きいかもしれません。つまり、広告が一切表示されず、自分のタイムラインを運営側がアルゴリズムで勝手に並べ替えたり、フォローしていないアカウントの投稿を混ぜ込んできたり、シャッフルしたり、おすすめしたりしてこず、大変静かな環境なのです。

というわけで、例によって三日坊主で終わるかもしれませんが、とりあえず本についての投稿はこのブログを中心にしてみようと思います。

「森の図書館司書便り」と題してタグもつけてみます。

「森の図書館」というのは、いま住んでいる家のこと。本を置くための家に人間が間借りしているような按配なので、半分冗談でそんなふうに呼んでいるのでした。

2023年11月の岩波文庫の新刊は以下の4冊です。発行日はいずれも2023年11月15日。

・川村晃生・柏木由夫・伊倉史人校注『金葉和歌集』(岩波文庫黄30-1)

・イリイチ『シャドウ・ワーク』(玉井芳郎・栗原彬訳、岩波文庫白232-1)

・フロイト『精神分析入門講義』(高田珠樹・新宮一成・須藤訓任・道籏泰三訳、岩波文庫青642-3)

・ロゲルギスト『精選 物理の散歩道』(松浦壮編、岩波文庫青956-1)

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『金葉和歌集』は、新日本古典文学大系『金葉和歌集 詞花和歌集』(岩波書店、1989)に基づき、注などを改編して文庫化したものとのこと。

かつて同じ番号(黄30-1)で松田武夫校訂『三奏本 金葉和歌集』(1938)が入っていましたので、今回の新刊はその置き換えとなるわけですね。

 

イヴァン・イリイチ『シャドウ・ワーク』は、1982年9月に岩波書店から刊行され、2006年9月に岩波現代文庫版として刊行された本を底本とした岩波文庫版。

原書はIvan Illich, Shadow Work (Marion Boyars, 1981)で、これに1980年12月「アジア平和研究国際会議」での講演を加えたもの。

岩波文庫版では栗原彬「ヴァナキュラーな生を求めて」が追加されているようです。

 

フロイト『精神分析入門講義(下)』は、先月刊行された上巻に続くもので、上下巻完結。

岩波書店から刊行された『フロイト全集』(全22巻+別巻)の第15巻『精神分析入門講義』(2012年5月刊行)を改訂したとのこと。

原書はSigmund Freud, Vorlesungen zur Einführung in die Psychoanalyse (1916-1917)。

第1部「失錯行為」、第2部「夢」を収めた上巻に続いて、この下巻には第3部「神経症総論」と解説、索引が収録されています。

岩波文庫には、フロイド『日常生活に於ける精神病理』(丸井清泰訳、岩波文庫青642-1、1941/03/05)が入っていましたが、これはフロイト『日常生活の精神病理』(高田珠樹訳、岩波文庫青642-1、2022/06/15)という、これも『フロイト全集』第7巻(2007年1月)を元にした新訳に置き換えられています。

というわけで、目下の岩波文庫に入っているフロイトの著作は2作品3冊となりました。

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ロゲルギスト『精選 物理の散歩道』は、かつて中央公論社が刊行していた雑誌「自然」に掲載されていた物理学エッセイをもとにした本『物理の散歩道』から精選したもの。

ロゲルギストとは、何人かの物理学者のグループの名前。この本の書誌については、別途整理するつもり。

 

また、まだ書店で出会っていないのですが、2023年11月の重版書目は以下の2冊でした。

・『紫式部集 付 大弐三位集・藤原惟規集』(南波浩校注、岩波文庫黄15-8)

・ベーコン『ノヴム・オルガヌム(新機関)』(桂寿一訳、岩波文庫青617-2)

それから、同じく2023年11月の岩波現代文庫の新刊は、以下の2冊です。発行日は2023年11月15日。

・笙野頼子『未闘病記 膠原病、「混合性結合組織病」の』(岩波現代文庫文芸354)

・柄谷行人『帝国の構造 中心・周辺・亜周辺』(岩波現代文庫学術470)

笙野頼子『未闘病記』は、2014年に講談社から刊行された本をもとに、内容を一部変更し、日本慢性看護学会講演録「膠原病を生き抜こうーー生涯の敵とともに」を収録したもの。「岩波現代文庫版後書き」も収録されています。岩波現代文庫では、2023年9月に入った『母の発達・アケボノノ帯』(文芸351)に続く2冊めです。

 

柄谷行人『帝国の構造』は、2014年8月に青土社から刊行された本をもとに、「韓国語版への序文」(2016年4月)と佐藤優氏との対談「柄谷国家論を検討するーー帝国と世界共和国の可能性」(『現代思想』2015年1月臨時増刊号「総特集=柄谷行人の思想」)の一部を追加したもの。また、「岩波現代文庫版へのあとがき」も追加されています。