時代の残照

田口久美子『書店風雲録』本の雑誌社、2003/12)は、元リブロ勤務の経験を持つ筆者が、リブロの立ち上げから現在までをルポルタージュした書物。関係者の証言や筆者の回想を通じて、リブロが輝いていた(?)1980年代の熱気のようなものが紙面から立ちのぼる。ちょうどSTUDIO VOICEが1970-80年代の雑誌文化を特集しており、得体の知れないにぎやかさを垣間見ることができる。


先ごろ復刻された「スネークマン・ショー」の一連のギャグ、『「浅田彰」――「知のアイドル」』に寄せられたエッセイの奇妙なテンション(とりわけ栗本薫中上健次のそれ)、筑紫哲也が若き表現者たちにインタヴューした朝日ジャーナルの連載企画「若者たちの神々」に登場する面々とその熱っぽい語り。気のせいかとは思うけれど、この時代の産物に触れると、なにか通低するものを感じることがある。


先人たちの祭りの活気でたった、もうもうたる土煙がそろそろしずまってくるころだろうか。やはりここはどなたかに『ハイスクール1978』を書いていただきたいと思う。「革命」や「闘争」といった大きな物語がなかったとしても、そのなさっぷりがどんな風に感知されたのかを知りたいのです。