『IDEA』(誠文堂新光社)の第367号は、オルタナ編集者・郡淳一郎さんの構成・文による特集「日本オルタナ文学誌 1945-1969 戦後・活字・韻律」。
表紙には、英文で"An Alternative History of Poetry in Japan 1945-1969 or A Gutenberg Elegy in a Thousand and One Steps"とある。ここで「文学」とは「詩」を意味していることが示唆されている。小説は? という向きは、「第2章 書物の王としての詩集」の扉に置かれた文をお読みいただくとよいだろう。
例によって選び抜かれた書物の姿や書誌を眺める楽しみはもちろんのことながら、随所に配された郡淳一郎さんの言葉が実にいい。目にして変な気分になる言葉には、確かに力が籠っている。『映画史』で、次々と繰り出される、どこかぶっきらぼうでありながら、一度目/耳にすると気になり続けてしまうジャン=リュック・ゴダールの言葉のように、郡さんの言葉は脳裏に食い込んでくる。それで、この雑誌が手元に来てからというもの、繙くたびにそうした言葉を繰り返し読んでいるところ。
この企画の構成は以下の通り。
第1章 墓標または種子
1 岩波文庫
2 新潮文庫・個人文学全集
第2章 書物の王としての詩集
3 伊達得夫:書肆ユリイカ
4 小田久郎:思潮社
5 山田耕一・鈴木一民・大泉史世:書肆山田
6 木村栄治:七月堂
第3章 人力テクノ的、自宅録音的
7 草間京平:黒船社、日本謄写印刷研究所、草間作品頒布会
8 若山八十氏:日本孔版研究所
9 亀山巌:名古屋豆本
10 佐々木桔梗:プレス・ビブリオマーヌ
第4章 アングラあるいは澁澤スクール
11 石井恭二:現代思潮社
12 矢貴昇司:桃源社
13 雲野良平:美術出版社
14 矢牧一宏・内藤三津子:河出書房、東京書籍、七曜社、芳賀書店、天声出版、都市出版社、薔薇十字社、出帆社
わたくしは、縁あって「1 岩波文庫」と「11 石井恭二:現代思潮社」を書かせていただいた。
同誌第354号(2012/09)の「日本オルタナ出版史 1923-1945」に続く企画であり、1970年以後については乞うご期待。
永原康史「インフォグラフィックスの潮流」、ばるぼら×野中モモ「日本のZINEについて知ってることすべて」などの連載も嬉しい。
⇒idea magazine > No. 367
http://www.idea-mag.com/jp/publication/367.php