はやく言ってよ、仮想デスクトップ

昔、なにで読んだのだったか、井筒俊彦さんが自宅で本を読むとき、ここはアラビア語、こっちはロシア語と、言語ごと(あるいは本ごと)に別の場所に置いているという話を目にして、それはいいアイデアだなあと思ったことがあった(うろ覚えなので偽記憶かもしれない)。

最近、パソコンで複数種類の仕事を並行して皿回しのように進めながら、「ああ、デスクトップも井筒さんの机のように場所ごとに別の仕事を割り振れるといいのにな」と思い、そういうツールは誰かつくっているに違いないと探してみたところ、Windows10には「仮想デスクトップ」という仕組みが備わっていることをいまさらながら知ったのだった。灯台もと暗しとはこのことか。

「仮想」という名称があまり気に入らないのは措くとして、要するにデスクトップを複数つくり、操作によってディスプレイに表示する対象を切り替えられるという仕組みである。

例えば次のような操作がある。

Windows+ctrl+d:仮想デスクトップを作成する。

Windows+ctrl+←あるいは→:作成済み仮想デスクトップを切り替える。

Windows+tab:現在存在している仮想デスクトップの一覧を表示する。

そういえば、Windows3.1のころから、OSの操作法やマニュアルというものを読んだことがなく、OSに用意されている機能を十分に使わないどころか、どんな機能があるのかも弁えないまま使ってきたツケがこういうところで回ってきたのだろうか違うか。

それはさておき、これからしばらく仮想デスクトップを試してみようと思う。

というのも、仕事ごとに開いておきたいツールやサイトがあって、これを一つのデスクトップでやると、単なる混沌の渦となり、毎回片付けたり切り替えたりするのが手間なのだった。

例えばいまなら、大学の仕事用、各種連載、翻訳、執筆など、仕事ごとにデスクトップを分けてみたい。

使う前に懸念されることがあるとすれば、いま画面に表示している以外のデスクトップの存在を忘れてしまうことだろうか。画面のどこかに常に他の仮想デスクトップの存在を知らせる表示があるとよいと思う。これまた、どなたかがそういうツールをつくっているのではないかと期待している(他力本願)。