神保町を歩いていると、探していた『西周全集』が目にはいる。これ、そのつど図書館から借り出すのがタイヘンだからなァ――汚損せぬよう気遣わねばならぬし、しかも漢文なので読解に時間がかかることったらない――、と理屈にもならないことを考えつつ、ほかにも気になっている叢書があるからどうしようなどとたのしく迷いながら歩く*1。
これまた手元になく、書店店頭でも見かけなくなったコプチェクの本を、まえからそこにおいてあることを知りつつ訪れるたび別の書物を手にしてしまう誘惑の多い書店で*2、木下長宏の『中井正一』とともに手にいれる。
にわかにしのつく雨のなか、細い路地の喫茶店に。そのお店の来歴などをうかがって、店内がにわかにかつての姿とオーヴァーラップして見えてくる神保町のマジック・リアリズム。水木しげるの漫画の登場人物みたような武田泰淳も「やぁ」とかいいながらうろつきはじめる。
ちなみに、近代デジタルライブラリー(国立国会図書館所蔵の明治期刊行物を電子化したデータベース)で検索をかけると、西周の著作を閲読することができる。