趣味という防衛本能


ニーチェ『この人を見よ』(川原栄峰訳、ニーチェ全集15、ちくま学芸文庫ニ1-15、筑摩書房、1994/06、amazon.co.jp

ところでこの自己保存の本能がまごうかたなく最もはっきりと現われるのは自己防衛本能としてである。多くを見ない、多くを聞かない、多くを身に寄せつけない――これが第一の狡智であり、自分が決して偶然であるのでなく、一個の必然なのだということの第一の証拠である。この自己防衛本能を普通は趣味という語で言い表している。


この「趣味」という自己防衛本能を越えてなにかに出会うのは存外むつかしい。