筆者からのおねがい。誠にお手数ですがお手元にクレイジーキャッツのレコードをお持ちの方は、「五万節」を流しながら以下の文章をお読みください。
まことに遺憾ながらお手元にご用意がない方はいまからでも遅くないので「クレイジーキャッツ」のレコードを入手してください。はァ〜シャクだったァ。
お話はかわって。
『日本映画文献書誌——明治・大正期』(雄松堂書店、2003、amazon.co.jp)というトンデモナイ書物がある。
全三冊からなる書物で、編者は牧野守という人物。
この本は、編者が40年以上をかけて渉猟した明治・大正期の映画関係書を中心に編まれた映画書の文献案内。総ページ数は2000ページを超えようかという大著で、繙くと映画の文献が時系列にえんえんと並んでいる。
まえがきやあとがきを読んでいたらこの編者の偏執っぷりがうかがわれて可笑しい。最初は文献をふつうに集めていただけなのだけれど、集めるほどにますます熱中し、ついには本を集めるだけでは飽き足らず、ほうぼうの図書館や関連施設、はてはコレクターの家に赴いて、書誌事項をカードに採取。集めたカードは五万枚(文字通りなところが恐ろしい)。
そのカードを整理してまとめたのがこの書物というわけ。いくら書物の目録を眺めるのが好きな愚生といえども、五万件(より正確には56000件)の映画書書誌を眺めているとくらくらめまいがする。そう、ページからあきらかに危ない瘴気がたちのぼっている。そこに印刷されている書誌以前に、これだけのカードを集めた編者の狂気、じゃなくて熱意に頬がゆるんでしまう。「阿呆だなァ(←これ褒め言葉)」とつぶやきながらページを繰ることしばし。
この文献、価格も剛毅で本体価格が86000円。
それでもお買い求めのあなたは、下記サイトでまずはご検討あれ。
⇒雄松堂 > 『日本映画文献書誌』紹介
http://www.yushodo.co.jp/press/movie/