★ジョン・スターリング『大脳皮質と心——認知神経心理学入門』(苧阪直行+苧阪満里子訳、心理学エレメンタルズ、新曜社、2005/04、amazon.co.jp)#0402
John Stirling, Cortical function(Routledge Modular Psychology, Routledge, 2000)
新曜社より「心理学エレメンタルズ」シリーズの刊行がはじまった。同シリーズは、Routledge Modular Psychology Series(ラウトリッジ・モデュラー式心理学叢書)の邦訳版である。
本書はその一冊で、書名のとおり大脳皮質を中心とした脳の諸機能について解説している。類書は多数あるものの、一般の読者(非専門家)にとってその多くは中味が硬すぎるか量が多すぎるというハードルがある。その点、本書は160ページほどのヴォリュームのなかで以下のような要素をコンパクトに解説している。訳文も読みやすい。
・第1章 脳と心のはたらき
・第2章 脳の構造
・第3章 神経心理学の方法
・第4章 ラテラリゼーション
・第5章 感覚と運動機能
・第6章 言語と脳
・第7章 視覚のメカニズムと知覚
・第8章 3つの研究報告
章末ごとに読書案内もついているので意欲的な読者には便利だ。
ただし、原題にはなく邦題に付された副題「認知神経心理学入門」については一言説明があってもよかったのではないかと思う(本文でも「認知神経心理学」なる言葉が解説されているわけではない)。たとえば神経心理学や認知科学とはどう異なるのか、など。そうでないと本の内容を理解できても副題の意味がわからないまま本書を閉じることになるのではなかろうか。
同シリーズの同時配本は三冊で、残りの二冊は下記のとおり。
☆フィリップ・バニアード『心理学への異議』(鈴木聡志訳、新曜社、2005/04、amazon.co.jp)
☆アン・サール『心理学研究法入門』(宮本聡介+渡邊真由美訳、新曜社、2005/04、amazon.co.jp)
⇒新曜社 > ジョン・スターリング『大脳皮質と心』
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/4-7885-0942-3.htm
⇒A-LEVEL PSYCHOLOGY ONLINE > Routledge Modular Psychology Series
http://www.a-levelpsychology.co.uk/mod/mod_titles.asp