『みすず』no.529、2005年7月(みすず書房


川田順造(かわだ・じゅんぞう)氏による「光芒を放ちつづける巨星」は、2004年10月にレルヌ叢書(L'Herne)から特集号(第82号)が刊行されたクロード・レヴィ=ストロース(Calude Lévi-Strauss, 1908- )にまつわるエッセイ。冒頭を引いておこう。

人類学の研究成果を世界認識の視座にまで高め、広汎な知の領域に衝撃を与えたクロード・レヴィ=ストロースが、旺盛な著作活動を開始して半世紀余りになる。本人はあくまで学問の方法論だという構造主義が、思想としてもてはやされ、十分に理解されてすらいない状態のまま、脱構築、ポスト構造主義などのスローガンによって、乗り越えられたかのような幻覚が振りまかれ始めてからも三十年くらいにはなるだろうか。欧米の思想界の動向に過敏で、あちらの流行に後れまいと追従しがちな私たち日本人は、レヴィ=ストロースが提起した問題を、この間、どれだけ理解し、主体的に検討しただろうか。



本号には、レヴィ=ストロースによる書評ルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果ての旅』」(有田英也訳、1933)と、「アメーバの譬え話」(出口顯訳、2000)が訳出されている。


みすず書房
 http://www.msz.co.jp/


⇒Éditions de L'Herne(仏語)
 http://www.editionsdelherne.com/