芹沢一也さんと荻上チキさんが編集するメールマガジン「αシノドス」Vol.16に、「思想誌空間」の第8回を寄稿しました。


「思想」という言葉の来歴をたどる連載エッセイです。今回は、福澤諭吉の著作に見える「思想」という言葉の使われ方を検討しています。


福澤の主著に『学問のすゝめ』(明治5年=1872)と、文明論之概略(明治8年=1875)があります。「思想」という言葉を使っていてもよさそうな前者にはこの言葉は見えず、福澤の著作では後者で初めて登場するのです。


三枝博音によると、日本で初めて「思想」という言葉を現在と同じ意味で使ったのは、福澤諭吉らしいのですが、福澤はいったいこの言葉をどのようにして使うようになったのか。


「思想」という語が普及する以前、この語の代わりに用いられていた言葉があるとすれが、それはなんだったのか。この辺りのことも、上記した二冊を比べることでなにか見えてくるのではないかという心算です。


手がかりは、福澤が読み込んだギゾー、バックル、ミルといった人々の著作とその翻訳にあると睨んでいます。この辺りのことは次回(vol.18掲載予定の第9回)で書く予定です。


αシノドス vol.16 (2008/11/15)目次

 【1】編集部より 芹沢一也
 【2】シノドス・セミナー / 吉田徹「ニッポンの民主主義(後半)」
 【3】特別再録 / 吉田徹「闘うデモクラシーの冒険」
 【4】連載エッセイ / 山本貴光「思想誌空間8 : 思想の条件 / 福澤諭吉の場合(1)」
 【5】創作 / 吉田アミ「くーねるさん」
 【6】情報通信 / 河村信「河村書店:人文・社会(学)系ニュース―日々編集中」


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