先日お知らせしたケイティ・サレン+エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎(上)』(ソフトバンク クリエイティブ、2011、ISBN:4797334053)の見本が届きました。
いろいろな思案と試みとハプニングの結果、こんなふうにとてもシンプルな表紙になりました(真っ白!)。ページ総数は650ページほどですが、使われている紙のおかげか、それほど「分厚い!」という印象ではありません。本文は縦書きで、原注と訳注は見開きごとに左端にまとめて掲載する方式を採っています。これはもっぱら、注を含めて全部読みたい読者の便宜を考えてのことでありました。注を巻末にまとめて、本文は本文だけのすっきりした版面も好きですが、今回は読解のための取り回しを優先してみたのです。
「訳者あとがき」にも少し書かせていただきましたが、本書は書店の置き場に困る書物かもしれません。この本は、ゲーム全般をいかにデザインするか、どのように分析するかという書物です。昨今、注釈なしに「ゲーム」や「ゲームデザイン」といえば、まずはコンピュータゲームやヴィデオゲームを連想するかもしれませんが、本書が扱うのはそうしたディジタルゲームも含む、ゲーム全般です。
書店にゲーム研究書やゲーム書の棚がしっかりあればよかったのですが、なかなかどうしてそう都合のよい棚があることは稀です。それだけに、本書をどこに置くか、結構迷われるかもしれません(ISBNのコートから機械的に分類する場合は別として)。おそらくは、コンピュータ書コーナーのゲーム関連書籍と共に並べられるのではないかと思います。
版元のウェブサイトでも、本書は「コンピュータ書籍」の「プログラミング」に分類されています(といってもこれはおそらく編集を担当してくださった部署の管轄に関係があるのかもしれません)。とはいえ、同書はコンピュータ書でもなければ、ましてやプログラミング書でもないので、いささか紛らわしいのも確かです。
というわけで、少し細かい目次をもう一度掲げたいと思います。これをご覧いただくと、本書がいわゆる「人文系」の観点からのみならず、「理系」の観点からもゲームを捉えようとしていることがお分かりいただけでしょう。
・目次
・序――フランク・ランツ
・はじめに――ケイティ・サレン+エリック・ジマーマン
・第01章 この本について
・第02章 デザインの進め方
・依頼エッセイ――ライナー・クニツィア
・第03章 意味ある遊び
・第04章 デザイン
・第05章 システム
・第06章 インタラクティヴィティ
・第07章 ゲームを定義する
・第08章 ディジタルゲームを定義する
・第09章 魔法円
・第10章 主要図式
・招待ゲーム1――リチャード・ガーフィールド
・第11章 ルールを定義する
・第12章 三つの水準のルール
・第13章 ディジタルゲームのルール
・第14章 創発システムとしてのゲーム
・第15章 不確かさのシステムとしてのゲーム
・第16章 情報理論システムとしてのゲーム
・第17章 情報システムとしてのゲーム
・第18章 サイバネティックシステムとしてのゲーム
・第19章 ゲーム理論システムとしてのゲーム
・第20章 対立のシステムとしてのゲーム
・第21章 ルールを破るということ
・招待ゲーム2――フランク・ランツ
・訳者あとがき
・索引
書店に並ぶのは、1月26日前後の予定です。
誤植・誤記・誤訳、追加情報などについての補足も、この場でまとめて参りたいと思います。
⇒ソフトバンク クリエイティブ
http://www.sbcr.jp/products/4797334053.html
⇒作品メモランダム > 2011/01/04 > お待たせしました(『ルールズ・オブ・プレイ』上巻刊行予定)
http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20110104