月曜日は東京工芸大学で「ゲーム学I」(本厚木キャンパス)と「シリアスゲーム論」(中野キャンパス)の講義。鞄に清水真木『感情とは何か――プラトンからアーレントまで』(ちくま新書1076、2014/06、ISBN:4480067817)を放り込んで出かける。電車やらバスに乗るあいだ、むさぼり読むという感じで読み進んだ。乗り物が目的地に着いたとき、「もうちょっとこのまま読み続けるために乗り続けたい(どこへ到着するのでもよいから)」などと感じるのがその指標でもある。


目下、当方が「感情」や「情緒」に関心を懐いているということもあるけれど、それを差し引いても「感情とは何か」という問題を、さらに創造的な問いへと練り上げてゆく手際に教えられるところが多かった。「感情の本質は、私と世界の関係をめぐる真理(=真相)の表現である点にある」(同書21ページ)というのが、同書の根底にある見立てであり、この観点から西洋の哲学史で提出されてきた感情論を整理しつつ検討にかけている。また、感情の科学に対する疑義を提示してもいる。


まだ一読したばかりで十分腑に落ちていない点もあれこれあるものの、再読、再々読を重ねつつ検討を重ねたい。まったくの余談だけれど、「おわりに」に、ここ数年、吉川君ともども書籍執筆のお約束をしながら約束を果たせずにいる筑摩書房の編集者、湯原法史さんのお名前をお見かけして、気が引き締まったのはさてどういう心の動きであろうか(頑張ります)。


■目次

はじめに
序章 感情の問題とは何の問題か
第一章 感情の哲学、あるいは驚きと悦びについて
幕間 感情の分類、あるいはストア主義について
第二章 感情の科学、あるいは情動主義について
幕間 感情の受動性、あるいは機械論的決定論について
第三章 感情の伝達、あるいは公共性への意志について
おわりに


■書誌


書名:感情とは何か――プラトンからアーレントまで
著者:清水真木
叢書:ちくま新書1076
頁数:250ページ
発行:2014年06月10日
版元:筑摩書房
定価:800円+税