過日、夏目漱石『文学論』をご研究の服部徹也さんと、新宿区立漱石山房記念館で対談をしました。
「来たるべき文学のために ――『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)刊行を機に」と題して『文学論』と拙著について話しあっております。
服部さんは『文学論』にかんして以下のような論文も発表されており、目下は博士論文の執筆を終えられたところです。
(以下の論文の多くは、下記リンク先でダウンロードできます)
・「漱石における「間隔的幻惑」の論理――『文学論』を精読し『野分』に及ぶ――」
・「漱石『文学論』成立の一側面――中川芳太郎筆草稿「第五編 集合Fの差異」を視座として――」
・「帝大生と『文学論』――漱石講義の受講ノート群をめぐって――」
・「《描写論》の臨界点――漱石『文学論』生成における視覚性の問題と『草枕』――」
・「「不都合なる活版屋」騒動からみる漱石『文学論』――単行本の本文異同調査を中心に――」
・「文学の科学への欲望―成仿吾の漱石『文学論』受容における〈微分〉―」
・「『英文学形式論』講義にみる漱石の文学理論構想――「未成市街の廃墟」から消された一区画――」
・「張我軍訳・漱石『文学論』とその時代ーー原著本文異同調査を通した翻訳底本推定を視座にーー」
私も『文学問題(F+f)+』を書く過程で、服部さんの論文を発見して、興味ある問題設定と精緻な論の組み立てに触れ、「現代にも『文学論』について、このような研究をしている人がいるのか」とおおいに勇気づけられました。『文学論』についてさらに進んで検討してみたい読者には、いずれもたいへん有益な論文です。
そこでこのたび、「週刊読書人」編集部から拙著についての対談をしてはいかがかとお声かけいただいて、真っ先に服部徹也さんのお名前を思い浮かべたのでした。博士論文提出前の大変な時期にもかかわらず、快諾をいただいてこのたびの対談となった次第です。
この対談の模様は、12月29日発売の「週刊読書人」2018年1月5日号(12月29日号との合併新年特大号)に掲載予定です。どうぞお楽しみに。