「フンボルトに現代科学は何を学ぶのか」ブックリスト

02月18日(土)の『WIRED』ミニカンファレンス「WIRED on WIRED DX」第1部「フンボルトに現代科学は何を学ぶのか」松島倫明さん(『フンボルトの冒険』担当編集・NHK出版編集長)と対談をしました。司会は同誌編集長の若林恵さん

対談中ご紹介した本と機会があれば紹介するつもりでいた本をリストにしてみました(ライヴのセットリスト風に)。青字のものが対談で言及した本です。


★アンドレア・ウルフ『フンボルトの冒険――自然という〈生命の網〉の発明』(鍛原多惠子訳、NHK出版、2017)

★山本貴光『「百学連環」を読む』(三省堂、2016) 

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

 

 

「百学連環」を読む

「百学連環」を読む

 

 

■学術史を遡ると遭遇する人物の例

★「アリストテレス全集」(全20巻+別巻、岩波書店、刊行中)

★「ライプニッツ著作集」(第I期全10巻、第II期全3巻、工作舎)

★ヤーコプ・グリム+ヴィルヘルム・グリム『グリム兄弟言語論集――言葉の泉』(ひつじ書房、2017/03刊行予定)

★ヴィルヘルム・フォン・フンボルト『言語と精神――カヴィ語研究序説』(亀山健吉訳、法政大学出版局、1984) 

ライプニッツ著作集 第II期 第1巻 哲学書簡

ライプニッツ著作集 第II期 第1巻 哲学書簡

  • 作者: ゴットフリート・W・ライプニッツ,酒井潔+佐々木能章,山内志朗+伊豆藏好美+上野修+谷川多佳子ほか
  • 出版社/メーカー: 工作舎
  • 発売日: 2015/05/26
  • メディア: 単行本
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■学問の分類について

★フランシス・ベーコン『学問の進歩』(服部英次郎+多田英次訳、岩波文庫、1974)

★ディドロ+ダランベール編『百科全書――序論および代表項目』(桑原武夫訳編、岩波文庫、1995)

★アンドレ=マリー・アンペール『諸学の哲学に関する試論』(1838)〔未訳〕

★オストワルト『科学の体系――科学的な思考と労作への道』(文部省科学教育局訳、岩波書店、1947)

★Michael Gordin, Scientific Babel: The Language of Science from the Fall of Latin to the Rise of English (Profile Books, 2015) 

百科全書―序論および代表項目 (岩波文庫)

百科全書―序論および代表項目 (岩波文庫)

  • 作者: ディドロ,Didorot,ダランベール,d’Almbert,DALMBERT,桑原武夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/07/17
  • メディア: 文庫
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■知の共和国/書簡のネットワーク

★ハンス・ボーツ+フランソワーズ・ヴァケ『学問の共和国』(池端次郎+田村滋男訳、知泉書館、2015)

★金子努『オルデンバーグ――十七世紀科学・情報革命の演出者』(中公叢書、中央公論新社、2005)

★『デカルト全書簡集』(全8巻、知泉書館、2012-2016)

★Sir Harold Hartley, Royal Society: Its Origins and Founders (The Royal Society, 1960)

学問の共和国

学問の共和国

  • 作者: ハンスボーツ,フランソワーズヴァケ,Hans Bots,Fran〓oise Waquet,池端次郎,田村滋男
  • 出版社/メーカー: 知泉書館
  • 発売日: 2015/01
  • メディア: 単行本
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■科学と芸術

★石原あえか『科学する詩人ゲーテ』(慶應義塾大学出版会、2010)

★『湯川秀樹 詩と科学』(STANDARD BOOKS、平凡社、2017)

★レナード・ムロディナウ『ファインマンさん 最後の授業』(安平文子訳、ちくま学芸文庫、2015)

★夏目漱石『文学論』(上下巻、岩波文庫、2007)

★Charlotte Sleigh, Literature & Science (palgrave, 2010) 

科学する詩人ゲーテ

科学する詩人ゲーテ

 

 

■自然絵画/知のヴィジュアライゼーション

★牧野富太郎『植物学講義』第1巻(大日本博物学会、1913)

 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/941413

★牧野富太郎『植物学講義』第2巻(大日本博物学会、1913)

 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/941414

★小山修三『梅棹忠夫 語る』(日経プレミアシリーズ、2010)

★ヘッケル『生物の驚異的な形』(河出書房新社、2014)

★Edited by Horst Bredekamp, Vera Dünkel, and Birgit Schneider, The Technical Image: A History of Styles in Scientific Imagery (University of Chicago Press, 2015)

★三中信宏(分)+杉山久仁彦(図版)『系統樹曼荼羅――チェイン・ツリー・ネットワーク』(NTT出版、2012)

★マニュエル・リマ『THE BOOK OF TREES――系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィクス』(三中信宏訳、2015)

★バーバラ・M・スタフォード『実体への旅――1760年-1840年における美術、科学、自然と絵入り旅行記』(高山宏訳、産業図書、2008)

★橋本毅彦『図説科学史入門』(ちくま新書、ちくま書房、2016)

★石原あえか『近代測量史への旅――ゲーテ時代の自然景観図から明治日本の三角測量まで』(慶應義塾大学出版会、2015)

★J. A. コメニウス『世界図絵』(井ノ口淳三訳、平凡社ライブラリー、1995) 

生物の驚異的な形

生物の驚異的な形

 

 

■フンボルト

★アレクサンダー・フォン・フンボルト『コスモス』〔未訳〕

★アレクサンダー・フォン・フンボルト『新大陸赤道地方紀行』(全3巻、大野英二+荒木善太訳、17・18世紀大旅行記叢書、岩波書店、2001)

★アレクサンダー・フォン・フンボルト『自然の諸相』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2012)

★ダグラス・ボッティング『フンボルト――地球学の開祖』(西川治+前田伸人訳、東洋書林、2008)

★佐々木博『最後の博物学者アレクサンダー=フォン=フンボルトの生涯』(古今書院、2015)

★ピエール・ガスカール『探検博物学者フンボルト』(沖田吉穂訳、白水社、1989)

★手塚章『地理学の古典』(古今書院、1991)

★手塚章『続・地理学の古典――フンボルトの世界』(古今書院、1997)

★ダニエル・ケールマン『世界の測量――ガウスとフンボルトの物語』(瀬川裕司訳、三修社、2008)

★リン・バーバー『博物学の黄金時代』(高山宏訳、異貌の19世紀、国書刊行会、1995)

Kosmos: Entwurf einer physischen Weltbeschreibung

Kosmos: Entwurf einer physischen Weltbeschreibung

 

 

■フンボルトの影響

★チャールズ・ダーウィン『新訳ビーグル号航海記』(上下巻、荒俣宏訳、平凡社、2013)

★「ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション」(インスクリプト、2017)

★佐藤恵子『ヘッケルと進化の夢――一元論、エコロジー、系統樹』(工作舎、2015) 

ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく

ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく

 

 

■蒐集・比較

★松居竜五『南方熊楠――複眼の学問構想』(慶應義塾大学出版会、2016)

南方熊楠――複眼の学問構想

南方熊楠――複眼の学問構想

 

 

■ゲーテ

★『ゲーテ形態学論集・動物篇』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2009)

★『ゲーテ形態学論集・植物篇』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2009)

★『ゲーテ地質学論集・鉱物篇』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2010)

★『ゲーテ地質学論集・気象篇』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2010)

★『ゲーテ スイス紀行』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2011)

★ゲーテ『色彩論』(木村直司訳、ちくま学芸文庫、2001) 

ゲーテ形態学論集・植物篇 (ちくま学芸文庫)

ゲーテ形態学論集・植物篇 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: ヨハン・ヴォルフガング・フォンゲーテ,Johann Wolfgang von Goethe,木村直司
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/03/10
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■若林編集長が言及した本

★エルヴィン・シャルガフ『ヘラクレイトスの火――自然科学者の回想的文明批判』(村上陽一郎訳、同時代ライブラリー、岩波書店、1990)

★カール・クラウス著作集(全10巻+別巻1、法政大学出版局、刊行中)

 

 

ハンフリー・デイヴィーのノートを見たい

ハンフリー・デイヴィー(Sir Humphry Davy, 1778-1829)のノートを見たい。

おそらくほかの誰よりも、デイヴィーはフンボルトが理想とする生活を送っていた。彼は詩人であり化学者でもあったのだ。彼はノートの片側のページには実験の客観的な記述を収め、もう片側のページには自分の反応や感情の動きなどを書いた。

(アンドレア・ウルフ『フンボルトの冒険』(鍛原多惠子訳、NHK出版、2017、214ページ)

 

まだよく調べていないのだけれど、

"Here Here Sir Humphry E. Davy-- playing with your chemistry set again? Boom de Boom!", Potassium? -Sodium?

というページにノートの一部とおぼしき写真が載っていた。

 

http://www.scitechantiques.com/Davy-potassium/IMG_5891a%20Davys-log_small.jpg

Hot WIRED on WIRED

2017/02/12追記:おかげさまで満席御礼とのことです。ありがとうございます。

 

2017年02月18日(土)に『WIRED』ミニカンファレンス「WIRED on WIRED DX」に登壇いたします。

『WIRED』Vol.27の特集「サイエンスのゆくえ Before & After Science」関連のイヴェントです。同号には、京都大学の宮野公樹さんとの対談が掲載される予定です。

当時の予定はこんな具合。

私は、松島倫明さんと対談いたします。フンボルトを中心として、「生命の網」、「エコロジー」(ヘッケルが造語した原義での)、「学術大系」といった観点からあれこれお話しできればと念じております。

アレクサンダー・フンボルトの(文字通りの)冒険を描いた『フンボルトの冒険』は本当に楽しい本なので、ぜひ。

15:00-15:10|ご挨拶

15:15-16:15|第一部「フンボルトに現代科学は何を学ぶのか」(聞き手:『WIRED』編集部)

山本貴光(ゲーム作家/文筆家)× 松島倫明(『フンボルトの冒険』担当編集・NHK出版編集長)

16:20-17:20|第二部「科学者の使命としての『直観』」(聞き手:『WIRED』編集部)

長沼伸一郎(物理学者)× 宮野公樹(京都大学・学際融合教育研究推進センター)

17:30-18:30|懇親会

 

wired.jp

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

 

  

「百学連環」を読む

「百学連環」を読む

 

 

Before and After Science――サイエンスのゆくえ

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『WIRED』vol.27(コンデナスト・ジャパン)が刊行されました。

今回の特集は「Before and After Science――サイエンスのゆくえ」

特集は、テクノロジーと科学の関係を見つめてきた科学哲学者・村上陽一郎のロングインタヴューを収録。さらに、この先科学は豊かさに満ちた「未知の世界」とどう向き合うのか、蔵本由紀、長沼伸一郎、北野宏明、宇川直宏、ピーター・ペジックの5人の賢人に訊いた。民俗学者の畑中章宏は柳田国男とガストン・バシュラールの火の考察から、もうひとつの「科学史」を問い直す。1月の発売された新刊『フンボルトの冒険』から一部抜粋。『フンボルトの冒険』の著者であるアンドレア・ウルフのインタヴューも掲載している。京都大学学際融合教育研究推進センター准教授・宮野公樹とゲーム作家・山本貴光が「サイエンス」の本来を問い直す。”科学”はどこからきて、どこへむかうのかを問う大特集となっている。

(同誌ウェブサイトより)

 

wired.jp

 

おまけ

Before and After Science - Ten Pictures

Before and After Science - Ten Pictures

  • ブライアン・イーノ
  • エレクトロニック
  • ¥1400

 「Before and After Science」と聞いて、ブライアン・イーノのことを思い出したけれど、そういうバンドもあるのね。ポルトガルのバンドのようです。

www.youtube.com

最近読んだもの:アレクサンダー・フォン・フンボルト関連

最近読んだ文章。

長野順子「〈絵のような〉自然から〈自然絵画〉へ――アレクサンダー・フォン・フンボルトにおける観測/観察/観照」(『美学芸術学論集』、2012/03)[ pdf ]

 

大森道子「アレクサンダー・フォン・フンボルトとゲーテ――Physiognomik フィジオグノミークをめぐって」『モルフォロギア:ゲーテと自然科学』Vol. 1980 No. 2)

 

手塚章「アレクサンダー・フォン・フンボルトの地理学思想」(『筑波大学人文地理学研究』第14巻、1990/03)[ pdf ]

 

市川慎一「アレクサンダー・フォン・フンボルトとフランス啓蒙思想家」(『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第2分冊、2007/02)[ pdf ]

 

山内惟介「アレクサンダー・フォン・フンボルト(一)――法文化研究の視点から」(『法学新報』第121巻第7・8号、2014/12)

 

栗林澄夫「科学的思考と芸術の結びつき――アレクサンダー・フォン・フンボルトにおける自然と人間」(『大阪教育大学紀要』第1部門第50巻第2号、2002/01)[ pdf ]

 

野間晴雄「フンボルト・中南米の風景序説――探検から調査への架け橋」(『関西大学東西学術研究所紀要』第41巻、2008/04)[ pdf ]

 

Google Scholar > Alexander von Humboldtの検索結果

 

新連載、始めました。

webちくまで、吉川浩満くんid:clnmn)と共著で新連載を始めました。

題して「人生がときめく知の技法」

第1回は「元祖・自己啓発哲学者、エピクテトスって?」です。

ご覧いただければこれ幸い。

www.webchikuma.jp

人生談義〈上〉 (岩波文庫)

人生談義〈上〉 (岩波文庫)

 

  

人生談義〈下〉 (岩波文庫)

人生談義〈下〉 (岩波文庫)

 

 

紀伊國屋じんぶん大賞2017

紀伊國屋じんぶん大賞2017の大賞に輝いたのは、加藤陽子『戦争まで――歴史を決めた交渉と日本の失敗』(朝日出版社)でした。

紀伊國屋のサイト(下記リンク先)では、加藤先生の受賞コメントも公開されています。

一部を引用します。

私たちがどこへ行くのかを考えるには、私たちがどこから来たのかを考える、これが王道でしょう。危機を感じた時、人々はどのような選択をしてきたのか、これを考えるのが歴史です。私には、「歴史」に対する希求が社会の中に顕現してきたように感じられるのです。歴史の役割と醍醐味は、過去を正確に描きながらも、未来を創り出す力があるところだと思います。

よろしく拳々服膺したい言葉であります。

なお、同サイトでは、ベスト30のそれぞれの本についても、推薦者の言葉が紹介されています。

www.kinokuniya.co.jp

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗