★073/1021:カール・クラウス『黒魔術による世界の没落』(山口裕之+河野英二訳、エートル叢書18、現代思潮新社、2008)
*手元に来た本を記録するシリーズです。
Karl Kraus, Untergang der Welt durch schwarze Magie. (Kösel-Verlag, 1960)の抄訳。
原書49篇から18篇、ページ数では4割を訳出とのこと。
収録された文章は次のとおり。
・黙示録
・勝利者の像
・印刷と転載
・私を黙殺する権利と義務
・地震の後で
・ハラキリと文芸欄
・ライオンの頭、あるいは技術の危険性
・ハイネとその顛末
・ハイネとその顛末 あとがき
・二つの生き方のあいだで
・ネストロイと後世
・ヨーロッパ文化の到来だ
・ニグロ
・白人女と黒人男
・あいつぁユダヤ野郎じゃねえか!
・貴族との交際への憧れ
・フランツ・フェルディナントと才覚者たち
・黒魔術による世界の没落
・解説
・訳者あとがき
冒頭の「黙示録(読者への公開書簡)」にこんな一節がある。
われわれは機械を作り出すのに十分な複雑さを備えていた。いまやわれわれはあまりに原始的になり、機械を自分に仕えさせることもできない。
(同書、7ページ)
なんだかSNSで連日どこかでなにかが「炎上」しているのを眺めているときの気分を思い出す。
偶然ではあるけれど、現在、人工知能の深層学習技術などが「黒魔術」と呼ばれているのを連想すると、味わい深いタイトルでもあります。
版元である現代思潮新社による同書の紹介ページはこちら。