『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の内容と予約特典のご案内

こんにちは。ご機嫌いかがでしょうか。

ここで何度かお伝えして参りました『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)が刊行となります。今回は、書影とともに中味をチラリとお見せしたいと思います。

 

まずはカヴァーをご覧ください。

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(写真1.カヴァー)

ブックデザインは小沼宏之さん、編集は中村健太郎さんです。

592ページの厚さのおかげで(!)、背にも書名を横書きできます。

背にうっすらと文字が浮かび上がっているのをご覧いただけるでしょうか。

 

表紙を、正面から撮影するとこのように見えます。 

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(写真2.表紙)

帯には謎の図も(正体は、本文中で解説しています)。

 

もう少し近づくと……

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(写真3.表紙のアップ)

ほら、光と影で文章が。

 

裏表紙はこんな具合。帯にはもう一つ謎の図が。

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(写真4.裏表紙)

 

では、中を見てみましょう。

まず、目次です。いうなれば本の地図ですね。

画像をクリック(タップ)すると、もう少し大きく表示されて、お読みいただけると思います。

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(写真5.目次1/3)

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(写真6.目次2/3)

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(写真7.目次3/3と「第I部使い方」)

ご覧のように全3部からなります。

はじめに、第I部では、漱石による二つの文学論『英文学形式論』と『文学論』の全体から重要な部分を抜粋して、原文に現代語訳と解説を添えています。

第II部は、「『文学論』で読む世界文学」と題して、古今東西の文学作品から選んだ10の作品を読解。

第III部は、漱石による様々な文学論、漱石以外による文学理論を検討して、漱石の『文学論』に不足がないかを確認し、その上で最後に「来たるべき『文学論』」の構想を提示しております。

また、写真7の左ページから、各部の使い方を説明してあります。

ちょっと手の込んだレイアウトであることがお分かりいただけるかと思います。

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(図8.「第II部の使い方」「第III部の使い方」)

こんなふうに部ごとに内容に応じた組み方を工夫しています。

ここだけ見ると、なんの本だろう? という印象もおありかもしれません。

 

次はいよいよ本文です。

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(図9.第I部内容見本)

これは第I部「漱石の文学論を読む」のページ。

右ページ中央あたりの見出しに続いて、033、034、035と番号が振られています。

これは漱石の『文学論』から精選した要点となる文章それぞれを一塊として番号を振ったものです。『英文学形式論』と『文学論』あわせて144のパーツで捉えています。これを読めば、この二つの本に何が書いてあるかを把握できるという意図です。

 

番号の直下には、まず現代語訳をお示ししました。

それに続いて天地に線の引かれた部分が対応する原文です。

また、下段には「注釈」や「文献」や「問い」をつけて、その箇所の理解を助けたり、他の本や概念へのリンクを示しています。

左ページの下には、帯で見かけた図がありますね。

 

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(図10.第II部内容見本)

お次は第II部「『文学論』で読む世界文学」です。

10とりあげた作品のうち、7つ目はジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』です。

ここではまず読解する作品の文章(訳文)をお示しして、それに続いて何がどのように書いてあるかを読解します。また、下段では漱石による文学論のレンズで読むとどうなるかについても解説しています。

 

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(図11.第III部内容見本)

第III部は「来たるべき『文学論』へ向けて」と題して、漱石の文学論をどうしたらヴァージョンアップできるかという課題に取り組んでいます。

この第III部では、漱石の文学論を土台として、文学と呼ばれてきた人間の営みを捉えるためにあれこれ検討を加えております。図も多用しています。

以上、本文でした。ここまでで531ページあります。

 

続いて終わりに、巻末の附録についてもご紹介しましょう。

全部で三つの附録がついています。

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(図12.附録1見本)

附録その1は、「『文学論』――110年の読解史」と題して、『文学論』が刊行された1907年から2017年まで、『文学論』がどのように読まれてきたのかを年表の形でまとめたものです。『文学問題(F+f)+』を書くあいだ集めた『文学論』へコメントした文献の数々を40ページ弱にわたって並べてみました。同書をどう評価したかが分かる文献からは、当該箇所を引用してあります。この附録を読むと、『文学論』がいかに毀誉褒貶にさらされてきた本であるかが痛いほどよく分かります。みんな、ほんとに同じ本を読んだの!? と言いたくなる年表です。

 

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(図13.附録2見本)

附録2は「『文学論』以後の一般文学論の動き」です。

漱石の『文学論』(1907)以後、2017年までの110年ほどのあいだにいろいろな人が提示した一般文学論にどのようなものがあったかをまとめてみました。

一般文学論というのは、文学なるものをできるだけ一般的な形で捉えようとする試みを指しています。つまり、古今東西の文学作品をまとめて説明してみようという猛者たちの記録です。

 

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(図14.附録3見本)

そして最後に附録3は「文学を考え続けるためのブックガイド」と題して、本書『文学問題(F+f)+』の延長上でさらに文学について考えてみたい人のために、私が目を通したなかから有益であると思う文献を選んでご紹介しています。

 

――本文の注釈でも関連文献をお示ししていますが、この三つの附録と合わせると、文学問題について考えるためのヒントとリンクが手に入る、という趣向なのでした。

 

以上、『文学問題(F+f)+』の中味をチラリとご紹介しました。

 

さて、刊行が近づいて参りました。

以前ここでもお知らせしたように、本書を幻戯書房でご予約いただくと、本とともに予約特典の小冊子「メイキング・オブ・『文学問題(F+f)+』」(32ページ、図版多数)を進呈いたします。

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今回の『文学問題(F+f)+』という本を、山本がどのようにつくったのか、その過程を恥ずかしながらお目にかけようという内容です。

『文学論』をどう読んだのか、この本のもとになるメモや原稿をどう書いたのか、普段本をどのように集めたり読んだりしているのかといったことを述べた2万字ほどの小文です。ノートのページの写真なども掲載しております。

ものを読んだり考えたり書いたりすることにご関心のある向きには、ちょっと興味があるかもしれない予約特典です。

 

――というわけで、もうすぐ締切となります予約をご検討いただければ幸いです。

ご予約は、下記「幻戯書房NEWS」に書かれている幻戯書房のメールアドレスか電話番号までご連絡くださいませ。

 

 

なお、予約特典は下記の書店でも承っております。

MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店

代官山蔦屋書店

BOOKS隆文堂

 

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

ブックフェアなども予定されております。

これについては、また近々お知らせしたいと思います。

加島卓&山本貴光「エンブレム問題から考えるデザインの過去と未来」

★加島卓&山本貴光「エンブレム問題から考えるデザインの過去と未来」

 

2017年12月20日(水)の夜に神楽坂モノガタリにて、加島卓さんと対談いたします。

加島さんの新著『オリンピック・デザイン・マーケティング』(河出書房新社)の刊行を記念してのイヴェントです。

個人的にも各方面の仕事を通じて、デザインやマーケティングについて考えさせられることが多い昨今でした。この機会に加島さんに根掘り葉掘り、いろいろお話を伺おうと思います。

 


「マルジナリアでつかまえて」第3回

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『本の雑誌』通巻414号2017年12月号「特集=人生は「詩」である!」が出ました。

今月号は、いつものこわいうさぎおじさんのようなものが表紙ではないのですネ。

拙連載「マルジナリアでつかまえて」の第3回も掲載されております。

前回に続いて漱石先生のマルジナリアについて。驚愕のエピソードから始まっております。

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B&Bでの二つのトーク・イヴェントに登壇します

12月、二つのイヴェントに登壇いたします。

いずれもB&B(下北沢)です。

 

*2017/11/13追記:12月09日のイヴェントの曜日を間違えて「木」としておりました。正しくは「土」でございます。訂正しました。

 

★12月09日(土)

久保田晃弘×大林寛×山本貴光「因果の再編集のためのデザイン」

 

『エクリ叢書Ⅰ―デザインの思想、その転回』(オーバーキャスト)という本が刊行されました。これは大林寛さんが編集長を務めるウェブサイト「ÉKRITS」に掲載された文章を本に編んだものです。

私も以前、「記憶のデザインのために――来たるべき知識環境の構想」という文章を寄稿しました。今回の本にも収録していただいたところです。

この本の刊行を記念したトークイヴェントに登壇します。

デザイン、記憶、インターフェイス、経験など、気になっていることについて久保田さん、大林さんと検討する所存です。

 


★12月15日(金)

神田桂一×菊池良×仲俣暁生×山本貴光「なぜ『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』は10万部も売れたのか?」


『もし文豪たちがカップ焼きそばの 作り方を書いたら 青のりMAX』(宝島社)の刊行を記念したトークイヴェントです。

前作刊行時に、著者お二人、仲俣暁生さんと私というメンバーで、やはりB&Bにてトークをしました。

今回は、どうやったらお二人のような文体模写をできるのか、その場で具体的に参加者のみなさんとともにとりくんでみたりもしたいと念じております。


 

『文学問題(F+f)+』予約特典のデザイン

11月下旬刊行予定の『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の予約特典「メイキング・オブ『文学問題(F+f)+』」のデザインが決まりました。

本と同じく編集は中村健太郎さん、デザインは小沼宏之さんです。

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全32ページにわたって『文学問題(F+f)+』執筆の過程と方法をご紹介しています。ヴォリュームは2万文字ほどありましょうか。

他の仕事のあいまにどうやって本を読んだりものを書いたりしているのか、どんな道具を使って書いているのかなども含めて具体的に書いてみました。また、執筆のために書いたメモや使用した資料などの写真も多数掲載しております。

 この予約特典は、幻戯書房にご予約いただいたみなさんに本とともにお送りするものです。ぜひご検討くださいませ。

 

また、いくつかの書店でも予約特典を取り扱っています。

 

★MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店

 

★代官山蔦屋書店

★BOOKS隆文堂
 http://nishikoku-lega.jp/archives/shopinfo/ryubundo

 

編集の中村さんの投稿に『文学問題(F+f)+』のカヴァーの様子を窺える写真が投稿されております。 

 こんなふうに文字が浮かび上がるつくりです。

 

 幻戯書房でのご予約は、以下をご覧くださいませ。

蒐書録#031:正木香子『文字と楽園――精興社書体であじわう現代文学』ほか

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★ジョン・リード『世界を揺るがした10日間』(伊藤真訳、光文社古典真訳文庫KCシ1-1、光文社、2017/11)

 John Reed, Ten Days That Shook The World (1919)

 序文はレーニン。

 

★吉田忠編『ニュートン自然哲学の系譜――プリンキピアとオプティックスまで』(平凡社自然叢書5、平凡社、1987/11)

 

★増川宏一『日本遊戯思想史』(平凡社、2014/09)

 

★正木香子『文字と楽園――精興社書体であじわう現代文学』(本の雑誌社、2017/11)

 

★『現代思想』第45巻第21号2017年12月臨時増刊号「総特集=分析哲学」(青土社)

 

★大橋崇行『言語と思想の言説――近代文学成立期における山田美妙とその周辺』(笠間書院、2017/10)

 

蒐書録#030:新居洋子『イエズス会士と普遍の帝国――在華宣教師による文明の翻訳』ほか

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★小倉紀蔵『朝鮮思想全史』(ちくま新書1292、2017/11)

 

★田中純『歴史の地震計――アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』(東京大学出版会、2017/07)

 

★イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』(金子洋之+大西琢朗訳、森北出版、2017/10)

 Ian Hacking, Why Is There Philosophy of Mathematics at All? (2014)

 

★月刊天文ガイド監修『星座がわかる星空の地図 野外星図』(誠文堂新光社)

 

★Bryan Milner『ケンブリッジ物理学コース 宇宙の科学』(坪田幸政訳、丸善出版、2003/03)

 Bryan Milner, Cosmology (2000)

 

★中村士+岡村定矩『宇宙観5000年史――人類は宇宙をどうみてきたか』(東京大学出版会、2011/12)

 

★新居洋子『イエズス会士と普遍の帝国――在華宣教師による文明の翻訳』(名古屋大学出版会、2017/11)

 

徐々に文学から天文学のほうへ。