「[世界を変えた書物]展を巡ろう」

09月07日の20時から、ニコニコ生放送「[世界を変えた書物]展を巡ろう 《ガリレオ、ニュートン 人類の知性を辿る旅》」に出演いたします。

いよいよ9月8日から上野の森美術館で始まる「世界を変えた書物」展の会場で、橋本麻里さんとお話ししながら巡り歩くという番組です。

「世界を変えた書物」展は、金沢工業大学が誇る「工学の曙文庫」に蒐集された科学・技術の稀覯書2000冊から130冊ほどを精選して展示するものです。15世紀のインキュナブラから20世紀の文書まで、貴重な本を直に見られるまたとない機会。

一緒に巡り歩く橋本麻里さんは、日本美術を主な領域とするエディター/ライターとしてご活躍のほか、ニコ生の美術展解説生中継やテレビ番組でもお馴染みのヴェテラン。

つい先ごろは、『BRUTUS』(マガジンハウス)No. 877「わかる?楽しい!カッコいい!!「刀剣」特集で、例によっての(?)1人で特集の50ページを書き通すという、いったいなにがどうなっているのかというお仕事もされております(去年の同誌「国宝特集」についてはここでも触れたことがありました)。

というわけで、たっぷり90分、橋本さんとともに同展の魅力と関連情報をみなさんにお届けしたいと思います。

 

なお、「世界を変えた書物」展については、先日ここでもご紹介した『日経サイエンス』2018年10月号(日経サイエンス社)で「科学書に見る知の源流」という特集が組まれております。

また、科学雑誌『Newton』でも「科学史に輝く名著たち」と題して、同文庫に所蔵されている書物を画像つきで紹介しています。

そしてもう一つ、近日発売予定の『アイデア』(誠文堂新光社)では、同文庫所蔵の本に残るマルジナリアについて文章を書きました。これはまた後ほど記します。

世界風速

twitterのタイムラインでは、関西方面での台風の様子を伝える動画が投稿されてたいへんさが伝わってきます。みなさん、どうかご無事で。

このような風速マップがあるのですね。橋本麻里さんの投稿で教えてもらいました。

 

「ゴースト・イメージ」の生成に成功

「人間の視覚系をハック、「ゴースト・イメージ」の生成に成功」(MIT Technology Review、2018.09.04)

 

英ヘリオット・ワット大学の研究チームは、コンピューターを使わなくても、人間の視覚系がゴースト・イメージングの処理を実行できることを実験で示した。

 

新著『投壜通信』(本の雑誌社)

ヤブカラボーですが、9月はじめに新著が出ます。

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『投壜通信』(本の雑誌社)です。

2004年から2018年にかけて書いた文章のなかから、いくつかを選んで編んだ文集です。同書を企画・編集したのは、本の雑誌社の高野夏奈さん。収録されている文章を選んだのも高野さんです。

 

主な収録物は、『考える人』(新潮社)に書いた各方面のブックガイド、「日本経済新聞」に連載した「プロムナード」(全25回)、『ユリイカ』(青土社)、『アイデア』(誠文堂新光社)に書いたブックガイド的辞書エッセイ、思想誌史、足穂論、それと対談イヴェントで配ったものから2点です。

 

私はほとんどなにもしておらず、三つかばり文章を書きました。

a) 夏目漱石「余が一家の読書法」現代語訳と解説

b) バベルの図書館司書便り――ある1カ月の記録

c) 円城塔『文字渦』書評(仮題)

 

aは、イヴェントなどの配布物でときどきご紹介していた漱石先生の読書術を現代語訳したものです。

 

bは、2018年7月の1カ月のあいだ、日々私の手元にどんな本が来たかをただ記録したものです(コメントつき)。二段組みで30ページくらいになったのはどうしてか。

 

cは、先日『新潮』に書いたものとはまた別のヴァージョンです。

 

二つだけ希望したのは、できたら余白をとること(「マルジナリアでつかまえて」の著者でもあって)、索引をつけること、でした。

 

はじめのうち高野さんは、200ページ台になりますと言っていたのですが、蓋を開けてみたら400ページ台になっていました。なにがあったのでしょうか。

 

また、リンク先の本の雑誌社のページに

本とともに暮らす
碩学の徒が案内する、
めくるめく本の世界。

とあるのは帯文です。「碩学」は畏れ多いので、せめて「好学」くらいにお願いしますとお伝えして、実際の本ではそのように直っていると思います。

 

あとがきにも書きましたが、2018年当初は私の予定になかった本が突然できました。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

「科学書に見る知の源流」(『日経サイエンス』2018年10月号)

『日経サイエンス』2018年10月号(日経サイエンス社)の特集「科学書に見る知の源流」でお話ししました。

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(画像は日経サイエンスのウェブからリンク)

 

これは、9月に開催予定の「世界を変えた書物」展(上野の森美術館)に関する特集です。

同展は、金沢工業大学の「工学の曙文庫」という、15世紀以降の工学と科学に関する貴重書のコレクション二千余冊から、130冊ほどを選んで展示する企画であります。

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(画像は日経サイエンスのツイートからリンク)

 

『日経サイエンス』の特集はこんな内容です。

 

・「「プリンキピア」を読み解く」山口敦史(金沢工業大学)

 

・「科学はいかに生まれたか」(インタヴュー)

 ・坂本邦暢(明治大学)/聴き手=橋本麻里

 ・山本貴光(文筆家/ゲーム作家)/聴き手=石戸諭

 ・D. ドイチュ(英オックスフォード大学)/聴き手=古田彩

 

「科学はいかに生まれたか」のコーナーは、「世界を変えた書物」展に出展される本から1冊を選んで話すという趣旨でした。

坂本さんはケプラーについて、ドイチュさんはニュートンについてお話ししています。私は、デカルトの『哲学原理(Principia Philosophiae)』(1644)を選びました。同書は、タイトルだけ見ると、科学となんの関係があるのか、いまではすっかり分かりづらくなっておりますが、人はどこまでなにを知ることができるのかという認識論を含む、哲学と自然学の書なのでした。

インタヴュアーとして話を聴き、記事にまとめてくださったのは、『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房、2017)の著者でもある石戸諭さんです。

 

『日経サイエンス』は、毎号熟読している愛読誌でもあり、その誌面に登場できるのは、とても光栄でうれしく思います。

 

これを機に、同誌に科学史のコーナーができたりするといいな、と勝手に空想したりもしております。例えば、「工学の曙文庫」の本を毎号1冊ずつ紹介していくとか。でも、それだと年に12冊しか紹介できないから、完結まで160年以上かかるのか……。

 

物理環境としての書棚

本のみならず書棚もまた人を刺激する、という記事。

物理環境としての本と棚は、とりわけものを考えたりつくったりする人にとっては、たいへん重要だと思います。

整理されていつでも眺めて取り出せる状態自体が役立つのはもちろんのこと、本の集合や本と本のつながりを考えたりするうえでも、空間に本が配置されているとよいのですよね。

私はよく、ものを考えるとき、大きな書店のフロアや古書街を歩きます。

というのは、空間に配置された本たちを見ながら歩くことで、思考や発想も進むからなのでした。

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(写真は下記サイトからリンクしています)