★小俣和一郎『精神医学の歴史』(レグルス文庫252、第三文明社、2005/06、amazon.co.jp)#0428


精神医学の歴史を新書のヴォリュームでバランスよくまとめた一冊。精神医学史というと、「精神医学」という言葉が使われはじめた近現代以降に目がいきがちだけれど、本書は古代から中世をとおって近現代まで、西欧と日本やアジアをともに視野におさめた通史で、読み手の専門分野や関心領域を問わず読んでおきたい内容となっている。

・まえがき
・第一章 精神病の起源——狂気の基層
・第二章 宗教と古代社会
・第三章 古代医学と精神病概念
・第四章 精神医学史の中の中世
・第五章 近代精神医学の成立(I)
・第六章 近代精神医学の成立(II)
・第七章 二十世紀後半(戦後)の精神医学
・あとがき


精神医学史略年表、索引つき。小川鼎三『医学の歴史』中公新書39、中央公論社、1964、amazon.co.jp)と揃えて座右に置けばなにかと便利。


瑣末な指摘になるが、「歴史」という言葉の来歴を尋ねてヘロドトスの『ヒストリアイ』に言及した箇所で、ギリシア語の表記に誤植がある(ς〔シグマ〕とすべきところが c に化けている)。


⇒作品メモランダム > 2005/01/12 > 小俣和一郎『精神病院の起源』
 http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20050112/p2


⇒作品メモランダム > 2005/01/12 > 小俣和一郎書誌
 http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20050112/p3


第三文明社
 http://www.daisanbunmei.co.jp/