何年か前、ある雑誌の或る特集号に寄稿したブックガイドを、このたび或る書物に採録していただくことになり、久し振りにゲラを眺めております。
このゲラというのは、なんと申しましょうか、やはり緊張するものであります。というのも、ここで確認をして、必要な訂正を加えたら、あとはそれを元にして、実際に書物が大量複製されてしまうというわけですからして。
ゲームでいえば、商品版の原版となるマスター版作成に相当します(分かりづらい譬え)。つまり、この完成版を工場にわたしたら、あとは実際にゲームのディスクが大量複製(ことによったら数十万枚)されてしまうというわけです。これも何遍体験してもドキドキものでした。
もっとも、PCはもちろん、ゲーム機もネットに接続するのが当たり前となった昨今では、大量複製・発売後にバグが発覚しても、ネット経由で修正を加えることも比較的容易になっております。それで緊張感が薄れてきたのかどうか、大量複製前に実機で動かして確認することさえ怠らなければ、未然に防げたであろうバグやら取り違えが……(以下略)