「日本経済新聞」2017年04月29日号の書評欄に、國分功一郎『中動態の世界――意志と責任の考古学』(医学書院)の書評を寄稿しました。
私たちは、行動をともすると「する」「される」と、能動/受動でとらえますが、実際にはそんなにすぱっと割り切れるものではありません。しかし、文法のカテゴリー(分類の仕方)に即して、そんなふうに捉えたりします。
古典ギリシア語を学ぶと、「中動態」という、現代語では耳慣れない文法用語にお目にかかります。これは、能動とも受動とも異なる行動のあり方を指し示す態なのです。
國分さんの新著は、この中動態に着目して、その歴史と意味を探究する希有な試みであります。
目次はこんなふう。
プロローグ――ある対話
第1章 能動と受動をめぐる諸問題
第2章 中動態という古名
第3章 中動態の意味論
第4章 言語と思考
第5章 意志と選択
第6章 言語の歴史
第7章 中動態、放下、出来事――ハイデッガー、ドゥルーズ
第8章 中動態と自由の哲学――スピノザ
第9章 ビリーたちの物語
註
あとがき
書評では、どのような内容の本なのかを900字で伝えるというミッション・インポッシブルに挑戦しております。
(*第1章の扉への書き込み。場合によってはこんなふうに図を描いて頭を整理しています。)
日経新聞書評欄、今回で4度目の登場となりました。
・スティーヴン・ワインバーグ『科学の発見』(文藝春秋)
・ロジャー・クラーク『幽霊とは何か』(国書刊行会)
・エイミー・E・ハーマン『観察力を磨く 名画読解』(早川書房)
・國分功一郎『中動態の世界』(医学書院)
過去の3本は、現在「日経スタイル」で公開されております。(下記「検索結果|NIKKEI STYLE」からご覧いただけます)
中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
- 作者: 國分功一郎
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2017/03/27
- メディア: 単行本
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