「これが示したいことだった」最終回(『数学セミナー』)

1年の予定で書いてきた『数学セミナー』(日本評論社)の連載「これが示したいことだった」最終回(第12回)を3月号に書きました。

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この連載は、読書日記のように、折々に読んでいる数学や自然科学の本について書いたエッセイです。

完結を記念して、全12回で紹介した本を並べてみましょう。

★は主に取り上げた本。☆は通りすがりに触れた本です。

 

■第1回:「数学」はどこから来たか

★片野善一郎『数学用語と記号ものがたり』(裳華房、2003)

★高瀬正仁『発見と創造の数学史――情緒の数学史を求めて』(萬書房、2017)

★森岡健二+松岡洸司『明治期専門述語集『数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書』』(1985)

☆『東京數學會社雑誌』

☆藤澤利喜太郎編『數學用語英和對譯字書』(1889; 1891)

☆渡辺純成「満州語資料からみた「幾何」の語源について」(『数理解析研究所講究録』第1444巻、2005)

 

■第2回:誰がどのように語るのか

★ジャクリン・ステドール『ステドール 数学の歴史』(三浦伸夫訳、丸善出版、2020)

★江沢洋+上條隆志編『物理学と数学』(江沢洋選集IV、日本評論社、2019)

★全卓樹『銀河の片隅で科学夜話――物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異』〈朝日出版社、2020)

☆ヴィクター・J・カッツ『カッツ 数学の歴史』(上野健爾+三浦伸夫監訳、共立出版、2005)

☆『数学の歴史――現代数学はどのようにつくられたか』(全10巻予定、既刊6巻7冊、共立出版、1979- )

☆エレノア・ロブソン+ジャクリン・ステドール編『Oxford数学史』(斎藤憲+三浦伸夫+三宅克哉監訳、共立出版、2014)

☆コペルニクス『完訳 天球回転論――コペルニクス天文学集成』(高橋憲一訳・解説、みすず書房、2017)

☆フーリエ『熱の解析的理論』(西村重人訳、高瀬正仁監訳・解説、朝倉書店、2020)

☆『北越雪譜』

☆稲垣足穂『一千一秒物語』『ヰタ・マキニカリス』

 

■第3回:こんなところで数学に

★山下正男『思想の中の数学的構造』(ちくま学芸文庫、筑摩書房、2006)

★西郷甲矢人+田口茂『〈現実〉とは何か――数学・哲学から始まる世界像の転換』(筑摩選書、筑摩書房、2019)

★小林雄一郎『ことばのデータサイエンス』(朝倉書店、2019)

☆クロード・レヴィ=ストロース『親族の基本構造』(旧訳、馬淵東一+田島節夫監訳、番町書房、1977-78/新訳、福井和美訳、青弓社、2000)

☆ブルバキ『数学原論』

 

■第4回:原理と原典と原義のはなし

★斎藤毅『数学原論』(東京大学出版会、2020)

★『〈名著精選〉心の謎から心の科学へ 人工知能――チューリング/ブルックス/ヒントン』(開一夫+中島秀之監修、岩波書店、2020)

★田村光洋『文化進化の数理』(森北出版、2020)

☆エウクレイデス『原論』

☆ブルバキ『数学原理』

 

■第5回:数学の分かり方

★絹田村子『数学であそぼ。』(第1巻-第4巻、フラワーコミックスα、小学館、2018-2020)

★デイヴィッド・コープ『人工知能が音楽を創る――創造性のコンピュータモデル』(平田圭二監訳、今井慎太郎+大村英史+東条敏訳、音楽之友社、2019)

★村上斉『結び目理論入門(上)』(岩波数学叢書、岩波書店、2019)

☆『ケルズの書』

 

■第6回:捉えがたきを捉える

★『三上義夫著作集 第4巻 中国数学史・科学史』(佐々木力総編集、柏崎昭文編集補佐、溤立昇編集解説、日本評論社、2020)

★オリヴィエ・レイ『統計の歴史』(池畑奈央子監訳、柴田淑子+小林重裕+伊禮規与美訳、原俊彦監修、原書房、2020)

★加藤耕太『増補改訂版 Pythonクローリング&スクレイピング――データ収集・解析のための実践開発ガイド』(技術評論社、2019)

☆岩波新書編集部編『岩波新書解説総目録1938-2019』(岩波新書、岩波書店、2020)

☆吉田洋一『零の発見――数学の生い立ち』(岩波新書赤49、岩波書店、1939)

☆藪内清『中国の数学』(岩波新書青906、岩波書店、1974)

☆志賀浩二『無限のなかの数学』(岩波新書新赤405、岩波書店、1995)

☆『藪内清著作集』(全8巻、臨川書店)

 

■第7回:いつも心に驚きを

★ケネス・ファルコナー『フラクタル』(服部久美子訳、岩波科学ライブラリー291、岩波書店、2020)

★Euclid's Elements of Geometry: Completing Oliver Byne's work (Kronecker Wallis, 2019)

★三宅陽一郎+大山匠『人工知能のための哲学塾 未来社会篇 響きあう社会、他者、自己』(ビー・エヌ・エヌ新社、2020)

☆マンデルブロー『フラクタル幾何学』(上下巻、広中平祐監訳、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2011)

 

■第8回:あれとこれを結びつける

★テッド・ネルソン『リテラリーマシン――ハイパーテキスト原論』(武内郁雄+斉藤康己監訳、ハイテクノロジー・コミュニケーションズ訳、アスキー出版局、1994)

★オラフ・スポーンズ『脳のネットワーク』(下野昌宣訳、みすず書房、2020)

★アルフレッド・S・ポザマンティエ+ロベルト・ゲレトシュレーガー『円をめぐる冒険――幾何学から文化史まで』(松浦俊輔訳、紀伊國屋書店、2020)

☆アリストテレス『天について』

☆コペルニクス『天球回転論』

☆アルフレッド・S・ポザマンティエ+イングマール・レーマン『偏愛的数学』(全2冊、松井公訳、岩波書店)

☆アルフレッド・S・ポザマンティエ+イングマール・レーマン『不思議な数πの伝記』(松浦俊輔訳、日経BP)

 

■第9回:そんなの、ありえない!

★エリック・R・ジョンストン+ニック・ハリガン+メルセデス・ジメノ=セゴビア『動かして学ぶ量子コンピュータプログラミング――シミュレータとサンプルコードで理解する基本アルゴリズム』(北野章訳、丸山耕司技術監修、オライリー・ジャパン、2020)

★ポール・J・スタインハート『「第二の不可能」を追え!――理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ』(斉藤隆央訳、みすず書房、2020)

★林隆夫『インドの数学――ゼロの発明』(ちくま学芸文庫、筑摩書房、2020)

☆International Journal of Theoretical Physics, Vol. 21, Nos. 6/7, 1982

☆ポール・J・スタインハート+ニール・トゥロック『サイクリック宇宙論』(水野淳訳、早川書房)

☆林隆夫『インド代数学研究――「ビージャガニタ」+「ビージャパッラヴァ」全訳と注』(恒星社厚生閣)

☆林隆夫『インド算術県九――「ガニタティラカ」+シンハティラカ注 全訳と注』(恒星社厚生閣)

 

■第10回:異言語で数学を

★服部久美子『数学のための英語教本――読むことから始めよう』(原田なをみ+デイヴィッド・クロイドン監修、共立出版、2020)

★ティエリー・ポイボー『機械翻訳――歴史・技術・産業』(高橋聡訳、森北出版、2020)

薩日娜『日中数学界の近代――西洋数学移入の様相』(臨川書店、2016)

☆Alan Turing, "Intelligent Machinery" (1948)

☆ジェイムズ・ノウルソン『英仏普遍言語計画』(浜口稔訳、工作舎、1993)

☆浜口稔『言語機械の普遍幻想』(ひつじ書房、2011)

 

■第11回:『紅楼夢』と数学の大樹

★ウィトルーウィウス『ウィトルーウィウス建築書』(森田慶一訳、東海選書、東海大学出版会、1979)

★スコット・E・ペイジ『多モデル思考――データを知恵に変える24の数理モデル』(椿広計監訳、長尾高弘訳、森北出版、2020)

★シン=トゥン・ヤウ+スティーブ・ネイディス『宇宙の隠れた形を解き明かした数学者――カラビ予想からポアンカレ予想まで』(久村典子訳、日本評論社、2020)

☆『紅楼夢』

 

■第12回:巨人の肩から見渡す

★日本数学史学会編『数学史事典』(丸善出版、2020)

★バーバラ・トヴェルスキー『Mind in Motion――身体動作と空間が思考をつくる』(渡会圭子訳、諏訪正樹解説、森北出版、2020)

★陸秋槎『文学少女対数学少女』(稲村文吾訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、早川書房、2020)

☆テレンス・タオのブログ(http://terrytao.wordpress.com

 

毎回3冊ずつを取り上げて、場合によっては関連する本にも言及しております。

あとで暇を見つけて画像やリンクも追記しましょう。

 

というわけで、1年にわたってありがとうございました。日頃、理数系の本を紹介する機会が少ないこともあって、私も楽しみながら書きました。

 

www.nippyo.co.jp