2023年の展望

2023年の展望は……と書いてみて、毎度のことながら、果たせていない約束のあれこれが脳裡を巡る。大学での仕事を基礎としつつ、それらを一つひとつ形にするのが当面の目標である。

比較的見通せていることから書けば、次のようなことがある。

 

★「文学のエコロジー」(講談社)

2022年から『群像』(講談社)で始めた連載「文学のエコロジー」は、全15回の予定で書いているところ。今月発売の2023年2月号に第12回が掲載される予定で、残りはあと3回。順当に行けば、5月号(4月発売)で完結するはず。

★『エピグラフの本(仮称)』(創元社)

藤本なほ子さんが企画・編集を、創元社の内貴麻美さんが編集を担当するエピグラフに関する本。その準備のために、2022年に創元社が運営しているnote「創元社note部」で連載「異界をつなぐエピグラフ」(全10回)を書いた。藤本さんも「エピグラフ旅日記」と題して全10回の予定で綴っているところ。これらをもとにしつつ、これとは別にエピグラフに関する書き下ろしの文章をあれこれ書いて、2023年内には書物のかたちにすることを目指している。

★「知識の沼 ことばで巨人の肩に乗る」(河出書房新社)

2021年から2022年のはじめにかけて、日本語学者の今野真二さんと「Web河出」に連載した往復書簡をもとにした本をつくる予定。これは山本の原稿が遅れているために足踏みしているところで、近日書き上げる所存。

★「岩波文庫で読む「感染症」」(岩波書店)

2021年に岩波書店が運営するnote「コロナの時代の想像力」で開始した連載は、10回まで書いたところで足踏みをしているのだった。あと何回か書く予定にしており、これはこの春のうちに完結するつもり。

★「ゲームを遊ぶときに何が起きているのか」(晶文社)

それを言うなら晶文社のサイト「晶文社スクラップブック」で2021年9月に始めた連載「ゲームを遊ぶときに何が起きているのか」は、初回を書いたきりあとを続けないままいまに至っている。そろそろなんとかしたいと考えているところ。

★「世界の文芸誌から」(WEB本の雑誌)

2020年に第1回を書いて、2021年に第4回まで進めた「世界の文芸誌から」は、古今東西の文芸誌についてあれこれ書き綴るという趣旨の連載。同誌の「マルジナリアでつかまえて」とともに担当してくださっていたTさんが本の雑誌社を卒業して、宙に浮く格好になったのだった。なんらかの機会があったらば再始動したいと思う。

 

書いているうちに、「やりかけたまま止まっているもの」コーナーのようになってしまった……。以上の他に、執筆・翻訳と準備を進めているものがいくつかあるのだけれど、実現に向けて頑張っておりますとだけ述べるに留めたい。

2022年は『マルジナリアでつかまえて2』(本の雑誌社)と『世界を変えた書物』(橋本麻里編、山本貴光著、小学館)の2冊の本を完成できた代わりに、新たな企画(上記以外)がいくつか増えて、執筆予定リストが長くなったのだった。