物書き仕事をふりかえる

このたび刊行する『文学のエコロジー』(講談社)は、単著としては11冊目の本です。

というのは自分のための覚書でした。

01. 『デバッグではじめるCプログラミング』(翔泳社、2008)
02. 『コンピュータのひみつ』(朝日出版社、2010)
03. 『文体の科学』(新潮社、2014)
04. 『世界が変わるプログラム入門』(ちくまプリマー新書、2015)
05. 『「百学連環」を読む』(三省堂、2016)
06. 『文学問題(F+f)+』(幻戯書房、2017)
07. 『投壜通信』(本の雑誌社、2018)
08. 『マルジナリアでつかまえて――書かずば読めぬの巻』(本の雑誌社、2020)
09. 『記憶のデザイン』(筑摩選書、筑摩書房、2020)
10. 『マルジナリアでつかまえて2――世界でひとつの本になるの巻』(本の雑誌社、2022)
11. 『文学のエコロジー』(講談社、2023)

『文学のエコロジー』は、夏目漱石の『文学論』を扱った『文学問題(F+f)+』の延長線上の仕事と言えそうです。また、プログラムの発想も関わっているという点では、何冊か書いてきたコンピュータやプログラム関連書で考えたことも『文学のエコロジー』には流れ込んでいます。

ついでながら共著はこんな具合です。

01. 『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』(吉川浩満と共著、朝日出版社、2004)
02. 『問題がモンダイなのだ』(吉川浩満と共著、ちくまプリマー新書、2006)
03. 『ゲームの教科書』(馬場保仁と共著、ちくまプリマー新書、2008)
04. 『脳がわかれば心がわかるか――脳科学リテラシー養成講座』(吉川浩満と共著、太田出版、2016)
05. 『高校生のためのゲームで考える人工知能』(三宅陽一郎との共著、ちくまプリマー新書、筑摩書房、2018)
06. 『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。――古代ローマの大賢人の教え』(吉川浩満との共著、筑摩書房、2020)
07. 『人文的、あまりに人文的――古代ローマからマルチバースまでブックガイド20講+α』(吉川浩満との共著、本の雑誌社、2021)
08. 『私たちはAIを信頼できるか』(大澤真幸、川添愛、三宅陽一郎、吉川浩満と共著、文藝春秋、2022)
09. 『世界を変えた書物』(橋本麻里編、山本貴光著、小学館、2022)

なにを「共著」と呼ぶかは分類の仕方次第ですが、主には2人くらいで共同作業をしながら書いた本を掲げてみました。ここに翻訳した本、編んだ本、寄稿した本を加えると、ここにもう10冊ほど加えることになるでしょうか。

吉川浩満くんと最初に書いた『心脳問題』(朝日出版社)を刊行したのが2004年ですから、来年2024年は物書きの仕事を始めてから20年ということになります。

だからなんだというわけでもありませんが、20年もやっていると仕事の痕跡も積み重なるものなのだなあ、と思うのでした。

目下はもう何冊かの企画を進行中で、物書きはもうしばらく続きそうです。全体的に遅れ気味ではありますが、一つずつよい形に仕上げて参りたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。