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「人文的、あまりに人文的」第12回

東浩紀さんが編集長を務めるメールマガジン「ゲンロンβ13」に、吉川浩満くん(id:clnmn)との連載書評対談「人文的、あまりに人文的」第12回を寄稿しました。

毎回、新旧の人文書2冊をとりあげて紹介する連載です。

気づけば開始してから1年が経ちました。

月に一度、吉川くんと喫茶店で話した録音をもとに対話形式で書いています(そう、実際にしゃべってから書いているのでした)。面白くてためになる(そして本を手にとりたくなる)を目指しておりますが、なかなかどうして難しいことでありますね。

 

今回は、映画「未来よ こんにちは」の話から出発して、ルソーとカントという古典的哲学者の仕事に触れています。そのうち、これまで各回で取り上げた本のリストでもこしらえてみようと思います。

 

「ゲンロンβ13」は「批評は再起動する」という特集です。

そういえば、まだ実物を見ていませんが、東浩紀+佐々木敦編『再起動する批評 ゲンロン批評再生塾第一期全記録』(朝日新聞出版)というゲンロンの活動をもとにした本も出たようですね。

私はここ数年、漱石の『文学論』についての本を書きながら、「文学ってなんだろう」ということを考えておりました。もう少し先になるかもしれませんが、これまた自分としてはずっと懸案の「批評ってなんだろう」ということもいつか検討してみたいと思っています。という観点からも、東さんやゲンロンの活動に引き続き注目して参りたいと思います。

このところ、東浩紀『ゲンロン0』(ゲンロン)、國分功一郎『中動態の世界』(医学書院)、千葉雅也『勉強の哲学』(文藝春秋社)と、人文界の俊英たちによる新著が続々と刊行されております。どういう順番がよいか迷いますが、「人文的、あまりに人文的」でも取り上げたいと念じております。

 

再起動する批評 ゲンロン批評再生塾第一期全記録

再起動する批評 ゲンロン批評再生塾第一期全記録

 
ゲンロンβ13: 批評は再起動する

ゲンロンβ13: 批評は再起動する

  • 作者: 東浩紀,亀山郁夫,大山顕,横山宏介,黒瀬陽平,吉田雅史,小松理虔,二上英朗,山本貴光,吉川浩満
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: Kindle版
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「人生がときめく知の技法」第5回

吉川浩満くん(id:clnmn)との連載「人生がときめく知の技法」(webちくま)の第5回を寄稿しました。

今回は「できないことで悩む必要なし!」と題して、エピクテトスが指摘する「権内/権外」という考え方について検討しています。

自分にコントロールできること/できないことを区別することが、幸せに生きるための第一歩という話、最近刊行された國分功一郎さんの『中動態の世界』(医学書院)にも通じるテーマだと思います。

といった検討は、もう少し先の回でお話しするとして、次回は具体例で考えてみる予定です。

 


『デカルト 医学論集』

『デカルト 医学論集』(山田弘明+安西なつめ+澤井直+坂井建雄+香川知晶+竹田扇訳・解説、アニー・ビトボル-エスペリエス序、法政大学出版局、2017/03)

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デカルトの医学・解剖学関連のテキスト5篇を訳出した集成。

目次は以下の通り。

 

・凡例

・山田弘明 はじめに

・アニー・ビトボル-エスペリエス 序

・解剖学摘要

・治療法と薬の効能

・動物の発生についての最初の思索

・味覚について

・人体の記述

・解説

 ・I 安西なつめ「『解剖学摘要』『治療法と薬の効能』解題」

 ・II 香川知晶「『動物の発生についての最初の思索』『味覚について』解題」

 ・III 山田弘明「『人体の記述』解題」

 ・IV 澤井直「解剖用語の歴史から見たデカルト――襲用と独自性」

 ・V 竹田扇「現代医学から見たデカルトの解剖学とその周辺」

 ・VI 坂井建雄「西洋医学におけるデカルトと解剖学」

・香川知晶 あとがき

・人名索引

・事項索引

 

底本は次の2冊。

★OEuvres de Descartes, tome XI (Ch. Adam & P. Tannery, 1996)

★René Descartes, Opere postume 1650-2009, Testo francese e latino a fronte (G. Belgioioso, 2009)

 

5篇の原題と、アダン・タヌリ版デカルト全集(AT)の対応ページは次の通り。(「はじめに」による)

 

★デカルトの手稿による解剖学
 Anatomica quaedam ex Mto Cartesii, 1628-1648, AT. XI, 549-634

★治療法と薬の効能
 Remedia et vires medicamentorum, 1628, AT. XI, 641-644

★動物の発生についての最初の思索
 Primae cogitatines circa Generationem, 1630-32, 1648, AT. XI, 505-538

★味覚について
 De Saporibus, AT. XI, 539-542

★人体の記述
 La description du corps humain, 1648, AT. XI, 223-286

 

『デカルト全書簡集』(全8巻、知泉書館、2012-2016)も完結し、本書に続いて『デカルト 数学・自然学論集』(法政大学出版局)、『ユトレヒト紛争書簡集』(知泉書館)も刊行予定とのことです(本書「あとがき」による)。

 

法政大学出版局:『デカルト医学論集』

 

デカルト 医学論集

デカルト 医学論集

  • 作者: ルネデカルト,Ren´e Descartes,山田弘明,安西なつめ,澤井直,坂井建雄,香川知晶,竹田扇
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: 単行本
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これはノートです。

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先日、無印良品(恵比寿店)で見かけて思わず入手してしまいました。

ディスプレイには、一見本に見える同様の冊子が何種類か、ページを開いた状態で置かれています。

よく見ると、ノートであると説明してあって、ページを繰ると、確かに図が印刷されているのは一部で、残りは白紙です。

ノートは1冊に限定して、すべてそれに書くようにしていることもあり、特に必要はないはずなのですが、魅力に抵抗できずこれともう1冊、図案集をあしらったものを購入しました。

他にも古い碑文や風景画などのヴァージョンもあって、見るとまた買ってしまいそうです。コワイ。

今年も「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」を担当します

2017年も東京工芸大学で二つの講義「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」を担当いたします。

自分でもだんだんよく分からなくなってきましたが、今回で4周目となります。

もとはといえば中継ぎとしてお預かりしたこの講義、そろそろ真打ちにご登場いただいてバトンタッチしたいと思います。

 

10年近く教えに通った専門学校東京ネットウエイブは、2016年度で一区切り。

人前で話すのが苦手な私が先生になるとは思ってもいなかった10年前。『ゲームの教科書』(ちくまプリマ-新書)の共著者でもある馬場保仁くんの紹介で、同校にお呼びいただき非常勤講師になったのでした。

――という話は長くなるので、機会があらばまた述べるとして、同校で出会った学生のみなさんのおかげで、教えるとはどういうことか、少しだけ分かったような気がします。

最初に教えた卒業生のみなさんのなかには、すでにゲーム会社でディレクターを務める人もあり、10年とはそういう歳月なのだなあと思った次第です。

 

というわけで、2017年の教育方面の仕事は、次のとおりです。

 

・東京工芸大学(春学期)

・東京ネットウエイブ別科(高校課程、月1回)

・代々木高等学校(不定期)

・ミームデザイン学校(寄藤文平さんと全4回)

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

そうそう、先日登壇した「座・芸夢」第19回「飽きないゲームをつくるには」(DeNA)のレポートがSocial Game Infoに掲載されました。

当日使ったスライドも一部引用されており、ご覧いただけます。


『未来よ こんにちは』

ミア・ハンセン=ラヴ監督『未来よ こんにちは』(L'Avenir、2016)の公開が始まりました。配給はクレストインターナショナル。

http://crest-inter.co.jp/mirai/story/img/story_img5.jpg

(*画像はクレストインターナショナルのウェブサイトからのリンク)

 

フランスで高校(リセ)の哲学教師を務める主人公ナタリー(イザベル・ユペール)の生活につぎつぎと訪れる変化と、彼女の生き方を静かに描いた映画です。

というと、「哲学」とかいって、なんだかカタそうだな……と感じる向きもおありかもしれませんが、さにあらず。50代(推定)で、人生の折り返し地点も過ぎた主人公が、さまざまな不如意に見舞われるなか、どんなふうに物事に折り合いをつけながら(時には抵抗しながら)、他の人びととともに人生を楽しんでゆくかという様子につきあえます。

これは目下、吉川浩満くんと私とで、webちくまに連載中の「人生がときめく知の技法」にも通じる映画だと思いました。同連載では、エピクテトスという古代の哲学者が考えた、より幸せに生きるための技法についてああでもないこうでもないと議論しています。

『未来よ こんにちは』について、吉川くんとともにインタヴューに登場しています。映画をご覧になる前の方も、すでにご覧になった方も、お楽しみいただければ幸いです。

 



www.crest-inter.co.jp

人は何冊の本に関われるか

先日「『考える人』と私」という文章を書く際、2005年前後に茂木健一郎さんはどんな本を書いていたかなあと思ってAmazon.co.jpを検索してみました。

「本」のカテゴリーでの検索結果は614件

雑誌への寄稿や共著なども含まれてのことですので、もちろん全部が全部ご著書でないにしてもヒット数の多さに驚きました。

先だって「週刊読書人」でインタヴューをした外山滋比古さんには、著作が百数十点あることを確認して、舌を巻くということがあったのでなおのことです。

「それならあの人はどうか」と調べてみるとこんな具合。

数字は「詳細サーチ」の著者名で調べた結果。カッコ内は通常のサーチで調べた結果。つまり、ご本人の著作に限らず言及されている本なども含む数字です。

気になる人もいるかと思うので先に述べると、同姓同名などの可能性や異字表記などについては考えずにいます。とてもおおざっぱな検索結果です。

 

夏目漱石       1542件3177件

太宰治        1289件2156件

司馬遼太郎      1151件1863件

赤川次郎       1110件1298件

松本清張       1107件1494件

コナン・ドイル    0933件1192件

齋藤孝        0599件0724件

荒俣宏        0578件0670件

栗本薫        0549件0698件

アガサ・クリスティー 0541件0681件

池上彰        0516件0860件

佐藤優        0421件1029件

茂木健一郎      0396件0614件

プラトン       0125件0719件

孔子         0067件0929件

 (表で組むのだったと思いついたのは後の祭り。面倒なのでこのままにしますがあしからず)

 

『ローマ人の物語』の印象でたくさん書いておられるかと思っていた塩野七生さんは144件196件)。いえ、これでも十分大きな数字なのですが、上記の表を見たあとでは、「少ない」と思えてしまうから恐ろしい。

ここまで調べてみてから、「これを超えるのは誰か」と、またぞろ馬鹿なことを考えて「あ!」と検索したのがこの結果。

 

マルクス       0965件5631件

 

著者名検索の結果こそ3桁ですが、通常サーチの結果は5000件を超えています。もちろん中には「マルクス・アウレリウス」や「マルクス兄弟」「マルクス主義」といった言葉も含まれていようかと思いますが、それにしても5600件はすごい。

 

なるほど。と思って、もう1人思い浮かんだのがこの人。

 

キリスト       0963件29372件

 

正しくは「キリスト」は人名ではありませんが、それは措きましょう。知られている限りでは著作はないはずなので、著者名検索の結果は0件になるはず……と思いきやこの結果。「キリスト教某」といった著者名が多数登録されているようでした。通常サーチの結果は、ご覧のとおり桁が一つ多くて2万9千件。

 

別に数字が大きいから偉いとか偉くないといった話ではなくて、単純にある人名に関連する本の数がこれだけになるのは驚きだなあという、言ってしまえばそれだけの話でありました。こういう話は、計量書誌学のほうで、もっと精緻な議論がされているのかしら。と、またぞろ気になることが増えるのでした。

 

余談

ついでながら、Amazon.co.jpの検索エンジンは、類似するものをできるだけひっかけようという発想でつくられているものと思われます。

例えば、私の名前で検索すると、山下貴光さんが寄稿しておられる雑誌なども結果に出てきます。「山本貴光」という名前を「山本」と「貴光」に分解して、書誌にともかく両方の言葉が入っていれば検索結果に出すというアルゴリズムのようです。

 

おしまい

 

計量書誌学辞典

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図書館情報学における統計的方法

図書館情報学における統計的方法