重力波天体が放つ光を初観測

重力波天体を追跡した天文学者たちは、キロノバを世界で初めて観測的に発見しました。太陽の1億倍も明るくて、地球の全質量の何千倍もの量の重元素や貴金属を作り出す、原子核反応のかまどです。

国立天文台のニュースから(2017.10.16)

 

Ritual Music

ビル・エヴァンスとジム・ホールの『Intermodulation』(1966)は、

秋が訪れるとことさら聴きたくなるアルバム。

 

物書きをするときによくかけるものだから、1曲目の"I've Got You Under My Skin"のイントロが聞こえてくると、気持ちが文字を書くほうへ向かいます。英語でritualと言ったりする、一種の儀式ですね。

 

20年前ぐらいに手に入れて、ずっと聴いています。

 

 

え? そんなこと言ってる暇で書きなさいですって?

 

⇒Wikipedia(英語版) > Intermodulation
 https://en.wikipedia.org/wiki/Intermodulation_(album)

 

「ページと文体の力と科学」から「本の最終局面へ」

10月14日(土)は青山ブックセンター本店にて、『アイデア』No. 379「ブックデザイナー鈴木一誌の仕事」(誠文堂新光社)刊行記念連続対談が開催され、鈴木さんとお話をしてきました。

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(画像は『アイデア』ウェブサイトよりリンク)

 

その場でも述べましたが、いわゆる人文書をそれなりに集め読んでゆくと、やがてあることに気づきます。他と異質な存在感をもつブックデザインを施された一群の本があることに。

今回の特集号を読んで、改めて感得しました。私の人文書経験のある部分は、間違いなく鈴木一誌さんの仕事によって記憶に刻まれています。例えば、『西洋思想大事典』(平凡社)や『事典哲学の木』(講談社)のように日常的に何度も読む本はその典型です。

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(画像は『アイデア』ウェブサイトよりリンク)

 

ここで重要なことは、本の姿形は、それ自体が一種記憶の手掛かりであるということです。私は、鈴木さんのブックデザインを通じて、それらの本を記憶しています。

書棚から本を取り出すときも、中を読むより先に、本のカヴァーを目で眺め、手で触れるわけです。そうしてようやくページを読むのですが、その際も、設計された紙面の形(フォーム)に沿って目が動きます。

ページをめくるとき、鈴木さんもインタヴューで述べているように、私たちの意識は一瞬本から離れます。言うなればしらける。そして次のページがあらわれて、また没入する。本を読むとき、この作業を繰り返し行っているのですね。

そして、基本的に1冊の本のページは同じフォーマット(形式)で設計されているので、読み手である私の認知は固定されたフォームに馴れて安定します。

一度に目に入る見開きは、よほど巨大な本でない限りは、手にもって一望できるサイズで、本とは人間の身の丈と機能にあった装置であると、つくづく思いました。

 

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(イヴェント当日配布された資料)

 

それはさておき、先日のその対談は2017年10月30日24時まで、応募者限定で配信されているとのことです。

ご覧になりたい方は、誠文堂新光社が運営するサイト「よみもの.com」の下記のページをご覧くださいませ。

 

なお、『アイデア』No. 379「ブックデザイナー鈴木一誌の仕事」(誠文堂新光社)刊行記念連続対談の第2弾は、鈴木さんと、同特集でインタヴューとデザインを務めた郡淳一郎さんと長田年伸さんによる鼎談「本の最終局面へ――編集=デザインのハードコア」。2017年10月28日(土)に同じく青山ブックセンターで開催される予定です。私も聞きに参ります。

 

 

連続対談第2弾の案内ページ。


上記の特集号はこちら。リンク先で、誌面の一部をご覧いただけます。


鈴木さんの新著『ブックデザイナー鈴木一誌の生活と意見』(誠文堂新光社)の「まえがき」ほかが読めます。


 

「マルジナリアでつかまえて」第2回

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先月から『本の雑誌』で始めた連載「マルジナリアでつかまえて」の第2回が、同誌2017年11月号に掲載されました。

今回は「読書とはツッコム事と見付けたり」と題して、具体的なマルジナリア(本の余白への書き込み)の例を眺めております。

登場するのは、マルジナリア狂人のあの人です。

 

それはそうと、特集の「書庫を建てよう!」は、その軽やかな呼びかけとは裏腹に(?)重量級の内容。

五万冊の書庫建てたとか言ったらふーんって反応する人間がいっぱいおったと思うんですよ。でも十万冊やったらアホかいう世界になるでしょう。

とは、特集の中核をなす水鏡子氏インタヴュー中のお言葉。

チョットナニイッテルノカワカラナイ。

 

近刊『文学問題(F+f)+』のお知らせ

新著のお知らせです。

この数年、『夏目漱石『文学論』論』(仮題)と称して、折に触れてはお知らせ(お騒がせ)して参りました本が間もなく完成します。謹んでご紹介申し上げます。

■1.書誌と惹句

山本貴光『文学問題(F+f)+』

 

四六判上製
総ページ560頁前後予定
予価本体3,600円+税

ISBN978-4-86488-135-7 C0095

2017年11月末刊行予定

幻戯書房

 

文学は感情のハッキングである。

誰にも読み解けなかった夏目漱石『文学論』を[現代語訳+解説]で完全読解。文学の定義「F+f」を古今東西の世界文学(『ギルガメシュ叙事詩』『源氏物語』『フィネガンズ・ウェイク』etc.)を読み解く道具として再生。

100年の「文学理論」の再検討、さらには神経文学から文学環境論まで、多様な学術領域と連環(リンク)し「来たるべき文学論」としてヴァージョンアップ。「文学とは何か?」を自己本位で理解するための文学問題集。

「ブンガクモンダイ(一息おいて)エフ・プラス・エフ・プラス」とお読みください。
(ご面倒な場合は『文学問題エフエフ』でも)

 

■2.構成

 本の構成はつぎのとおりです。

目次

 

第Ⅰ部 漱石の文学論を読む
 第一章 『英文学形式論』
 第二章 『文学論』

 

第Ⅱ部 『文学論』で読む世界文学

 

第Ⅲ部 来たるべき『文学論』へ向けて
 第一章 『文学論』以外の漱石の文学論
 第二章 この百年の文学理論
 第三章 『文学論』再検討
 第四章 来たるべき『文学論』

 

附録

 附録1. 『文学論』――110年の読解史

 附録2. 『文学論』以降の一般文学論の動き

 附録3. 文学を考え続けるためのブックガイド

 

■3.予約特典

本書に関連して、もうひとつお知らせがあります。

今回、本書の刊行にあたり、下記のような予約特典がございます。

この本をつくる過程について書いた創作ノートを小冊子に仕立てたものです(上記惹句同様、編集の中村健太郎さんの発案です)。

『文学論』をどう読んだのか、どんな本を読み、なにを考え、どんなノートをとったのかなど、いわゆるメイキングという趣向です。本の集め方や使い方、ノートの取り方や文章のまとめ方などにご関心のある向きにはお楽しみいただける内容になろうかと思います。

これが果たして特典になっているのかどうか心許なくもありますが、予約でのみご覧いただけるものであります。前向きにご検討いただけましたら幸いです。

《山本貴光さんの『文学問題(F+f)+』創作ノート》

 

幻戯書房まで予約お申し込みいただいた方のみ、「山本貴光さんの『文学問題(F+f)+』創作ノート」の小冊子を特別進呈! 新刊『文学問題(F+f)+』と併せて直接お届けいたします。

 

購入予約のお申し込み・お問い合わせについては、下記、メール・お電話にて受け付けております。

メール:genki@genki-shobou.co.jp
TEL03-5283-3934

 

以上、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

⇒幻戯書房
 http://www.genki-shobou.co.jp/

 

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(夏目漱石『文学論』、大倉書店、明治40年版)

蒐書録#021:マイケル・W・クルーン『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』ほか

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★Rebecca L. Walkowitz, Born Translated: The Contemporary Novel in an Age of World Literature (Columbia University Press, 2017)

 かつてに比べて、ある言語で刊行された小説が、他の言語に翻訳されるまでの時間がぐっと短くなっている現在、文学(本書では特に小説に注目している)は、はなから翻訳されるものとして存在するようになった(もちろん全ての小説が翻訳されるわけではないけれど)。実際にはどういう状況なのかを考察してみようという本。

 

★マイケル・W・クルーン『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』(武藤陽生訳、みすず書房、2017/10)

 Michael W. Clune, Gamelife: A Memoir (2015)

 ゲームで遊ぶとはどういうことか、それはどういう経験なのか。ああ、こんなふうにも書けるのですね。デイヴィッド・サッドナウが『ポン』をマスターするまでの経験をつぶさに記した『ミクロの国の放浪者』という、これまた愉快な本があるけれど、それとも通じるゲームプレイ経験の記述です。

 

★ジェニファー・ダウドナ+サミュエル・スターンバーグ『クリスパー――究極の遺伝子編集技術の発見』(櫻井祐子訳、文藝春秋、2017/10)

 Jenifer A. Doudna and Samuel H. Sternberg, A Crack in Creation: Gene Editing and The Unthinkable Power to Control Evolution (2017)

 

★東浩紀編『ゲンロン6.5』(ゲンロン、2017/10)

 ゲンロン友の会会員のための特別増刊号(書店での販売はない)。吉川浩満くんと「ゲンロンβ」に連載している「人文的、あまりに人文的」の第6回が再録されました(写真つき)。

 

★日下三蔵編『日本SF傑作選2 小松左京』(ハヤカワ文庫JAク7-2、早川書房、2017/10)

 目下楽しみにしているシリーズの第2弾。第1弾は筒井康隆。第1期は全部で6巻の予定。

 

★礒崎新『空間へ』(河出文庫い39-1、河出書房新社、2017/10)

 1971年に美術出版社から、1997年に鹿島出版会から刊行された本の文庫化。

 

★『シェイクスピア全集29 アテネのタイモン』(松岡和子訳、ちくま文庫し10-29、筑摩書房、2017/10)

 

★レオ・ペルッツ『アンチクリストの誕生』(垂野創一郎訳、ちくま文庫へ13-1、筑摩書房、2017/10)

 Leo Perutz, Herr, erbarme dich meiner! (1930)

 編集=藤原編集室

 

★『ヴァレリー文学論』(堀口大學訳、角川文庫、1989/11)

 

★日下三蔵編『今日泊亜蘭 海王星市から来た男・縹渺譚』(創元SF文庫き1-1、東京創元社、2017/10)

 

★Herausgegeben von Herbert Uerlings, Theorie der Romantik (Reclam, 2013)

 ロマン主義の理論アンソロジー。