「人文的、あまりに人文的」最終回

東浩紀さんが編集長を務める「ゲンロンβ27」(ゲンロン)に、吉川浩満くん(id: clnmn)との連載対談書評「人文的、あまりに人文的」第20回を寄稿しました。

今回は、マーカス・デュ・ソートイ『知の果てへの旅』(富永星訳、新潮クレスト・ブックス、新潮社、2018/04)とスティーブン・スローマン+フィリップ・ファーンバック『知ってるつもり――無知の科学』(土方奈美訳、早川書房、2018/04)の2冊について論じております。いずれも、人間が何かを知るとはどういうことか、何をどこまで知ることができるのかについての本です。

 

2016年から続いてきたこの連載対談も、今回で最終回となります。

毎回、この連載のために吉川くんと喫茶店で録音しながら話すのは、なかなか楽しい時間でした。同じ本を2人の人が読めば、それぞれ違うことを考えるもので、こうした本をめぐるおしゃべりには、お互いに読み取ったり触発されたことを持ち寄って比べる面白さがあります。そんなふうにして、2冊の本と2人の人間のあいだで生じる往復運動の様子を書き留めてみたのがこの対談書評でした。吉川くんとも時々話していたのですが、これはなかなか悪くない試みではないかと自画自賛しております。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

また、このような場を与えてくださった編集長の東浩紀さんと編集実務にあたってくださった編集部のみなさんにも感謝申し上げます。

機会があれば、またどこかでお目にかかりましょう。

 

「知はいかに体系化されるか? 」

07月20日は、三中信宏×山本貴光×吉川浩満「知はいかに体系化されるか? ――『系統体系学の世界』『統計思考の世界』刊行記念イベント」(ゲンロンカフェ)でした。ご来場・ご視聴ありがとうございました。

三中さんの新著『系統体系学の世界』(勁草書房)と『統計思考の世界』(技術評論社)の2冊を中心に、生物系統学と統計思考、そして曼荼羅について検討する3時間でした。

 

*2018.07.21追記

facebookのゲンロンカフェのページに、イベントレポートが掲載されたようです。

 

「知はいかに体系化されるか? ――『系統体系学の世界』『統計思考の世界』刊行記念イベント」

2018年07月20日(金)の夜に、ゲンロンカフェにて鼎談に参加します。

三中信宏×山本貴光×吉川浩満「知はいかに体系化されるか? ――『系統体系学の世界』『統計思考の世界』刊行記念イベント」

三中信宏先生の新著2冊をめぐるトークです。

複雑なものごとについて分類整理し、目でみてとりやすくするための学と術をめぐる議論になると思います。ご専門やご関心を問わず、楽しんでいただけるのではないかと思います。

遊びにきてね。

三中先生とは、これで何度目の対談・鼎談だろう。

と思って振り返ればこんな具合でした。つまり今度で4度目であります。

・2015年11月11日 「本を読むときに系統樹で考えるための《可視化することばとビジュアル》」(三中+山本、パシフィコ横浜)【記事

・2017年09月01日 「分ける、つなぐ、で考える――分類と系統樹から見える世界」(三中+吉川+山本、ゲンロンカフェ)【イヴェントページ

・2018年04月12日 『THE BOOK OF CIRCLES』刊行記念トークイベント(三中+山本、青山ブックセンター)【イヴェントページ

 

「ゲームクリエイター育成会議」第3号

ゲームジャーナリストで講師もお務めの小野憲史さん(@kono3478)が企画・編集する「ゲームクリエイター育成会議」第3号でインタヴューを受けました。

小野さんが今回のインタヴューの狙いを書いた前書きを引用してみます。

「専門学校・大学でゲームクリエイター教育を行われている、悩める先生方」に向けたインタビュー本の第3弾です。今回は文筆家・ゲーム作家として数々の作品を世に上梓されている、山本貴光さんに「教養」について話を伺ってきました。

 


山本さんのお名前を初めて耳にしたのは書籍『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎』(ソフトバンククリエイティブ)の刊行時です。アメリカで2003年に出版されて以来、日本でも大きな話題を集めました。そこから遅れること8年、2011年に上巻が日本でも出版。さらに2年の歳月を経て、2013年には下巻が出版され、この大著が日本語でも読めるようになりました。

 


ここまで遅れたのは翻訳の問題でした。タイトルの「プレイ」という語句ですら、「遊ぶ・もてあそぶ・きらめく・そよぐ・噴出する・試合をする・演奏する・演じる・ふるまう・面白半分でする・ゲームをする・つけこむ・受け取られる・参加する」など、さまざまな意味を含んでおり、ピッタリとした訳語が存在しない。しかも本書は学術書という性格上、アカデミックな文脈にのっとった翻訳が求められます。そのため、翻訳に相応の教養が求められるのは明らかでした。まさに、『戦国無双』など数々のゲーム開発にたずさわられ、書籍『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の上梓など、幅広い活躍をされている山本さんでしかなし得なかった偉業でしょう。

 


山本さんはまた、筆者が2017年5月より非常勤講師をつとめている専門学校東京ネットウエイブで10年以上、非常勤講師をつとめられてきた、いわば筆者の大先輩にあたります。そのため、授業の進め方のコツなどについて、直接お話を伺いたいと思っていた人物のお一人でした。

 


なぜゲームクリエイターに教養が必要なのか。どのようにすれば学生に教えられるのか。本書が何らかのヒントになれば幸いです。

表紙に大きく写真が出ておりますが、どうか目をつぶってくださいませ。

 

ゲームデザイン講座「組み合わせで面白くしよう」

2018年7月22日(日)に、ゲームデザイン講座を開催します。

今回のテーマは「組み合わせで面白くしよう」です。

ゲームにおいて重要な要素の一つに、カードやコマの組み合わせがあります。

一つ一つは固定した機能をもったカードやコマも、組み合わせによってさらに多様な機能を発揮させることができます。この仕組みをうまくつくれると、ゲームはさらに奥深くなります。

レクチャーとワークショップを通じて、手と頭を動かしながら試行錯誤してみましょう。

この講座は、代々木高校東京本部の教室をお借りして月に二度、講座を開いています。

毎回独立した内容になっておりますので、はじめて参加される方も「ついていけるかな……」というご心配は無用です。

場所や受講料など、詳しくは、下記のページをご覧ください。講座の企画・運営を担当している加藤薫先生による説明をお読みいただけます。

ご不明の点は、気軽にお尋ねくださいませ。

 

なお、加藤先生のブログでは、過去の講座の様子のレポートもお読みいただけます。

 

プロムナード最終回「どうしてそうなった?」

日本経済新聞夕刊のプロムナード欄にエッセイを寄稿しました。

最終回となる今回は「どうしてそうなった?」と題して、子供の頃は将来の夢を持っていなかったけれど、結果的にいまはこうなったというお話をしております。

最後まで毒にも薬にもならないエッセイでございました。お読みいただき、ありがとうございました。

 

以下に全25回のタイトルとリンクを並べます。

第1回「遊びか仕事かはたまた」(2018年01月09日)

第2回「書店こわい」(2018年01月16日)

第3回「アイロンになる」(2018年01月23日)

第4回「プログラム習得のコツ」(2018年01月30日)

第5回「教室のノーガード戦法」(2018年02月06日)

第6回「火星で働く」(2018年02月13日)

第7回「体は勝手に連想する」(2018年02月20日)

第8回「収容所のプルースト」(2018年02月28日)

第9回「キプロスの分断と花」(2018年03月06日)

第10回「香りを生成する装置」(2018年03月13日)

第11回「万能の速読術はあるか」(2018年03月20日)

第12回「謙虚さのレッスン」(2018年03月27日)

第13回「真夜中のおやつ」(2018年04月03日)

第14回「知の予防接種」(2018年04月10日)

第15回「バンドメンバーの紹介」(2018年04月17日)

第16回「ちょっとだけ変身する」(2018年04月23日)

第17回「お生まれはどちら?」(2018年04月30日)

第18回「全集を少々」(2018年05月08日)

第19回「トーストの音」(2018年05月15日)

第20回「驚異の部屋」(2018年05月22日)

第21回「なにを勉強すればよい?」(2018年05月29日)

第22回「勝手に壁をつくる」(2018年06月05日)

第23回「世界を変えた書物」(2018年06月12日)

第24回「要約してみよう」(2018年06月19日)

第25回「どうしてそうなった?」(2018年06月26日)