松本清張『日本の黒い霧(上下巻、文春文庫ま1-97、2004/12、amazon.co.jp)#0283-284


現代思想2005年03月号(青土社)の「特集=松本清張の思想」に触発されて、ひさしぶりに清張熱が高まる。といってもものの本によれば、清張作品は700編を越えるというから、自分が以前読んだのはそのごく一部であったことをいまさらながら知る。


本書は、『文藝春秋』の1960年01月号から12月号に執筆され、1974年に出版された書物の文庫版。戦後日本で起きた未解決事件を、資料の博捜と読み込みによって推理してゆく独得の作品。清張が事件の背後に見たものはなにか? この本をまだ読んでいないあなたがうらやましい(といってもすでに愚生も内容を忘れておりますので、もう一度楽しめるわけですが)。


扱われる事件は以下のとおり。

・下山国鉄総裁謀殺論
・「もく星」号遭難事件
・二大疑獄事件
白鳥事件
・ラストヴォロフ事件
・革命を売る男・伊藤律(以上、上巻)
・征服者とダイヤモンド
帝銀事件の謎
・鹿地亘事件
・推理・松川事件
・追放とレッド・パージ
・謀略朝鮮戦争
・なぜ『日本の黒い霧』を書いたか


以前は、たしか文春文庫ま1-1と1-2(文春文庫の「ま」の1番は松本清張の番号)だったように思うけれど、2004年に新装版を出すにあたって番号を1-97、1-98に改めた様子。細かいことだけれど、書店店頭に置かれている古めの文春文庫目録で探そうとすると、1-1、1-2を探して見つからない、ということもありうるので記してみた次第。


清張といえば、大澤真幸氏が新著『現実の向こう』(春秋社、2005/01、amazon.co.jp)で示した砂の器論もひじょうにスリリングな読解であった。


⇒作品メモランダム > 2005/03/01 > 『現代思想』2005年03月号
 http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20050301#p8


⇒作品メモランダム > 2005/01/18 > 大澤真幸『現実の向こう』
 http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20050118#p10


松本清張記念館
 http://www.kid.ne.jp/seicho/html/