2004

チェスタトン『求む、有能でないひと』

★G. K. チェスタトン『求む、有能でないひと』 (阿部薫訳、妹尾浩也装幀、237ページ、国書刊行会、2004/02、1800円+税、ISBN:4336046190) 本書は、訳者の阿部薫氏による編訳書。G. K. チェスタトン(Gilbert Keith Chesterton, 1874-1936)のエッセイを選…

また、相棒・吉川浩満との共著『心脳問題——「脳の世紀」を生き抜く』(朝日出版社、2004/06、amazon.co.jp)の増刷が決定しました。ご愛読ありがとうございます。サールの本の少し後に書店に並ぶ予定です。 この第2刷では初刷で発見された誤植を訂正していま…

★『ライフ・イズ・ミラクル』(154min, 2004) ZIBOT JE CUDE 古来、色恋に騒動はつきもので実生活はもちろんのこと、創作の世界にもゴマンと例がある。 古くはホメロスの作といわれる『イリアス』(成立は前8世紀とも)などは、色恋とそれが引き起こす騒動…

★『ソドムの市』(2004) 『リング』『女優霊』の脚本家・高橋洋(たかはし・ひろし)氏の監督作品『ソドムの市』(2004)を観る。 合成画面であることやワイヤー、無理な設定(30代が10歳の子供を演じるなど)を隠そうともしないチープな演出、全編にちりば…

★杉浦康平『疾風迅雷——杉浦康平雑誌デザインの半世紀』(DNPグラフィックデザイン・アーカイブ、2004/10、amazon.co.jp) 世間には「本は中味が読めればそれでいいのだ!」という装幀に顧慮しない書物と、「一冊の書物にここまでするのか」という書物とがあ…

★「ネフェス(呼気)」(2003) ピナ・バウシュとヴッパタール舞踊団の来日公演は、「ネフェス(呼気)」(Nefés)。 イスタンブールに触発され構想されたという130分(2部構成)の舞踊。 上半身を露わにして腰に白い布を巻いた男性が床に寝そべって「私がハ…

★『ミリオンダラー・ベイビー』(133min, 2004) 「ボクシングってのは自然に反した行動なんだ」声が囁いた。「おれが言ってることがわかるか? ボクシングは、何もかも生きることに反している。左に動きたいなら、左側に踏み出してはいけない。右の爪先を出…

泡音楽

アンゲロプロスの新作『エレニの旅』を観にいったら、ジャン=リュック・ゴダールの『Notre Musique』予告編が流れていた。 日本でも日仏学院などで先行的に上映されているこの作品、秋には一般公開される様子で未見のわたくしはいまから心待ちにしている一…

★『エレニの旅』(170min, 2004) ΤΡΙΛΟΓΙΑ: ΤΟ ΛΙΒΑΔΙ ΠΟΥ ΔΑΚΡΥΖΕΙ テオ・アンゲロプロス(Θεοδωροσ Αγγελοπουλοσ, 1935- )の『エレニの旅』を観る。 1919年、赤軍のオデッサ入城によってかの地に暮らしていたギリシア人の一団が、難民としてテサロニキに…

★柳父章『近代日本語の思想——翻訳文体成立事情』(法政大学出版局、2004/11、amazon.co.jp)#0373* 日本語には元来「主語」に該当する言葉はなかった、とは日本語学業界ではしばらくまえから一定の賛同者を持つ説で文献を読むと、門外漢でもなるほどと納得す…

★『バッド・エデュケーション』(105min, 2004) LA MALA EDUCACION ペドロ・アルモドバル(Pedro Almodóvar, 1951- )の作品に登場する人物は、誰もが単純に割り切れない複雑さを備えている。単に来歴や趣味が複雑なだけではなく、図式的な映画でなら善/悪…

★三角みづ紀『オウバアキル』(思潮社、2004/11、amazon.co.jp)#0366* 読みながら既視感を覚える詩集だった。世界のなかに居場所が見つからない「私」のモノローグに満ちている。いじめ、薬、不安、リストカット/自傷行為、死、性、精神科。 なぜ既視感が…

★John R. Searle, Mind: A Brief Introduction (Fundamentals of Philosophy, MIT Press, 2004/08, amazon.co.jp) 昨日から「第十章 知覚」にとりかかる。知覚の対象自体と、その対象についての感覚与件(センス・データ)の関係をめぐる議論。ヒューム、ロ…

★John R. Searle, Mind: A Brief Introduction (Fundamentals of Philosophy, MIT Press, 2004/08, amazon.co.jp) 「第八章 自由意志」に進む。論争が絶えないこのテーマ、サールはどう料理するのか/しないのか、たのしみ。

★John R. Searle, Mind: A Brief Introduction (Fundamentals of Philosophy, MIT Press, 2004/08, amazon.co.jp) 第六章「志向性」に進む。 サールには、『志向性——心の哲学』(坂本百大監訳、藤本隆志+坂井秀壽+野矢茂樹+渡辺忠+大杉佳弘+信原幸弘+…

★John R. Searle, Mind: A Brief Introduction (Fundamentals of Philosophy, MIT Press, 2004/08, amazon.co.jp) 引き続き第四章「意識 I——意識と心身問題」を繙読。心身問題に対するサール自身の立場を「生物学的自然主義」と標榜。

★John R. Searle, Mind: A Brief Introduction (Fundamentals of Philosophy, MIT Press, 2004/08, amazon.co.jp) 第四章「意識 I——意識と心身問題」にとりかかる。前章まで、「心の哲学」の諸問題の解説に紙幅を割いてきたサールが、そろそろ自説を開陳し…

★John R. Searle, Mind: A Brief Introduction (Fundamentals of Philosophy, MIT Press, 2004/08, amazon.co.jp) 第二章「唯物論への展開」を読解中。前章で検討した二元論の困難をうけて前景化した唯物論のさまざまなヴァージョンが順次俎上にのぼせられ…

★Roger Penrose, THE ROAD TO REALITY: A COMPLETE GUIDE TO THE LAWS OF THE UNIVERSE(KNOPF, 2004, amazon.co.jp)#0291 ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose)の新著は、1000ページを超える総決算的大著。にわかには読了しないと思うけれど、のちほど全3…

★Umberto Eco, on literature(translated by Martin McLaughlin, Harcourt, 2004/11, amazon.co.jp)#0209 ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)の2002年の書物Sulla Letterature(『文学について』)の英訳版。目次を見ると、「『共産党宣言』の文体について…

★ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ『ピラネージ建築論 対話』(横手義洋訳、岡田哲史校閲、acetate 004、編集出版組織体アセテート、2004/10、ISBN=4902539047) Giovanni Battista Piranesi, PARERE SU L'ARCHITETTURA(1765) 同書をご紹介した拙ウェ…

2005年03月01日のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20050301#p1)でご紹介した—— ★高橋準『ファンタジーとジェンダー』(青弓社、2004/07、amazon.co.jp) について、著者の高橋準さんのブログ(id:june_t)で、訂正箇所と同書に収録されなか…

★松本清張『日本の黒い霧』(上下巻、文春文庫ま1-97、2004/12、amazon.co.jp)#0283-284 『現代思想』2005年03月号(青土社)の「特集=松本清張の思想」に触発されて、ひさしぶりに清張熱が高まる。といってもものの本によれば、清張作品は700編を越えると…

★高橋準『ファンタジーとジェンダー』(青弓社、2004/07、amazon.co.jp)#0271 ヴィデオ・ゲーム制作の現場にしばらくいた経験を省みると、創作の場面においてジェンダーの問題が自覚されることは稀なことである。もちろん、「女性向けゲーム」などのように…

★スラヴォイ・ジジェク+グリン・デイリー『ジジェク自身によるジジェク』(清水知子訳、河出書房新社、2005/02、amazon.co.jp)#0246 Slavoj Zizek+Glyn Daly, Conversations with Zizek (Polity, 2004, amazon.co.jp) 本当は映画作家になりたかったジジェ…

★Félix Guattari, Écirits pour L'Anti-Œdipe(LIGNES & MANIFESTE, 2004)#0245 フェリックス・ガタリとジル・ドゥルーズによる共著『アンチ・オイディプス』のためのガタリの草稿を中心に編まれた一冊。編者は、ステファヌ・ナドー(Stéphane Nadaud)。 #…

★L'Herne, 83 (Éditions de l'Herne, 2004)#0244 600頁超のジャック・デリダ特集号。内容については後ほどレポートします。 ⇒Éditions de l'Herne(仏語) http://www.editionsdelherne.com/ IE(Internet Explorer)用に作られているようです。それ以外のブ…

★森奈津子『西城秀樹のおかげです』(ハヤカワ文庫JAモ3-1、JA772、早川書房、2004/11、amazon.co.jp)#0232 巻頭に置かれた表題作「西城秀樹のおかげです」(1997)、読み始めて二頁目で笑う。嗚呼、近頃小説を読んでいて二頁目で笑ったのはいったいいつ以…

★大川正彦『マルクス いま、コミュニズムを生きるとは?』(シリーズ・哲学のエッセンス、NHK出版、2004/11、amazon.co.jp)#0226 #つづく

★内田樹『他者と死者――ラカンによるレヴィナス』(海鳥社、2004/10、amazon.co.jp)#0208 #つづく