「本の名刺」(講談社)

「群像」のウェブ(という位置づけでいいのかな)に「本の名刺」というエッセイを書きました。

講談社から本を刊行した著者が、その本にまつわる文章を書くというコーナーで、『群像』本誌のほうにも同じコーナーがあります。今回私が寄稿したのは、ウェブのほうです。

拙著『文学のエコロジー』(講談社)について書いています。

前半は、かつてコーエーでゲームをつくっていた頃、『源氏物語』を原作にゲームを企画しようとして考えたことなどを書いています。

それはかれこれ30年ほど前のことで、『文学のエコロジー』を書いたあとになってみれば、その頃から同じようなことを考えていたのだなという気もしてきました。

というのは、昔からゲームを考える際には、小さな世界の箱庭のようなものを思い浮かべていたのですね。しかも、時間とともに変化して動く箱庭であり、プレイヤーが介入することもできるというものです。

当時は「エコロジー(生態)」という発想を念頭に置いていなかったようにも思いますが、ゲームの構造自体が、そのゲームの世界に存在する各種のオブジェクトと、オブジェクト同士の関係で成り立っているという見方をするのですね。

いま「オブジェクト」と述べたものには、人間や各種のキャラクターや動植物も含まれれば、非生物も含みます。言ってしまえば、生物と非生物を区別せず、その世界に存在しているモノを指しています。

それぞれのオブジェクトには、各種の属性や状態、そのオブジェクトがとることのできる行為や変化を設定することもできます。

──というふうに考える癖がついているものですから、ゲーム以外の創作物や現実世界について考える際にも、オブジェクト同士が関係しあうその全体、というふうに見ているのでした。

『文学のエコロジー』では、そういう目で文芸作品を読んでみると、どのように見えるかをそのまま書いてみたのでした。

同書と姉妹篇ともいえる『文学問題(F+f)+』(幻戯書房、2017)は、増補新版を刊行すべく作業をしているところです。この春には始末をつけてお目にかけられるようにしたいと念じています。

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