「紀伊國屋じんぶん大賞2017――読者と選ぶ人文書ベスト30」

「紀伊國屋じんぶん大賞2017――読者と選ぶ人文書ベスト30」が決まったとのことです。

 

これは、読者からの投票によってその年に刊行された人文書からベスト30を選ぶというイヴェントであります。

 

昨年は、岸政彦さん『断片的なものの社会学』(朝日出版社)が1位に選ばれました。(岸さんは芥川賞候補に選ばれておりますね)

 

今年は、加藤陽子さん『戦争まで――歴史を決めた交渉と日本の失敗』(朝日出版社)が見事1位となりました。加藤先生、おめでとうございます!

 

岸さんの本と加藤さんの本は、いずれも朝日出版社第二編集部が手がけたものです。それぞれ大槻美和さん鈴木久仁子さんがご担当。

 

じんぶん大賞2016については、斎藤哲也さん、吉川浩満くんとともに、じんぶん大賞のプレイベントで「「じんぶん」のモンダイを語る」と題して鼎談をしました。その際、控え室でその年のじんぶん大賞はなにになるかなと3人で予想した結果、満場一致で岸さんの本でしょうという見立てになりました。

 

また、今回のじんぶん対象2017については、やはり上記の3人で行ったゲンロンカフェの鼎談「『人文的、あまりに人文的』な、2016年人文書めった斬り!」で、加藤陽子先生の『戦争まで』が1位になると予想したのでした。

 

というわけで、2年連続で1位を当てたわけですが、こうなってくると来年も当てねばならないという気持ちになってくるから不思議です(誰にも頼まれていませんが!)。

 

あ、そうそう、拙著『「百学連環」を読む』(三省堂)も20位に選んでいただきました。投票してくださったみなさま、ありがとうございました!

 

なお、紀伊國屋書店では、2月10日からじんぶん大賞にかんするブックフェアを開催する予定とのこと。「加藤陽子氏の大賞受賞コメントならびに読者からの推薦コメントを掲載した小冊子を店頭にて無料配布いたします」(紀伊國屋書店ウェブサイトより)というわけで、楽しみにしたいと思います。

 

www.kinokuniya.co.jp

yakumoizuru.hatenadiary.jp

yakumoizuru.hatenadiary.jp

 

書評『「百学連環」を読む』

加藤陽子先生に拙著『「百学連環」を読む』(三省堂)を書評していただきました。

ありがとうございます。

おもはゆいとは、こんなときに使ってもよい言葉だったでしょうか。おもはゆい。

 

⇒毎日新聞 > 書評「学問の大事さ思う「私流講書始」」
 http://mainichi.jp/articles/20170108/ddm/015/070/021000c

  

「百学連環」を読む

「百学連環」を読む

 

 

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

 

 

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

 

 

The Happy Reader

★The Happy Reader (Autumn, 2016, Number 8, Penguin Books)

遅ればせながら、ペンギンブックスが刊行する雑誌『Happy Reader』の最新2016年秋号を入手した。

この雑誌は、前半がインタヴュー、後半はペンギンブックスの1冊をとりあげた特集になっている。この号のインタヴュイーは、『イングリッシュ・ペイシェント』他に出演のクリスティン・スコット・トーマス。本はウィラ・キャザー(1873-1947)の『おお、開拓者よ!(O Pioneers!)』

これまで季刊だった同誌だけれど、次号から年2回刊行になるのだとか。行き届いたタイポグラフィも読みやすく、のんびりくつろぎながら読むにはいい雑誌。ぜひ続いて欲しいな。

f:id:yakumoizuru:20170106215232j:plain

f:id:yakumoizuru:20170106215400j:plain

 

www.thehappyreader.com

「相対性理論への道」

★Hanoch Gutfreund and Jürgen Renn, The Road to Relativity: The History and Meaning  of Einstein's "The Foundation of General Relativity" (Princeton University Press, 2015)

散歩がてら訪れた紀伊國屋書店新宿南店(洋書部)で入手。

アインシュタインの「一般相対性理論の基礎」草稿とそれに対する解説をつけた本。

f:id:yakumoizuru:20170104201625j:plain

 

ご覧のように向かって左ページに草稿の写真が配置されています。右ページはコメンタリーです。草稿はドイツ語で書かれており、その英訳が巻末につけられています。導入として「アインシュタインの知的な旅(オデッセイ)」という文章もあり読ませます。

f:id:yakumoizuru:20170104201855j:plain

 こういう具合に原文を読み解いてみせてくれる本をもっと読みたいものだ、と思いました。

 

press.princeton.edu

じんぶんや「知と言葉の連環を見るために」小冊子の全文公開

2016年の秋に紀伊國屋書店本店の人文書コーナーで開催したじんぶんや「知と言葉の連環を見るために」のためにこしらえたミニブックガイドの全文が、同書店のウェブで公開されました。

『「百学連環」を読む』(三省堂)にちなんで選んだ74冊について短いコメントを書いております。ご笑覧くださいませ。

ブックフェアで本を選ぶのはほんとに楽しいので、機会があったらまたしてみたいと思います。

www.kinokuniya.co.jp

「百学連環」を読む

「百学連環」を読む

 

 

すごいよ、yPad!(あるいはノートについて)

寄藤文平さんがつくったスケジュールノート「yPad half X」(朝日新聞出版)に、あれやこれやの予定を書き並べて整理してみたら、目の前のもやがぱーっと晴れるように見通しがえらいクリアになった。

……のはよかったのだが、半ば無意識のうちに見ないようにしていたかもしれない仕事予定の全貌がたちあらわれて打ち震えている。

すごいよ、yPad! 

 

■ついでながらノートについて少々

この30年ほど電子機器も含めていろいろ使ってみた結果、わたくしの場合、全部1冊に書くのがよいという暫定的な結論に達していまにいたる。

一時期、用途別にノートをつくったり、ルーズリーフを使ってファイリングシステムを組んでみたりしたのだけれど、結局どこに何を書いたのかが分からなくなって最後まで使われないノートの山だけが残った。

新しいノートを買うのが好きということもあって、文具店でよさそうなノートを見かけると「これは何々に使うノートにしよう」とかいって理由をつけて入手するわけである。

他方で各種の電子装置も使ってきたが、これもちょっと油断しているとどのファイルがなんなのかが分からなくなる。ファイル名やフォルダ名などにもかなり気を遣っているのだけれど、それ以上にファイル数がアホウのように増えててゆく。

また、なにかを書こうと思い立ってから装置のスイッチを入れて書ける状態になるまでの間が、年々短くなっているとはいえ紙のノートには及ばないと感じる。見方を変えると、なにかを思いついたら、ページを開いてさっと書くという最小の手間に近づいてくれたらもう少し違うのかもしれない。

 

――というので、ある時期から、ともかく「このノートに書く」というスタイルで、1冊に書くことにしてみた。

この10年くらい、これで困ったことはない。ものぐさなわたくしには、「とにかくこのノートに書く」という単純さが合っているのかもしれない。

使うノートは、電車で立ったままでも書けるように表紙がかたいものを選んでいる。いまのところモレスキン(クラシックハード横罫MM710黒)に落ち着いており、これまで20冊ほど使ってきたところ。

 

ただし、スケジュール管理は難があった。 

そこでGoogleカレンダーなどを併用しているのだけれど、これもデジタルの弱点といおうか、自分で意識してアクセスした時しか目に入らないのが難点である。登録した予定の事前にGoogleカレンダーからプッシュ通知が届く機能もあるのだが、結局アクセスする手間自体が減るわけではない。

といっても、そもそもたいして仕事があるわけじゃなし騒ぐほどのこともなし。『文体の科学』を出した後、2014年の暮れあたりから少しご依頼が増えつつあったものの、一時的なことさねとたかをくくっていたところ、その一時がどうしたものか長引いて、2016年は自分でも全体像を把握しかねる状態になったのだった。

というのでどうすべきか考えていたところ、「そうだ!」と気になっていたyPadを手にしてみたという次第。そして話は冒頭に戻る。

 

yPad half X

yPad half X

 

  

モレスキン ノート クラシック ハード 横罫 ポケット MM710 黒

モレスキン ノート クラシック ハード 横罫 ポケット MM710 黒