村上陽一郎『やりなおし教養講座』(ライブラリーレゾナント005、NTT出版、2004/12、amazon.co.jp


NTT出版の新叢書ライブラリーレゾナントの第二回配本(今回は本書と安田喜憲『気候変動の文明史』の二冊)。科学史・科学哲学研究者の村上陽一郎氏(1936- )が「教養」について語った一冊。目次立て(下記参照)から、もすこしハードな内容かと期待していたのだけれど、編集者を相手に語った言葉を編集したものらしく、だいぶんやわらかい(というのは書名から気づくべきことかしらん)。前半は国内外における教養のありかたを概観する内容で、後半は話者(とその父)の個人的な履歴に沿って教養主義の紆余を語る内容。巻末に、「教養のためのしてはならない百箇条」(初出は『新潮45』1989/04)が採録されている。「教養」という言葉が気になるけれど、類書を一冊も読んだことがない人には益するところがあるかもしれない。

序 章 教養の原点はモラルにあり
第一章 教養教育の誕生
第二章 知の世界の扉ーー古典語との出会い
第三章 日本の教養のゆくえ
第四章 大正教養人の時代
第五章 価値の大転換ーー戦後民主主義教育で失われたもの
第六章 いま、ふたたび教養論ーー規矩について
第七章 私を「造った」書物たち